俺は昔から霊感が強く、俺の周りにも霊感が強い友人が何人かいる。
今回はその霊感仲間の一人と一緒に出掛けた時の話をします。
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その日、俺等は仕事の休みが珍しく合い久々にお互いが体験した霊感話でもしながらドライブをしようという事になった。
目的地も特に決めず夕方から走り始めお互いの怖い話に怖がったり同じ事が起きたらどう対処するのが正解なのか等、喋りながら走り続け休憩がてらに適当なコンビニに入った。
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軽くコンビニ飯を食っていると二人して同時に
「「なぁ…あそこの山、やばくね??」」
と言葉を発した。
今思えばもうこの時すでに俺等は導かれていたのかもしれない。
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その山は一般の人が見れば普通の山でしかないのだと思う。
でも俺等の霊感レーダーに引っ掛かる[ナニカ]があった。
霊感が無い仲間と一緒なら間違いなく行かなかったが今一緒にいる友人はお互い同じぐらいの霊感の持ち主。
片方が何かあれば片方が何とかしてくれるという根拠もない安心感があったので入山する事にした。
だが、山に入った時に空気が変わったりするとか、そういったよくある霊現象は一切なく至って普通だった。
俺等は少し拍子抜けして気が緩んでいた。
少し歩いていくと二手に別れる道に当たった。
「どうする?この雰囲気何も起きなさそうだから別行動してみる?」
と友人に言われ俺自身も同じ事を考えていたから別行動を取る事にした。
友人は右の道へ、俺は左の道に別れた。
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しばらく道というほど立派ではない道を歩いて行くと6歳ぐらいの女の子が一人で花を摘んでいた。
一瞬身体がこわばった。
夕方の山の中に子供…この時点でもう普通じゃない…。
でも、はっきり見えすぎる…霊じゃないのか??
とりあえず見えないふりをして通り過ぎようとした。
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「このお花すごく綺麗なの。
ねぇ、お花…あげる」
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まずい…話しかけられてしまった…。
ただ…霊のような感じが全然無い…。
本物の人間のように感じた。
だからか気付いたら俺は
「ありがとう。綺麗だね」
と答えていた。
すると女の子は
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「ねぇ…しあわせ??」
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と聞いてきた。
俺は「綺麗な花を貰えて幸せ?」という意味なのかな?
と思ったが質問の意図が分からず答えられなかった。
するとまた不安そうな顔で
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「ねぇ…しあわせ?」
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と聞いてくる。
しかたなく
「うん。幸せだよ。」
と答えた。
女の子は満面の笑みで
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「えへへ♪あっちにもお花あるの!行こう♪」
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と手を引っ張られ俺はなすがままに歩いて行った。
連れられるまま歩いていき目的の花が咲いているところが目前に迫った瞬間
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shake
ドンッ!!!!!!!
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俺の身体は横に吹き飛ばされた。
「おい!!しっかりしろ!!」
ん??友人だ。
なぜか血相を変えている。
「え?何が???」
と聞き返すのが俺は精一杯だった。
友人が必死になっている理由が俺にはまったく分からない。
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「おまえ!今、ここから落ちる寸前だったんだぞ!!」
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前を見て足が震えた…。
突き飛ばされる前に見ていた景色と違う。
俺の数m先は崖だった。
綺麗な花なんてどこにもない…
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女の子は!?!?
崖の前に
………いた………
さっきまでの笑顔は無く憎悪の塊のような顔でこっちを睨んでる。
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「しあわせ…
しあわセ…
しあワセ…
しアワセ…」
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ずっとブツブツ言っていてとにかくゾッとした。
友人に
「なんだよあれ!!とにかく逃げんぞ!!」
と腕を引っ張られ下山。
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車に乗り込み、
「一体何があった?お前の目には何が見えてた?」
と聞かれたので別れ道の後の出来事を説明。
「花を貰って幸せ?…かぁ…なんだろうな?
でも、あの崖のとこ花置いてあったのは見えたぞ?」
俺はそんなの全然気付かなかった。
お供えの花…幸せ…?
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…ん?花を渡して幸せ…?
「なぁ…添えられた花を俺に渡してきて幸せ?って聞くのおかしいよな…?
もしかして俺等意味を間違えてるんじゃ…?」
友人がハッとした顔でこっちを見てくる。
「ちょっ…まさか…しあわせって……」
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shake
「「死合わせ」」
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そう、死に合わせるという意味で「シアワセ」だったのかもしれない。
END
作者スージー