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長編46
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『POLYBIUS』 

『POLYBIUS』 

666:POLYBIUS(1/49):2009/09/11(金)23:11:11ID:mzllQqqq0

う~んちょっと長くなるかも。

ここかなーり壮絶に過疎ってるみたいだし丁度いいから本スレじゃのうてこっちにカキコするわ。

80年代のアメリカにPolybiusという呪われたゲームが存在した。

遊ぶと異様な中毒性をゲームプレイヤーに与える。

しかも呪いや霊障と言った超常現象を周囲の生物や物に引き起こす。

プレイし続けると次第に妄想を抱く様になり自分はアメリカ政府にスカウトされた宇宙の戦士だとか言ってゲームと現実との区別が付かなくなったりする。

ある少年はPolybiusにハマっていた。

彼には友達が多かった。

彼は友人達にPolybiusの素晴らしさ面白さについて熱心に語った。

しかし仲の良い友達の中に見た事も無い子がチラホラ混ざっている事に気付いた。

きっとPolybiusの噂を聞き付けた子だろうと思ってあまり気にしなかった。

けれどそういう出来事はそれだけでは終わらなかった。

少し前まであった筈の建物や目の前を走っていた車が急に消える。

突然何も無い場所から人が出現する、猫が犬に変わる、通学していた学校迄もが消滅するといった現象に悩まされ。

暗闇や影を見る度に何者かに怯える様な素振りを見せる様になった。

最後には両親さえ完全に別人となってしまった事により少年は完全に発狂し失踪してしまった。

恐ろしい悪夢に魘され発狂するという噂もある。

どんな悪夢か?

 668:POLYBIUS(2/49):2009/09/11(金)23:11:34ID:mzllQqqq0

それはやけに明晰な夢で自分が夢の中に居ると自覚出来た。

夢の中でプレイヤーは何者かに追跡され、ひたすら逃走する。

そこかしこから追い掛けて来るそれらが一体何者なのかは分からない。

こうなったら殺られる前に殺ってやる!

何者かと格闘し首を締めて殺害した。

こうして何人か返り討ちにするがキリが無い。

夢の中ではそのままベット等に逃げ込む。

ベッドの中で震えながら心の中でこう叫ぶ。

これは夢だ!

夢が人間を殺す事は出来ない!

必死に自分に言い聞かせる。

しかし、悪夢から眼を覚ますと二つの生首が目の前に浮いていた。

悲鳴を上げたがよく見るとそれはベットに寝ていた自分の顔を覗き込んでいる両親の顔だった。

驚いて悲鳴を上げるが両親は無感動な表情のままだ。

両親は眼を開け立ったまま眠っていたのだ・・・

なぜそんな事をしたのか、目を覚ましても両親は何も覚えていないし分からないと言う。

しかし悪夢は終わらない。

この奇妙な夢遊病に苦しめられ既に半年程が経過した。

彼は恐怖心を抑えつつ夢に出て来る何者かの正体を確かめ様と決心した。

記憶を頼りに自分が追跡された路地や倉庫を特定した。

その奥に夢にも登場したベッドルームがある筈だ。

意を決して足を踏み入れた。

すると・・・

 669:POLYBIUS(3/49):2009/09/11(金)23:11:51ID:mzllQqqq0

今のPolybiusの話というのは米国では有名な都市伝説。

ちょっとしたご縁があって7月頃に今は無き懐かしの某洒落怖ファンの集いに参加させて頂く事があった。

酒の席で聞かせて頂いた話からまずさせていただきます。

馴れ初めなんですがちょっとした超常現象がありまして。

自分が居酒屋で一人酒を楽しんでいる時でした。

ニ◯ニコ動画やY◯uTubeはあまりよく観る方では無かったのですが洒落怖関連の動画は結構好きで昼休みの暇な時間とかに結構観てましてね。

それも自己責任系とかが大好物でした。

生来の鈍感さもあったせいか霊障の類は無かったです(と言うか祟りとかマトモに信じてませんでしたwww)。

しかしエレベーターが押したボタンとは別の階に止まったり作業服姿のオヤジに説教されたりした事は何回かある。

でもこの話をすると言われるのが異世界だか時空だかのおっさんシリーズだっけ?

「それ恐怖体験じゃんw」ってよく言われるんだけど、あれコジツケ過ぎだと思うwww

別に偶々人が居ないスペースなんてザラじゃん?

ウチのアパートしょっちゅう改装してるし作業員さんなんて珍しいもんじゃない。

単に工事現場なので人が寄り付かないとかいうオチだろう。

バイオみたいなウイルス兵器が炸裂してゴーストタウンになった訳じゃあるまいし、何であんなのが怖いのか正直分からなかった。

「最初の頃」はね。

他にもiPhoneの動作がちょっとおかしくなるみたいな事は結構あった。

 670:POLYBIUS(4/49):2009/09/11(金)23:12:27ID:mzllQqqq0

古い機種だったしキャッシュとかフォルダが重過ぎるせいだと当時は勝手に納得してましたがね。

特に連続再生してる時なんか急に画面が暗転したり文字化けして動画もバグったりする事が多かった。

その時もヒサルキを読んでる時に猿の大絶叫みたいなノイズが入って動画がフリーズした。

○怨じゃあるまいしイヤホンで聴いてたので酷い耳レ◯プでしたよ。

まさかウイルスにでも感染してんのかなって思って視聴を止めた。

何だか悪酔いしそうになって来たから気分転換に店内を見回してたんです。

そしたら座敷席の団体客の中に浴衣姿のかわいらしい女の子が居てね。

その子にじっーと顔を見つめられていたんです。

最初は偶然視線が合っただけだと思ってたんですが気のせいじゃなくて女の子がこっちにスタタタってやって来たんです。

ポーっとしてる感じのちょっと天然っぽい子なのか、いきなりだからこっちも驚いたのですが初対面なのに懐にちょっこりと潜り込んで来たんですよね。

「おじさん・・・痒いよぉ・・・蚊に刺されて・・・」そう言って髭面にジョリジィリといきなり頬擦りして来たんです。

まぁ贔屓目に言って奇行ですよね。

でも何でそんな奇行したのかは大体見当は付くんです。

自慢じゃないですがカミソリの刃がたまに負ける程の超剛毛だったんでジョリジョリしたかったんでしょうね。

脱毛してなくて良かったw

そう思ってたらよっぽど痒かったのか髭で掻きむしった彼女の頬は血だらけだった。

流石にもう止めなさいって言ったんだけど。

「これ、ゲームやってるとすぐバグんですけど・・・直す方法とか知りませんか?」

671:POLYBIUS(5/49):2009/09/11(金)23:13:09ID:mzllQqqq0

女の子はグチャグチャにバグったニ◯テンドーDSのプレイ画面を観せてくれた。

ソフトは恐らくポ◯モンのプ◯チナVerだろうか?

フィールドと建物とポ○モンがぐちゃぐちゃに融合したシュールな光景が広がっている。

なんだこれ本当にポ◯モンか?

見た事無いバグり方してるね。

どんなバグ技使ったの。もしかして改造した?

「んーん、普通にやっててこうなった。てか、私が遊んだゲームはみんなこうなるよ。」

変なの、じゃあ不良品か?

その内に洒落怖ファンの集いの酔っ払い達に絡まれて何だ何だロリコン変態か?

