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俺が死ぬ前に話聞いてくれ
親友とも言える友人と下校中の出来事の話だ。
「言いにくかったんだけどさ。なんか最近やばいことした?」
「は、?何?てか、これ読んでくれよ」
そう言って友人から渡されたのは1冊の本。
何の変哲もないただの本。
「これがどうかしたのか?」
「ここみろよ。おかしいだろ、?」
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読む限りなんてことない文章が書かれている。
「何がおかしい?」
「なんでわかんないんだよ!」
唐突に声を荒らげる友人に少し驚いた。
長い付き合いだが、温厚で誰からも好かれるような人物でここまで取り乱しているのは初めて見るからだ。
「あいつだ、あいつのせいだ、呪い、呪い?そうか、これは、呪いなんだ、俺もアイツみたいに死ぬんだ、死ぬ?へへ、死ぬ?俺が?へへ、へへへ」
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壊れ始めた友人をみて唖然とした。だが、怖い話が大好きな俺は
呪い
という言葉の魅力に取り憑かれてしまった。そして、
「何かされたのか、?」
と、訪ねてしまった。
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shake
「お前が聞いたからな」
思わずゾクッとした。もはや俺の知ってる友人ではない。ずっと見てきた目、鼻、口、輪郭、全て同じなのに、誰なんだ。一体。
どれくらい時間がたっただろうか。
雰囲気に圧倒されるうちに、友人はポツポツと話始めた。
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「俺、昨日、図書館に行った時、男とすれ違ってさ。
その手に借りたかった本が握られてたんだ。だから、それ借りていいっすか?って声掛けたんだ。
そこで初めて顔みたんだけどさ、
死んでるんだよ。肉体じゃなくて、精神が。
生気が宿ってない顔でさ、話しかけたのミスったな、って思ったんだ。
そしたら、頼む、助けてくれって泣き出したんだ。話を聞いたらさ、そいつが言うには、
自分だけ文字が変わるっていうんだよ。」
「どういうことだ、?」
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「ちなみに聞いていいか?この文字、何に見える?」
そう言って持っていた本の文字に指をさした。
「何って、む、だよ?」
「ちげぇよ、文字だよ。
ローマ字とかひらがなとか何に見えるか聞いてんだ」
「ん、?ひらがなだろ、?」
「俺には、
片仮名にみえるんだ、」
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意味がわからない。
どう見てもひらがなである。
だが、こんな嘘をつくような人間でないというのは、長い付き合いで分かっている。
それに、俺には少しだけ霊感のようなものがある。
実際に霊を見えたりはしない、が、人よりも感覚が鋭い。
で、初めに会った時
なんかやばいことしたかって友人に聞いた理由は、
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死臭がするからだ。
濃密な、限りなく死に近い匂い。
焦げたような吐き気がする匂いが今日会った時からずっと。
だから信じることにした。
「それで、?片仮名に見えるからなんだって言うんだよ」
「ここだけじゃねーんだよ、これと、これと、これと、これと、これ、、、、、」
友人はペラペラとページをめくり
次々と文字を指していく、
それを俺は読んでいった。
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shake
「ム、カ、エ、ニ、イ、ク、ネ」
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「嘘だろ、?」
「嘘じゃねーよ。男はな、
俺が今お前にした説明と同じ説明をした後に
急に笑いだして飛び降りて死んだ。
警察は自殺って。なわけないだろ、
殺されたんだ。何かに。
それで気づいたら俺にも文字が変わって見えるようになったんだ。
とりあえずまた明日学校で話す。お前に話したら楽になった。ありがとな。
絶対俺は死なない。逆に殺してやる。」
「あぁ、また明日な、」
これが友人との最後の会話だ。
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ツ ぎの日朝ら友人は自殺した。首吊りだって。
家の全てのか ギ がかかってる密室だから自殺で決まり。ありえないだろ。
それに俺 ハ 多分しぬんだよ。今日の朝の新聞の文字が変に片仮名に見えるんだ。
最初は友人恨んだよ。でももう オ ちついてきた。 マ ぁ、しかたないよな。話聞いてしまったしな。最後は エ がおで死にてぇ。
作者かい