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短編2
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排水口

先日友人から聞いた話があまりにも怖く、一人で抱え込めなかったため怖い話は苦手なのですが投稿します。

友人には半年付き合った彼氏がいて、その日も彼のマンションに泊まりに行きました。年齢的にも彼女は結婚を視野に入れていたらしく、二ヶ月前から生理が止まっていたので、妊娠判定のため産婦人科に一緒に行ってもらおうと相談するつもりで。

バッグの中に、もちろんビニールに包んでですが、陽性の線が浮きでた検査薬を入れて。

できていたら妊娠初期ですが、激しくしなければ性行為も可能と本で読んでいた彼女は今夜も彼と仲良くするつもりでお風呂を借りました。

すると、排水口が詰まって水が流れていかない。

排水口に髪の毛がたくさん詰まっている。ずぼらな男の一人暮らし、満足に掃除もしていないのだろうとため息をついて排水口の蓋を開け、髪の毛を引っ張り出します。

奥の方から赤ちゃんの泣き声がしました。

下水に落ちた猫かと思いましたが、赤ちゃんの泣き声以外には聞こえなくなりました。

髪の毛を引っ張り出すたび、声は大きくなり、大きな塊を引っ張り出した時にまるで産声のようになりました。

髪の毛の塊に、人間の眼球がひとつ、絡まっていました。

彼女はそれを取り落とし、震えながら謝りました。

そういえば、彼の過去をほとんど知りません。

彼女は体もびしょ濡れのまま逃げようと服を着ます。すると彼がバッグに入れておいた妊娠検査薬を手に洗面所に入ってきました。

彼は無表情でした。妊娠を希望していたなら、笑顔のはず、その顔を見て、まさか排水口の眼球は、妊娠が発覚し彼に殺された元彼女か、元彼女が授かった赤ちゃんか、という最悪の想像が湧き出て、彼を突き飛ばし帰宅したそうです。

すべて妊娠初期の幻覚だったのではないかと彼を自宅に呼ぼうとしましたが、彼女はそこで高熱を出してしまいました。このご時世です、PCR検査は陰性だったので、彼に助けてもらおうと連絡しますが、彼は家に来ません。

眼球が幻覚だろうと、妊娠がほぼ確定の彼女を捨て置く程度の男なんだと彼女は泣きながら熱と戦っていましたが、激しい腹痛と共に不正出血し、流産してしまったそうです。

流産後熱が下がり、私に連絡が来た頃には彼とは連絡が付かなくなっていました。

それ以降風呂掃除を怖がるようになった彼女に頼まれて、近々彼女のマンションの排水口を掃除しなきゃいけないんですけど、正直とても、怖いです。

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