と盛大に勘違いされ焦った。

 誤解は一応解いたのですがオカルト談義しながら一緒に飲む事になっちゃいました。

話によるとその子はHちゃんと言って集いに参加してたメンバーの娘さんで、中学生だったんですけどご両親も相当に酔興な方でしたね。

メンバーは普通の会社員A(Hの父)、ライターのB、主婦のC(Hの母)、レトロゲー専門店のオーナーD、O大の2回生E、自称ギークの※おまいら(注※おそらくニート)F、その他Fの手下の無職の※おまいら達(注※十数人居るが省略。)G、I(Cの姉)。

今はもう無いけどかなりの大所帯でしたね。

所で皆さんは何歳の頃まで宇宙人の存在を信じていただろうか。

宇宙人が擬態したり着ぐるみを着て人類社会に紛れ込んでいるという陰謀論は欧米を中心に人気がある。

地球動物園仮説(保護区仮説とも)と言ってまるで動物園の飼育員の様に人類を見守っているという説は有名だが、あべこべに狂暴な爬虫類ソックリな人喰い宇宙人がシークレットガバメントという影の政府を利用して人類を裏から支配、或いは裏取引をしているというショッキングな仮説もある。

672:POLYBIUS(6/49):2009/09/11(金)23:13:28ID:mzllQqqq0

そうするとアブダクションやキャトルミューティレーションとかいう物騒な事件はまさに彼等による典型的な人体実験という事になる。

ならば人間の住む世界はどこからが現実でどこまでが彼等の舞台装置なのだろう。

想像力を逞しくするのであれば「The Tru○an Show」の様に人生全てに至るまで彼等の実験台なのだろうか。

プチエンジェル事件に代表される腐り切った戦後レジーム社会。

反日自虐史観やケケ○に代表される悪辣な売国奴官僚や新自由主義者の跳梁跋扈するスパイ天国。

二度の世界大戦や世界各地で発生する紛争やテロリズムにいつまで経っても解善されない失業率と貧困。

確実に増え続けるシャッター街、倒産し続ける中小企業。

新たな村八分身分制度が爆誕したとしか思えないニート差別、非正規差別、派遣村。

そういう弱者の味方をするよりも言葉狩りや補助金セビリに忙しいプロ市民。

世界中の紛争地帯に撃ち棄てられた劣化ウラン弾、核実験、原発事故による放射能汚染や津波、大地震、巨大ハリケーン。

隣国の瀬戸際外交を装った反日国達の巧妙なユスリ。

SARS、鳥インフルエンザの世界的流行。

遺伝子組み換え技術やナノマシンの脅威。

将来的にはプレデターの様な無人攻撃機や戦術核・・・そして確実に誕生するであろう危険極まる未来技術がアノニマスなどの裏社会を介して世界中のテロリストや不逮捕特権のある売国セクトの手に拡散し大変な事になる。

テレビは相変わらず変な奴等の独壇場。

ネット民度の低下も品性を疑うテラ豚丼事件を始め緩やかに社会問題化しつつある。

AI監視社会はほぼ実現しつつあるしこんな社会で育ったら小学生でもお手軽に超限戦に参加出来る地獄の時代に突入しちまうだろう。

 673:POLYBIUS(7/49):2009/09/11(金)23:13:56ID:mzllQqqq0

これら混迷とした世界情勢全てが宇宙人によって面白半分に操られた実験結果なのだとしたら、それはちょっとした恐怖だろう。

そう言えば宇宙人崇拝の他にも地球球体説を疑う地球平面協会という珍妙な連中が欧米には結構居るらしい。

地球が平面世界だなどと我々善良な一般人にとっては随分とトンデモしい主張だが、スペースコロニー宜しく全てが洗脳であり地球が巧妙な実験ケージであるならば然もありなんであろう。

もしかしたら本物の地球はとっくの昔に爆破されており我々はモルモットとして檻の中に囚われ騙されている憐れな白兎なのだろうか?

またそれら悪玉宇宙人と闘ってる善玉宇宙人が居り、どれ神仏だ天使やのと言われるものの正体が正にそれだという荒唐無稽な話まで存在し非常にバリエーションに富んでいる都市伝説なのだ。

他にもそういったオカルトウォーズの存在証拠を一般人の目から隠蔽する事を生業とする隠者達の噂もよく聞く。

「ブラックメン」という言葉に聞き覚えはあるだろうか。

KGBやらCIAだのスパイ組織の宇宙人版であると言えばご存知の方も多いだろう。

そう、あの某有名ハリウッド映画でもお馴染みのサングラスを掛けた怪しげな黒服集団の事である。

主に米国で1920年代頃から目撃例が報告されているのだが、ヨーロッパの夜会で度々目撃されたヴェネツィア十人評議会の「黒い男(黒い外套を纏っていたとされる)」にその起源があると考える者も居るらしいが・・・

要するに実在するのかどうか判然としない非常に胡散臭い連中なのだ。 

が、実はこのブラックメンにまつわるゲームがこの世に存在していたという噂がある。

674:POLYBIUS(8/49):2009/09/11(金)23:14:22ID:mzllQqqq0

それが『Polybius』である。

日本語では表記揺れがありポリビアス、ポリビウス、ポリュビオスとも。

Polybiusは1980年代にアメリカ オレゴン州のポートランド郊外、若しくはイギリスのハンプシャー(こっちのはデマだろう)のどこかで稼働していたとされる伝説的アーケードゲームだ。

筐体設置店ではその常軌を逸した依存性のせいで連日長蛇の列となり、並ぶ順番を巡って度々乱闘事件まで起こったという逸話を持ついわゆる「曰く付きゲーム」でもある。

話は飛ぶが今から話すのは集いで聞いたアオさんという方にまつわる体験談だ。

集いではその頃Polybiusに関する都市伝説を追っていたのだ。

彼等はBさんFさんやDさんを始めそれぞれ業界に独自のコネを持っており、アオさんという日本人が80年代当時に現地で観光していた際にPolybiusをプレイした事があるらしいという情報を掴んでいた。

アオさんはちょっと変わった方で変なものを集めたりそれらを改造する怪癖があった。

変なものっていうのは何と言うのかな・・・

どうやら発売中止になった曰く付きのゲームみたいなのを好んで蒐集していたらしい。

どんどんオカルト染みた話に凸入してしまい恐縮だがPolybiusはCIAのProject MK-ULTRA(MKウルトラ計画)との関連性も根強く囁かれている。

この計画はOperation Paperclip(ペーパークリップ作戦)で連合国側にオルグされたとされるナチス残党やUFO・超能力研究とも絡めて語られる事も多い。

真偽不明の噂によればPolybiusをプレイするとプレイヤーは謎の精神活性に至り癲癇、痙攣、依存症、健忘症、夜驚症、不眠症、記憶喪失などを引き起こし時に超常現象をももたらす。

非常に危険なゲームで発狂者や自殺者まで続出した。

終いには一部のゲーセンオーナーまで巻き込んでプレイする権利を掛けて拳闘を行うまるでファイトクラブの様な賭博組織まで出来上がる。

 675:POLYBIUS(9/49):2009/09/11(金)23:14:41ID:mzllQqqq0

それらの摘発の為FBIまで動いていた様なのだ。

ブラックメンは一体どんな目的でこんな危険なゲームを設置したのか。

その強い依存性から洗脳実験の類だろうと言われているが果たして本当なのだろうか。

例えば関与しているのがCIAではなくFBIの間違いだったとしたら・・・?

