あれは7年前、兵庫県I市の食品会社に勤めていた頃の話しです。
その日、会社の休憩室で休んでいた僕に、後輩のT君が話しかけてきたんです。なんでも、僕の助言がほしいらしく、とりあえず話を聞いてみることに。
事の発端は、先週にとある神社で、スマホのカメラを使って、自分や彼女を撮影したらしいんですが、後で画像を確認した所、霊的なモノが写っていたという、まあベタな話しで、ぜひ見て意見を聞かせてとの事でした。
僕は、気乗りしなかったんですが、せっかく頼ってきてくれたので、とりあえずT君のスマホ画像を見ることにしたんです。
その問題の画像は、京都の○船神社で撮影されたもので、桂の木の前で、T君と彼女が二人並んで写っていました。その写し出されている、二人に異常があったんです。
まず彼女さんの顔が、ハンマーで殴られたように崩れていて、恐ろしい顔になっている。
T君の方は、顔などは全く異常がないけど、その代わり背後にいる存在に目を引かれる。何故なら、T君の背後に光り輝く地蔵が、両手を合わせて、まるでT君をナニカから護るかのように、写っていたから。
思ってたよりも凄い画像に、僕はT君にこれをメディアに投稿したら?と不謹慎なことを言ってしまった。T君は困った顔をして苦笑していた……(今思えば当然か)
僕は気を取り直して、再び画像を見た。僕に霊感は全く無いけど、画像を見るに、何故かT君は大丈夫だろうと思ったんです。
理由は光輝く地蔵が、おそらくT君の守護霊かなんかで守る側だろうと、何となくそう思ったんです……
ただ問題は彼女さんの方だとも思いました、何だか嫌な予感がする。僕はT君に、ただの経験からなんだけど、早急に彼女さんは、お祓いに行った方が良いんじやないか、そう伝えました。
T君はそうですか、わかりましたと言うと、ラインを使い彼女に伝えたようだったので、僕は安心してしまったんです。
その日から、4日後くらいだったと思います。その日も出勤日で、僕は昼休みに社員食堂で、日替り定食を食べていたんですが、自分の席の前に誰かが座ったので、チラッと見上げると、それはT君でした。
とても青い顔をしていて、僕は大丈夫?顔色悪いけどと、話しかけたんです。
そうするとT君は、実は彼女が今朝事故に遭って、心配なんですと、事の成り行きを話してくれた。
彼女さんは勤め先に、原付バイクで出勤するのだが、とても見通しのよい国道なのに、何故かバランスを崩して、コンクリートブロックに突っ込んだらしい。
今さっき、病院で縫ってもらったと、連絡がありましたとT君は力なく言った。
僕は、命に別状はないんやろ?不幸中の幸いやなーと励ましていた時に、T君は自分のスマホを、僕の顔の前に差し出した。
そのスマホ画面を見た僕は、米粒を吹き出しそうになった。
shake
その画面には、彼女さんの顔が写っていたんですが、その顔がハンマーで殴られたように崩れていて、恐ろしい顔になってたんです。
そう・・・数日前に見たあの画像そっくり・・
なんて言えばいいのか困った僕は、女性なのに顔は可哀想だな~と言うと、T君は顔面からブロックに突っ込んでこんな事になったようです、これってあの画像のせいなんですかね?と意見を求めてきた。
そんなん知るか!と思いながらも、お祓いには行ったんやろ?それで霊障なんてあるはずないと、そう応えたんです。
そうしたらT君は、実は・・お祓いには行ってないんですよね、彼女がそういうの信じない人で、結局行かずじまいだったんですと、そう言ったんです。
shake
それを聞いた僕は、先日に行くって言ったやん!と、呟いてしまった。
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[追記]
結局今回の事故が、あの画像のせいなのか?ただの偶然なのかは、わかりません。仮に霊障だったのなら、なぜ彼女さんに?
あと、霊的な画像は他にも撮れていたらしく、神社の鳥居の上に座った、和服を着た、オカッパ頭の女の子二人が並んで写ってたと、T君からメールが来た。
その画像欲しいから、全部写メで送ってくれと頼んだんですが、T君の彼女さんが、T君のスマホを取り上げ、この画像のせいでエライ目にあったわと、画像を全て削除してしまったのだそうです。(信じてないんちゃうの?)
ネットで画像を投稿して、ホラーファンの度肝を抜かす計画はパアになった・・・
それにしても、この出来事では、T君に何度か言おうとしたことがある。
T君よ、キミはホントに彼女の言いなりなんだね!・・と。
その後、転職した僕は数年後に、コンビニで偶然T君に会い、彼女さんと結婚したことを聞いた・・・
やっぱりな。
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作者N.K
この話は、昔に別のサイトでも投稿したものを、多少書き加えてから、投稿し直したものです。
実話ですが、この2人はやはり結婚しました。
T君の両親や同僚は、結婚に反対みたいだったんですが、できちゃった婚でゴールしました。
それにしても、人の縁とは不思議なものです。
また、T君に出会うなんて・・
当時は、彼女さんが、会社の前でT君を待ちかまえていたり、本当にこの女性はT君と結婚したいんだなと、執念を感じる事もありました。
京都のあの神社は奇しくも、呪いの儀式が行われたとされる場所なので、もしかしたら神社と共鳴したのかも?
いえ、考え過ぎかもしれません・・。