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超短編小説「猫角家の人々」その2

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超短編小説「猫角家の人々」その2

この詐欺行為には、医師の協力が必要だ。だが、裏社会御用達の医者は、たくさんいる。謝礼を出せば、いくらでも診断書を書いてくれる。ようするに詐欺に協力する「各分野の専門家」が「詐欺集団」を形成しているのだ。保険に詳しい指南役もいる。

さらには、自損事故だけではなく相手方のいる事故も偽装する。第三者に被害を加えてしまったことにして、第三者の医療費、慰謝料、修理代を保険会社から詐取する。第三者は、勿論、身内の犯罪仲間だ。勿論、事故は架空だ。かすりもしていない。名古屋辺りの自動車修理屋が、fその類のクズを斡旋してくれる。保険会社から入った金を第三者と山分けする。ちょっともったいないが、仲介者の修理屋にも分け前を渡す。

しかし、偽事故を繰り返していると保険会社から目をつけられる。証拠がないから、詐欺と見破られても実害はないが、保険を継続できなくなる。保険料が異様に高くなる。等級は最低ランクになってしまっている。困った姉妹は、あちこちの手蔓を使って、自動車保険を掛ける算段をする。普通の自動車保険は、どこも引き受けてくれない。ちょっとやりすぎたのだ。そこで、知り合いの真っ当な修理工場に話を持ち掛ける。

修理工場のT氏は、猫角姉妹のために親身になって、保険を探す。善意から出た行為である。そして、ミニフリート契約という複数台で加入する契約を見つけてくる。保険会社は渋ったが、信用あるT氏の頼みゆえ、ついには折れて保険を引き受ける。だが、4台で保険金は40万円を超えてしまう。

とにかくいったん保険に入れば、次は偽装事故である。猫角姉妹の錬金術は、また、再開するのであった。(続く)

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