もしかして犯罪者予備軍の調査という線は無いだろうか。

しかしそれならPolybiusが犯罪を誘発しているのは何故だろう?

でなければ超能力研究とか・・・

例えばゲームを利用して子供達の中から超能力者を見つけ出す。

或いは超能力を開発する為の実験ならば脳に負荷が掛かり様々な精神疾患を引き起こすのかも知れない。

アオさんはそのPolybiusをプレイした恐らく最初の日本人だ。

曰く付きゲームの蒐集と言うが彼は一体どんな人物だったのか?

彼の素性や怪癖について色々と調べていた集いのメンバーによればとても奇妙なものだったと言う。

プロゲーマーであり凄腕のシステムエンジニアであり何でも出来る天才ハッカーでもある。

呪いのゲームの悪魔祓いをやっているが逆にゲームを魔改造して呪いのゲームを造り出す邪悪なクリエイターでもあったり。

彼に関する情報自体は沢山残っているのだが殆どが関係者の噂話ばかりで、証拠が何一つ無い。

それこそまるでわざと嘘の情報を混ぜて混乱させようとしている様な。

現実感が感じられないのだ。

後述するが唯一の手掛かりはゲーム業界では公然の秘密とされている奇妙なデバッカー業者についての情報だけだった。

もしかしたらそこにアオさんが所属しているのでは無いかというのが独自の情報源を持つFさんの洞察だ。

676:POLYBIUS(10/49):2009/09/11(金)23:15:09ID:mzllQqqq0

その業者は何と曰く付きゲームの霊障を秘密裏に除霊しているという噂があったのだ。

今みたいな立派なネット環境が無かったのも勿論あるけど当時のゲーム業界は色々と闇が深くそういった諸般の事情からそういう「曰く」が発生してもあまり表沙汰には出来なかったのかも知れない。

具体的な関与の疑われるタイトルを挙げるなら「手紙」「身」などだろうか。

これら存在を囁かれながらも実在の確認されていないゲームや不可解な理由で発売中止になったゲームが日本にも幾つか存在しており遊ぶと様々な不幸が訪れ最悪の場合死ぬとされている。

肝心のPolybiusも存在を裏付ける証拠は今まで一切発見されていない。

その為Polybiusは表向きには2000年代頃に生まれた比較的新しいネットミーム、ある種の良く出来た都市伝説だとされている。

僅かに目撃証言も存在するのだが、恐らく「T○mpest」「P○blius Enigma」「B○bbles」といった既存タイトルとの混同に過ぎないだろうとされている。

当時からゲーム市場は流動性とかコストとか様々な開発難があるのは事実だ。

こういう風に適当な言い訳を発表して曰くを誤魔化すのは差程難しい事じゃなかったらしい。

けれどもどんなに隠蔽しようとメーカーのテストプレイヤーや試作機によるロケテスト、ベータテスト中にプレイしてしまった極少数のベータテスターなどからどうしても多少の情報が漏れ伝わってしまうのだ。

そう、Polybiusの様に。

アオさんは好んでそれらを蒐集し、あまつさえそれらに魔改造を施していた。

これはもう狂気の沙汰だ。

なぜ、アオさんがそんな危険なゲームにばかり手を出す様になったのか。

 677:POLYBIUS(11/49):2009/09/11(金)23:15:36ID:mzllQqqq0

そもそもどんなルートを使って入手していたのだろう?

その切っ掛けとなったのも例のPolybiusらしかった。

ちょっと時系列を整理してみる。

それはまだアオさんが子供だった頃の出来事だ。

父親の仕事ついでのオレゴン観光に母親と共に付いて行った時に彼は偶然立ち寄ったショッピングモールで長蛇の列を見つけ興味を抱く。

列はゲームセンターへと続いておりそこには何とPolybiusが設置されていた。

好奇心から早速列に並んだアオさんは数時間待ち続けPolybiusを数分間プレイしたそうだ。

Polybiusの副作用のせいかオレゴン旅行から日本に帰ってしばらくするとアオさんは悪夢に魘される様になった。

それはどんな悪夢だったか?

夢の中のアオさんは包丁を持った者に追跡されひたすら逃走を続ける。

追い掛けて来るそれが一体何者なのかは分からなかった。

夢の中ではベットに逃げ込む事が多かった。

しかしある時アオさんが悪夢から眼を覚ますと無表情な父と母がベットのアオさんの顔を覗き込んでいた。

アオさんは悲鳴を上げるが両親は無感動だ。

よく見ると両親はイビキをかいている。

両親はその体勢のまま眼を開けたまま立ったままで眠っていたのだ・・・手に包丁を握り締めて。

しかしその悪夢は数日で収まった。

678:POLYBIUS(12/49):2009/09/11(金)23:16:02ID:mzllQqqq0

それから差程日を置かずアオさんは何か大きな心の隙間を埋める様にひたすらゲームにのめり込んでいった様だ。

その後10代で日本屈指の実力派ゲーセン荒らしとして頭角を現し様々な武勇伝を残したらしいのですが当時のアオさんに関する情報は地元ゲーセン仲間の証言や又聞きのみに限られるなどかなり限定的なものでした。

特に業界人の口が軽いのが逆に疑念を抱かせる。

何故か彼は実力と反比例する様に表舞台に出る事を極端に嫌った為、闘劇など大きな大会への出場記録も全くありません(何等かの偽名で参加していた可能性迄は否定出来ないですが・・・)。

恐らくですが前述の危険なゲーム蒐集と関係していたのでしょう。

これはあくまで集い仲間達の推測なのですが、アオさんは表舞台に出ない代わりに業界から曰く付きゲームを優先的に流して貰える様な何等かの契約をしていたそうなのです。

なぜそんな事が出来たのか?

それはアオさんがPolybiusから生還した数少ないゲーマーの一人だった事が関係している。

Polybiusに関する情報がなかなか表に出ない原因としてブラックメンの暗躍の他に「プレイした者が悉く発狂し証言する者が一人も居ないからだ」という恐ろしい考察が存在する。

アオさんがPolybiusをプレイした時はまだ幼く脳へのダメージが少なかった。

それに旅行中だった事もあり長時間のプレイも行っていない。

恐らくそれが原因でアオさんは何等かの力に覚醒したのだと・・・

或いは単にレアケースだったのかも知れません。

曰く付きゲームをプレイし更に改造を施し無力化(?)迄してピンピンしているのを考えるとアオさん=能力者説は大きな説得力を持ってくるのだ。

霊障に強い。

つまりアオさんは除霊にうってつけの人材だ。

 679:POLYBIUS(13/49):2009/09/11(金)23:16:45ID:mzllQqqq0

集いのメンバーの何人か(B、D、F)は思い切ってホラーゲームの取材と偽り問題のデバッカー業者に接触を試みたそうだ。

回答は返って来て取材も受けてくれたのだが、業者はやたらと能天気な口調で某除霊アクションゲームの製作中にスタッフが怪死しただとかツナカユリコの呪われたセーブデータに関する怪談話だとか

ググれば誰でも調べがつく様なありがちな都市伝説解説ばかりで、いつもなら当たり前の業界こぼれ裏話的な収穫は全く無かった。

不自然な程に。

流石にこれはおかしいという事で推測が事実だから警戒されているのだろうという結論に至る。

あのデバッカー業者は間違い無くアオさんと関連している。

そして業界全体で何かの隠蔽が行われている。

しかしこれ以上何も有益な情報は得られない。

よってここで集いメンバーによる一旦打ち止め飲み会でもやろうという話になったそうだ。

飲み会で自分はどうやってアオさんの手掛かりを掴んだのか聞いてみた。

単なる怪談愛好洒落怖ファンの集いがなぜそんな秘密を知り得たのかに興味が沸いた。

切っ掛けはBさんが秋葉原の道端(丁度今のめいど○ーみん前)で拾ったというある曰く付きゲームだったそうだ。

実物を見せて貰うとそれは何の変哲も無いプ○ステ用メモリーカードだった。

これスーパーの袋に入ってたんだよね。

最初はゴミかと思ったんだけど。

他には「T○TRIS・THE GRAND MASTER(プ○ステ用)」「D○nce D○nce Revolution 5th mix(プ○ステ用)」と「100円ライター」「1万7千円がチャージされているS○ica」「メモ帳」そして一枚の「名刺」が入っていた。

Bさんのタブレットで録画したプレイ中画面の撮影画像を観せて貰った。

680:POLYBIUS(14/49):2009/09/11(金)23:17:12ID:mzllQqqq0

Memory Card (P○2)/2

    身

2005/04/01 10:11:15

 10キロバイト

え?もしかしてこれちょっと前に2chで話題になったやつですよね?

・・・これって本物なんですか?

そう。

不幸を呼ぶ「身」のプ○ステ用メモリーカードデータだね。

実物なのかマニアが改造したものなのか僕には専門知識も無いから真相は分からないけどもFさんとDさんが言うには間違い無いそうだよ。

それからこっちもなかなか興味深いものだよ。

そう言うとBさんは先程の一枚の名刺を袋から取り出す。

そこにはこう書かれていた。

 681:POLYBIUS(15/49):2009/09/11(金)23:17:55ID:mzllQqqq0

○○○○○(有)代表

中本 諭

www.xxxxxxx.jp

(TELxxーxxxxーxxxx)

本社 xx県xx市xx-xx

東京支社 xxx区xxx-xx

実はこれがアオさんの名刺なんじゃないかと僕は睨んだ。

情報が何も出て来なかったけどね。

それからコイツもあるよ。

BさんはT○TRISのソフトを袋から取り出した。

これT○TRISですか?

懐かしいですね、プ○ステ版なんてあったんだ。

よくゲーセンでやりましたよ・・・でも、これがどうかしたんですか?

実はね、これって本来出回っちゃいけないタイトルなんだよ。

このソフトは99年に発売予定だったんだけど、ア○カ社の「T○TRISは基本的に1つのプラットフォームにつき1タイトルしか認めない」という方針に従って急遽発売中止となったソフトなんだ。

試しに○oogleで検索してごらん?

 682:POLYBIUS(16/49):2009/09/11(金)23:18:09ID:mzllQqqq0

これと同じパッケージイラストは一件もヒットしないと思うよ?

つまりこれは市販される事の無かったパイロット版という訳だ。

へぇ~

でも、やっぱりそれって表向き・・・の話ですよね?

実際は例のデバッカー業者が絡んで。

そうだよ。

実際にプレイしてみて分かった事なんだが、やはりこのT○TRISも曰く付きのゲームだった。

これを糸口に興信所に調べて貰ったら面白い事が色々と分かってね。

仲間を集めて彼・・・アオさんについて色々調べてみる事にしたんだ。

残念ながら成果は0になってしまったけどね。

夜も遅いという事でべろんべろんに酔い潰れたAさんを自分が肩車しながら見送る事となった。

「おい自分君!お前なんかにHちゃんはやらんどぉ!」

まっまだ言いますかwお父さんww

「てっ・・・てめーにお父さんと呼ばれる筋合いわぁああああああ!

ちょっとオモテ出ろやあぁあああああ!」

いや、もう既に家路を歩いてますって・・・・

 683:POLYBIUS(17/49):2009/09/11(金)23:18:20ID:mzllQqqq0

「すいません。酔うとこの人アホな事口走るんです。」

居酒屋の某洒落怖ファンの集いで聞いたお話はだいたいここ迄です。

しかしこの後に急転直下の出来事が起こる事をこの頃はまだ知る由もありませんでした。

 ーーーーーーー

打ち上げから数日後、メンバーの一人から進展があったという連絡が入った。

メンバーの一人が実際にPolybiusをプレイしたという衝撃の報だった。

それはデバッカー業者への取材も行ったDの体験だ。

驚くべき事に米軍関係のホテル(恐らく在日米軍保養地の事を言ってるのだと思う)のロビーに置かれていたアーケードゲーム筐体の一つが何と本物のPolybiusで、それが全くの偶然なのだがDの経営するレトロゲー専門店の修理部門に持ち込まれたのだという。

持ち込んだ米軍関係者の話によれば20年程前に地元の業者から購入された筈だが殆ど遊ぶ者も居らずロクに整備もされていなかったので故障してからどの位経っているのかも正直分からないそうだ。

驚きを隠しつつも早速修復し数分間プレイしたという。

数分プレイしただけだがそのゲームシステムは2色(青と黒)の幾何学的グラフィックで構成されているダンジョンをUFO型の戦闘機に搭乗し攻略していくものでT○mpestに非常に良く似ていたと言う。

それとは別に都市伝説を元にDさんが趣味で自作したPolybius筐体にもROMデータをコピーして社員にもプレイさせてみた。

すると問題無く動作したがプレイ途中急に画面が暗転した。

社員の話によれば目を凝らすと一瞬影の様なものが画面に写り込んでいたそうで、それは三編お下げ髪をした青白い女の顔だったらしい。

何度か再起動してみたがその都度ラップ音と共にバグったり悲鳴としか思えないおぞましいハウリングノイズを発したりと動作がどうにも安定しない。

684:POLYBIUS(18/49):2009/09/11(金)23:18:40ID:mzllQqqq0

Dさんはこれを霊障と判断し以後社員には厳重封印する事を命じた。

ROMデータなど諸々コピーしたAは修理した筐体を米軍関係者(?)に返却し今はROMデータを持って東京に向かっているという。

米軍基地の方々に万が一危険が及ばない様にと返却したPolybiusには代わりにT○mpestを入れておいたそうだ。

「別にPolybiusを消した訳じゃない。

9999999点以上のハイスコアを何度も連続して出せばちゃんと隠しステージとしてPolybiusが起動する様に弄っておいたので法律的にも別に問題無い筈。

ちゃんと修理しているし安全面にも配慮している」

との事。

確かにホテルロビーで延々9百万点目指す変人などまず居ないだろうが・・・

数日後F、G達と共にDとの待ち合わせ場所の東京の某ホテルに着くとDの様子が明らかにおかしかった。

話を聞くと何と東京に着いた直後に怪異に遭遇したらしかった。

Dさんは窶れた表情でお恥ずかしい話になってしまいますがと無感動に前置きして話してくれた。

夜中に東京駅に到着したDは徒歩で予約しておいたホテルまで向かっていたそうだ。

すると遠くに読書をしながら歩いて来る学制服姿の若い女が見えた。

東京では珍しくも無いのだろうが不気味な程に静寂な夜道をたった一人でゆったりと歩いて来る。

 685:POLYBIUS(19/49):2009/09/11(金)23:19:01ID:mzllQqqq0

嫌な予感がしてすぐに目を反らした。

それはもう少しでスレ違うであろうという刹那だった。

社員の目撃したという青白い女の事を思い出しどうしても女の顔が気になってしまい一瞬顔を見上げた。

すると女の腹部の辺りに何か違和感を感じた。

女の顔から目を反らし腹部を再確認するとセーラー服の隙間から傷の様な線が見えた。

盲腸か心臓移植の手術痕か何かだろうか?

よくよく目を凝らすとそれは手術痕ではない。

それは明らかに皮膚に穿たれたファスナーだった。

「ァハハハハハハハハ」

こっちがそれに気付くか気付かないかの間に女は急に高笑いを挙げると本を擲ちこっちに向かって走って来る。

「ぅうぉわあっあああぁぁ」

Dさんは情けない絶叫を挙げながら全速力で逃げ出した。

路地に飛び込みメチャクチャに逃げ回った。

こういう時に限って交番が見当たらない。

5分位全力疾走して息切れしたので後ろを振り返る。

もうそこには誰も居なかった。

「はぁはぁ・・・あ、あれ・・・何だったんだ?あっ悪趣味だな・・・猟奇映画のコスプレか・・・」

686:POLYBIUS(20/49):2009/09/11(金)23:19:19ID:mzllQqqq0

息切らせながらそう呟いた瞬間。

一糸纏わぬ姿であの女が脇道から突然に飛び出して来た。

腹に穿たれたファスナーは全開で両手一杯に飛び出た自分の臓腑を抱えてあの高笑いを響かせながら・・・Dさんは女に押し倒されそのまま女は吐血した。

臓腑の生暖かさ腸と心臓の痙攣と鼻がもげそうな血生臭ささの中でDさんは血塗れになりながらひたすらに嘔吐を繰り返す。

女は自分の腸をDさんの首に巻き付け始める。

何だコイツは?絞殺する気か?

これは食人鬼の類なのか?このまま殺されるのか?

その内空になった胃が激しく痙攣し凄まじい痛みに襲われたDさんはとうとう失神してしまった。

目が覚めてみるともう朝で周囲には誰も居らず着衣の乱れも血の跡も無かった。

暗い灰色の空が広がっている。

生きているという実感が感じられなかった。

一刻も早く合流したい。

吐き気を堪えながらホテルへと向かう。

ホテルに着くとすぐに待機していたコンシェルジュと目が合った。

「もしかしてD様でございますか?ご友人の方達は既にお着きの様です。良い休日を。」

少し心配そうな顔をして教えてくれた。

こうなったら筐体もROMデータも破棄するしかない。

どこか怪異というものを甘く考えていた・・・今回の出来事でそれを痛感した。

 687:POLYBIUS(21/49):2009/09/11(金)23:19:42ID:mzllQqqq0

そんな事を考えながらDは部屋に向かった。

ドアを開けた瞬間。

鴨居部分に結束されたロープで首を括って冷たくなったA、B、C、E、F、H、Iの姿がDさんの目の前に飛び込んできた。

部屋の床には死体から千切れた腸が散乱して異様な臭気を放っている。

そう、昨日の悪夢の様に・・・。

「そんな・・・そんな・・・まさか・・・ツナカ ユリコが・・・!?」

Dは糸の切れたマリオネットの様に腰が抜け呆然とした。

数分経ってG達が駆け付けた。

「すいません!DさんDさんどこですか?あ!居た居たDさん大変です!」

返事をしようにも体が動かない。

「Dさん聞いてます?なんか修理部門の方から連絡あったんですけど・・・え?うわあああ」

「大変ですDさん!Polybiusをプレイした社員さんが首を吊・・・う、うわあ゛あ゛あ゛あ゛ああああ」

部屋の中に入った瞬間彼等は嘔吐した。

Dさんはこの時もう何も考える事が出来なかったそうだ。

688:POLYBIUS(22/49):2009/09/11(金)23:20:10ID:mzllQqqq0

無意識の内に手に千切れた腸を握り絞め自らの首に幾重にも巻き付けながら再びDさんは深い深い眠りに落ちた。

そして凄まじい頭痛と共にツナカ ユリコに襲われたあの道路で再び目が覚めた。

とりあえず再びホテルに向かうが局部に痛みを感じる。

怪我は無かったがどうやら夢精していた様だ。

剥き出しの長い腸で首を絞めて来たあの気色悪い女を思い出しDさんは再び嘔吐した。

喉が焼ける様に熱い。

いくら吐いてももう胃液しか出なかった。

以上が話のあらましだ。

集いのメンバーはA、B、C、E、F、H、Iの全員が無事だった。

修理部門の社員さんも。

しかし、まさにこれこそ最悪の悪夢と言える。

ホテルに集合した全員一致でROMデータの解析は中止する事に決まった。

仕方が無い。

たった数分プレイしただけのDさんがこれだけの精神的ダメージを受けているのだ。

すっかり窶れてうなだれているDさんが口を開いた

「たった今、社員にコピー筐体の廃棄を命じたよ。このROMデータも早く・・・」

「いや、それは流石に勿体無いと言うか・・・ROMデータ位なら別に・・・やんなきゃいいだけの話だし」

 689:POLYBIUS(23/49):2009/09/11(金)23:20:22ID:mzllQqqq0

「あのなぁ!死にたいのか!おまえらはプレイしてないからそんな事言えるんだ!こんなもんさっさとぶっ壊しちまえ!」

議論はいつの間にか口論に発展していた。

普段温厚なムードメーカーである筈のDさんがこれだけ声を荒げるのも珍しい。

「あの、Dさんの言う通り廃棄すべきだと・・・」

そう口にしたその時だった・・・

ピピピ…ガガガー…ピピピピコーーン

どこからともなく軽快な電子音が響いた。

この部屋からではない。

「Polybiusの効果音だ!そんな馬鹿な!あれは店舗に置いて来た筈だ!」

Dさんの叫び声が部屋中に響く。

「あれ?そう言えばHちゃんどこ行っちゃったんでしょう?」

GさんがHちゃんが居ないと言い出した。

「何言ってるの?Hはまだ子供なのよ!今日はお家でIと一緒に留守番してる筈よ。

こんなヤバイ事になってるんだし連れて来る訳無いじゃないの!」

 690:POLYBIUS(24/49):2009/09/11(金)23:20:52ID:mzllQqqq0

Cさんがそう言いAさんも頷く。

「え、Hちゃんならさっきホテルのロビーで見たよ?AさんやCさんが連れて来たんでしょ?」

Fさんのその言葉にその場に居た全員が一瞬にして血の気が引いて恐慌状態と化した。

全員がロビーへと走り出した。

Hちゃんは俺達が護る「うおおおおおお!」G達が鬨の声を上げる。

「きゃああああHッ!離れなさい!」

「馬鹿な!これがここにある筈が無いのに!」

CさんとDさんの絶叫がロビーに響いた。

薄暗いロビーにはそこにある筈の無いアーケードゲーム筐体が置かれている。

コスプレだろうか、まるで妖精の様な可愛いらしい触覚と羽の生えたHちゃんが無邪気にそれで遊んでいた。

ピピピ…ガガガー…ピピピピコーーン

Aさんが素早く駆け寄りHちゃんを抱き上げ筐体から引き離す。

「うあぁぁ やだああぁぁんまぁだやる!まぁだやるのぉ!

まだ全部撃墜してないのぉ!悪いUFOなのぉ!」

 691:POLYBIUS(25/49):2009/09/11(金)23:21:55ID:mzllQqqq0

自分はこの時もう反射的に例のデバッカー業者に連絡を入れていた。

いかにも根暗で気難しいギークハッカーみたいなのを想像していたが、やって来たのはふくよか体型のちょこちょこ歩きなやたらとふざけた能天気口調な男性だった。

しかも頭に猫耳カチューシャを装備している。

それはあの取材に応じてくれた時「ツナカ ユリコ」についての都市伝説を語ってくれた方と同一人物だった。

後でインターネットで調べたけど確か三鈷剣って言うんだっけ?

よく空海さんみたいなお坊さんが持ってる金剛杵みたいなのに剣が付いてる金色の武器みたいなやつを彼は持っていた。

年齢は3、40代位に見えたが童顔の為か判然としない。

間違い無いだろう彼がアオさんだ!

アオさんに今の状況を簡潔に伝えた。

本物のPolybiusを運良く手に入れてコピーして数分間プレイしたら霊障が発生した。

その対策を講じていたホテルで客に返却した筈のPolybiusを発見してしまった。

これらが単なる悪夢や偶然だとは思えない。

そう伝えると彼は驚きの表情と共にPolybiusの筐体を調べ画面をまじまじと覗き込む。

眉間に皺を寄せ一瞬だけ画面を見てみる様に促した。

え?見て大丈夫なのだろうか?

恐怖で女に変身するんじゃ無いかって位にティムポとタマキンが縮み上がった。

692:POLYBIUS(26/49):2009/09/11(金)23:24:09ID:mzllQqqq0

それでも恐る恐る覗いてみるとそれはハイスコアリスト画面の様だった。

観た瞬間、ぞわぞわと鳥肌が逆立つ感覚に襲われた。

 

1.ツナカ ユリコ・・・9999999

2.ツナカ ユリコ・・・9999999

3.ツナカ ユリコ・・・9999999

4.ツナカ ユリコ・・・9999999

5.ツナカ ユリコ・・・9999999

6.ツナカ ユリコ・・・9999999

6.ツナカ ユリコ・・・9999999

6.ツナカ ユリコ・・・9999999

6.ツナカ ユリコ・・・9999999

6.ツナカ ユリコ・・・9999999

え!?

アオさんから聞かされた話を纏めると、ツナカ ユリコ・・・彼女はよくある世間一般で言われている様な単なる怪談話ではなく業界ではかなり危険な悪霊にカテゴリーされているらしかった。

だから日本のゲーム業界では長らくタブーがあって、主人公の名前入力欄に6文字以上の名前を入力不可能な仕様にしていた会社がかなり多かった。

彼女の名前を入力する事で発生する霊障や祟りを恐れていたからだ。

最近はゲーム会社も霊障対策をしっかりしてる所は増えた事もあり何とかそういった悪霊の力を封じる事が出来ていた。

693:POLYBIUS(27/49):2009/09/11(金)23:25:41ID:mzllQqqq0

けども、悪霊共も馬鹿では無い。

ツナカ ユリコの場合はよりにもよって悪名高きPolybiusに逃げ込み悪魔合体してしまったという事らしい・・・・

アオさんにはそれ以上詳しい事は教えて貰えなかったがBさんの推測だと「身」のセーブデータがツナカ ユリコの依り代となっていたのでは無いかと言っていた。

確証は無いが恐らくPolybiusの謎を追い掛けていた筈が実際にはあべこべに悪霊に魅入られてまんまと罠に引き寄せられ餌食にされる寸前だったと言う訳だ。

もし仮にPolybiusの謎を追う過程で何かのボタンの掛け違いからデバッカー業者の存在に辿り着けなかったとしたら我々は・・・

あのBさんの拾った袋にアオさんの名刺が入っていなければ今頃・・・

彼はPolybiusの電源コンセントを引き抜いた。

しかしPolybiusは稼働し続けている。

実際は電源は落ちてる筈で何とかビビらそうと霊障を起こしている。

悪足掻きだとアオさんは言った。

 ーーーーーーー

これ以上Hちゃんの身を危険に晒す訳にはいかない。

まずDさんは病院へ。

Aさん一家もこのまま別ルートで帰宅する事にした。

ゲームの知識の無いコンシェルジュはロビーに筐体が一台増えていた事に全く気付いていない様だった。

きっとその横に置いてある「ぷ○ぷよ」や「○トⅡ」とPolybiusとの区別も付いていないだろう。

何か一から説明するのもめんどくさいので「筐体が故障していたので無償修理をしたい」と申し出てホテル側と交渉した後アオさんの指示でPolybiusを車に載せてアジトとやらへ向かう。

694:POLYBIUS(28/49):2009/09/11(金)23:26:10ID:mzllQqqq0

後でまたT○mpestと交換すれば気付きはしないだろう。

それは都市伝説で言われている様な黒塗りセダンでもメルセデス・ベンツでも無く何故か竿竹を満載しただけの平凡な軽トラックだったが。

そこに筐体をゴムバンドでしっかりと固定しのろのろ運転でアジトへ向かう。

運転中にアオさんは「ツナカ ユリコは俺の嫁!」だとか相変わらず能天気な口調でジョークを噛ましている。

何やら普段からアオさんは竿竹屋のフリをしているらしく竿を売ったり他の曰く付きゲームを札束で買い取ったりと怪しげな接客をしながらアジトへ向っている。

その為到着する頃には黄昏時になっていた。

アジトはマンホールの下にあった。

どうやらそこは放棄された下水道を秘密基地に改築したアジトの様に見えた。

サイケデリックな仏様の描かれた鉄の扉の横には海洋冒険小説に出て来る様な隔壁ハッチが取り付けられている。

部屋に入ると缶詰や備蓄非常食の山積みの向こうにレトロな玩具やゲームが所狭しと散乱していた。

何でも大水等の水害時にはアジトは長期間完全水没してしまうので防水ハッチで密閉籠城し水が引くまでの食料は必ず備蓄しているとの事だった。

積みゲーが腐る程あるので退屈はしないとの事だが・・・(^_^;)本当にこんな所で人間が住んでいるとは。

そんな事よりどうやって除霊する気ですか?もう夕方ですよ?

「心配なっすうぃんぐ!確かに黄昏時は怪異を強大にする。

けど裏を返せば強く顕現している以上こっちの攻撃もクリティカルヒットし易いんだなこれがw

ちな除霊にはグローバルな闇サイトを利用するにょ」

 695:POLYBIUS(29/49):2009/09/11(金)23:26:49ID:mzllQqqq0

いわゆるDeep web最深部に存在する世界の裏社会御用達のアングラ系闇サイトDarknet marketと呼ばれる世界には麻薬、小児性愛虐待、ポルノ、売春、腐敗その他にからむ『緩やかなネットワーク』が存在している。

そういったハクティビストコロシアムにコイツを放り込むのだ。

勝てるんですか?

「有効なんじゃないの?完全除霊は無理だろうけど良いデータが取れるかも。」

アジトと呼ばれる地下室でキーボードを叩き続けながらアオさんは言った。

「インド人全員がスマホで一斉に呪いのゲームをプレイしたとする。

ツナカ ユリコに10億人を殺せるか?そこまで強大なのはそうそう居ない。

悪霊とか妖怪ってつまり別次元、或は物理法則の外側の存在って事だろ?

そういうのにちょっと心当たりがある。」

どういう事だろう?

つまり悪霊ツナカ ユリコと言えどもDeep webの暇潰しに飢えた老獪なハッカー共相手じゃ流石に分が悪いという事だろうか?

直後アオさんの手が止まり急に押し黙った。

どうしたんですか?

696:POLYBIUS(30/49):2009/09/11(金)23:27:21ID:mzllQqqq0

Polybiusの画面が突如として暗転しシステム調整画面から何かの風景画面へと切り替わった。

しかしこれは当時のゲーム筐体の画素数的に有り得ない事ではないのか?

静寂さを湛えた薄暗い街並みがそこには映し出されている。

オフィスビルが広がっているが生気は一切感じられない不気味な風景だ。

タダと言われてもこんな街には絶対に住みたくない。

よく観察すると黒い影が幾つか漂っていた。

連想される近いものを挙げるならばS◯LENT HILLのクリーチャーや南極のニンゲン・・・とでも形容すべきモノだろうか?

アオさんが画面の端に眼を凝らす。何かがある。

黒く変色した道路(乾いた血溜まり?)にサングラスに黒服姿の男が倒れている。

しかし何かに身を包んでいる様だ。

そうだ・・・これは地下鉄サリン事件の時にニュース映像で観た記憶がある。

黒服は下半身に化学防護服、或いは防爆服を纏っている様に見えた。

が、よく見ると無惨にも所々が引き千切られ腸や骨が露出している。

どうやら死体の様だ。

・・・デスタウン

アオさんはそう呟いた。

「デスタウン・・・人類最後の開拓地。

近い内にハイテク独占資本とAI産業によってこの世の全てが独占される日が来る。

その時、お払箱となった人類に残された最後の謎が紛れも無くこの中間世界。

いつの日か人類は宇宙という牢獄を超えて新天地を目指さねばならない・・・もう少し賢くなる為にもな。」

 697:POLYBIUS(31/49):2009/09/11(金)23:27:49ID:mzllQqqq0

そう、例の都市伝説。

悪霊や怪異の跳梁跋扈する中間世界と呼ばれる異世界。

おっさんは異世界に迷い込んだ者に警告を発すると言うが・・・

「恐らく彼はブラックメンだね。

恐らくデスタウンの隠棲動物か異星人に襲われて殉職したんだろう。

軍や政府が中間世界を軍事施設や倉庫として借用しているって噂がある。

異世界を隠すのにゲームの世界はうって付けだからね。」

そう言うとアオさんは敬礼した。

部屋に居る我々もつられて敬礼する。

確かにこうした異世界は一説にインターネットとも繋がっているそうだが。

「大丈夫なんですか?デスタウンってアクセスと同時に死んじゃうんでしょ?」

「大丈夫、対策はしてる。依代が漏れやもまいら生者の存在をマスクしている。」

依代?

「知らない方が幸せな事ってあるにゃもな。

まず隠棲動物共に気付かれる事は無い筈・・・にょ?乱入者か?」

アオさんが呟くと重武装した黒騎士の様な格好をしたネトゲのアバターキャラみたいなのが遠くから歩いて来る。

698:POLYBIUS(32/49):2009/09/11(金)23:28:31ID:mzllQqqq0

画面上に挨拶文が表示された。

Bさん曰くポルトガル語。

アオさんが反応する。

「あーえーっと、『訊ぬ・・・ナカモト サトシ・・・闇の巣に何を求め来たるか・・・』もしかしてコイツ黒騎士か?顔見知りだわwオイラは※ホワイトハット(注※犯罪行為を行わず警察に協力する善玉のハッカー。

例えば90年代のウイルス対策ソフトを未だに使用していたりするといったシステムに脆弱性のある企業に警告したりする等ボランティア活動を行ったりIT業界で雇われたりする。

但し日本では認知されておらず無理解な者によってハッカーと一緒くたに通報され処罰される傾向が非常に強くこの業界に入る事はオススメ出来ない。

かく言う私もアオさんに話を聞くまでハッカー厳密にはクラッカーと言うがそれら犯罪者とホワイトハットの区別が付いていなかった。)だから敵同士だけどな・・・

高見の見物にでも来たかにゃ?ちなみに噂だとポルトガル人ではなくロシア人らしいw」

同時に黒騎士の後ろで何かが光った。

それとほぼ同時にアオさんが眉間に皺を寄せ画面を凝視しながらキーボードを叩く。

「黒騎士、手を出すな。そいつは漏れのクライアントだ。」

アオさんはポルトガル語でそう書き込んだ。

クライアント・・・?

1秒も無かったと思うが、ほぼ瞬時にコメントが画面上に表示された。

 699:POLYBIUS(33/49):2009/09/11(金)23:28:59ID:mzllQqqq0

「野生のポリビアスが飛び出してきた! 黒騎士は逃げ出した!」

懐かしいG◯MEBOY電子音と流暢な日本語コメントと共に黒騎士はゆらりと煙の様に消えてしまった。

その時だった。

Bさんのスマホに着信が入る。

Cさんからのポップアップ通知も何件も届いてる。

「AさんとCさんからだ。」

電話に出る為Bさんが部屋の外に出た。

画面がまばゆい光に包まれる。

それはまるで死の街に太陽が昇った様だった。

ゆるやかに光が画面中央に集束していく。

そんな馬鹿な・・・光の正体。それはHちゃんだ。

全身がおぞけに締め付けられた。

その姿はまるで墓標の様な終末の街に舞い降りた天使そのものだった。

Hちゃんてこんなに美しかったのか?

もしかして自分は考え違いをしていたのでは無いか?

Hちゃんは本当に人間だったのだろうか?

仮の姿だったのだ。

700:POLYBIUS(34/49):2009/09/11(金)23:29:49ID:mzllQqqq0

Hちゃんは人間では無かったのだ。

この言語を絶する神々しさ・・・Hちゃんは天上界の存在だったのだ。

Hちゃんが人間だなどと自分はとんでもない思い違いをしていた。

「そんな!Hちゃんが家に居ないんですか?じゃあどこに?

え・・・私に娘なんか居ないって・・・

そんな嘘だ!Aさんアンタ何言って!」

部屋の外からBさんや話を聞いていたE、F、G達の動揺する声が響く。

まるで心を読まれた様な寒気がし絶句した。

アオさんは舌打ちをする。

「ああ、さっきの子のあの姿・・・コスプレじゃ無かったか。

迂闊迂闊・・・本気出すか。助けっぞ!」

その時だった・・・一瞬にして場の雰囲気が凍り付く・・・長い三編みを靡かせたあの制服姿の女が部屋に現れた。

ツナカユリコ・・・腹のファスナーに手を掛けている。

カタタタ

「ん、これDoS攻撃か?さーて、どこの暇人の指金だ?

Polybiusがどこまで耐久出来るもんかにゃww」

 701:POLYBIUS(35/49):2009/09/11(金)23:32:02ID:mzllQqqq0

画面が激しく明滅を起こした。

「おじさん・・・痒い・・・痒いよぉ・・・」

スピーカーからHちゃんの声が聞こえる・・・Polybiusの明滅が更に激しくなっていく!

アオさんが叫んだ!

「馬鹿な!押されている?30年前の基板だぞ?

インターネットが・・・敗北・・・消滅するだと?

認めねぇ!おい!おまいら手伝え!

Hちゃんの事を覚えている奴はこっちに来い!

おまいらの力で心を合わせろ!」

ドン!ドタタタタ!

ドアを激しく開くとBとFとG達がアジトへ荒々しく乗り込んで来た!

「うおおおぉおおおおおおお!」

「死ぬなァHちゃーん!」

「がんばれHちゃん!」

「戻って来いHちゃん!」

「がんばれ!がんばれ!がんばれ!」

「Hちゃんを・・・返せっ!!!」

702:POLYBIUS(36/49):2009/09/11(金)23:32:40ID:mzllQqqq0

「痒い・・・痒いよぉ・・・痒いのおおおおおおお!」

その場に居た全員がその言葉を聴いた瞬間、筐体の奥で何かが焼き切れる音と共に鈍く青い光にアジトが包まれる。

直後に激しい頭痛が襲った。

目の前が真っ暗になった。

自分は不時着した戦闘機のコクピットで目を覚ました。

そこは雲一つ無い不気味な青空だった。

その代わりに無機質なコンクリートみたいな色をした気球が幾つか浮いており日差しはヒリヒリとするが太陽が空のどこにも見当たらず、代わりに見慣れたロゴマークの様に歪んだ窓が天に一つだけ浮いており星を散りばめた宇宙と繋がっている。

不安と静けさが包んでいるシュールな光景。

ここは明らかに人間の世界ではない。

まさか・・・ここが・・・だが、そんな事はどうだっていい!

Hちゃん!どこだ?どこだHちゃん!

叫んでいた。

Hちゃん!どこだ?助けに来たんだ!

くそ・・・Hちゃん・・・どこに・・・

 703:POLYBIUS(37/49):2009/09/11(金)23:33:12ID:mzllQqqq0

その大地はどこまでも終わり無く続く滑らかな芝生。

不意にこのおぞましき芝生に幾つもの素早い影がよぎった。

顔を上げた時に見えた光景を言い表すならば・・・

それは終末の景象だった・・・

逃げ惑う異形の隠棲動物の群れに輝く光線を浴びせる巨大な円盤の群れ。

異形の群れらが一遍に天へと降り注いでいる・・・

幼い子供の異形、赤ん坊を抱いた女の異形、老夫婦の異形、身重の異形・・・

円盤の光線は無慈悲に異形の無辜達の肌を引き裂いては臓腑の血で天を穢していく・・・

どうか我々の事を忘れないでくれ・・・異形達の瞳がそう訴えていた・・・

しかし、その顔は苦痛と恐怖に歪んでいた・・・

重い空気が・・・言い知れぬ不安が襲う・・・

お願いだ返事をしてくれ!

Hちゃん!Hちゃん!Hちゃん!

どこだ!Hちゃんどこだ!

 704:POLYBIUS(38/49):2009/09/11(金)23:33:46ID:mzllQqqq0

今助けに行くから!

どこにいるんだ?

返事をしてくれ!

その時だった・・・異形の臓腑の血で天が紅蓮に染まろうとしていた時・・・

急激に空と大地が闇に包まれた・・・

いや、眼前に捉えたそれは闇ではなかった・・・

それは巨大な竜の影だった・・・・

それはあたかも異形達の盾として円盤に立ちはだかっているかの様に見えた・・・

まさか・・・あれは・・・

痛い・・・痛い・・・痛いよおお

『やめろおおおおぉぉ 好きなんだHちゃあああああん!』

自分の肉体は自己増殖する巨大な鋼鐵城塞蒸気機関と化していた!

それは生命と叡知の融合大世界樹と化しただ光となって激しい怒りとなって天へと暴走していた・・・

 705:POLYBIUS(39/49):2009/09/11(金)23:34:11ID:mzllQqqq0

天へと・・・天へと・・・・そして光が・・・

「なぜこんなところに来たんだ!」轟音にも似た声が脳天へと直接響いた!

直後に意識が混濁していく・・・

「お願い起きて自分さん!目を覚まして!」

気絶していた自分の上で泣きじゃくるHちゃんの泣き声で目が覚めた。

最後まで気絶していたのはどうやら自分だった様だ。

「・・・勝ったのか?ツナカ ユリコに勝ったのか俺ら?」

Fが勝鬨を挙げるとその場は歓声に包まれた。

ーーーーーーー

 集いの解散が決定したが勇者達の為最後にHちゃん宅にて勝利の宴が開かれる事となった。

あの・・・さっきの空飛ぶ河童みたいな宇宙人の群れと派手にドンパチやってたUFOの出て来る不気味な空の夢は一体何だったんでしょうか?

アオさんに訪ねてみた。

「私も気になりました。

まるで北欧神話・・・ワイルドハントを彷彿とさせる光景でした。」

「まだ、信じられん・・・80年代のアメリカにあんなリアルで鮮明なバーチャルリアリティの技術があったですか?」

 706:POLYBIUS(40/49):2009/09/11(金)23:35:07ID:mzllQqqq0

アオさんが答える。

「夢だけど夢じゃなく現実の出来事だよ。

それにあれは空じゃなくて深海だ。

ニック・キャッスル監督の「The ◯ast Starfighter」って映画観た事ある?」

いえ、知らなかったです。

「イカンのぉ不勉強みゃも?」

はぁすいません。

「日本でも「ス◯ー・ファイター」という邦題で84年に劇場公開されているんだけどみゃ。

先進技術ってのは全部が全部世の中に出回る訳じゃ無いからね。

ああいうのは闇サイトによく動画が転がってる。

NSAが必死こいて削除しまくってるから今の所は一般人の目に触れる事はまず無いけど。

でも、デスタウンの存在を隠し通すのは彼等でも難しくなって来ている筈だよ。

あそこは中間世界や死後の世界だけでなく様々な異世界に通じている。

だって、ツナカ ユリコだけじゃない。

あの影の一族共は日本だけでなく世界中で暴れている筈だから。」

「ス○ー・ファイターって・・・ええぇ!?つまり、今の夢は宇宙戦争の映像なんですか!?

Polybiusも宇宙戦争兵士のスカウト用に開発されたって事ですか?」

Bさんが興奮気味に叫んだ。

 707:POLYBIUS(41/49):2009/09/11(金)23:35:39ID:mzllQqqq0

「ハッカーの間でも色んな説があるしあくまでもおそらくの話ね・・・でも、ご覧の通り人間の脳を経由してる映像だからかなり抽象的で不正確なものとなってる筈だよ。

現にあれを深海での出来事じゃなくて天空での出来事だと君達は誤認した。」

マジかよ・・・じゃああのUFOは・・・

「深海?じゃあUFOは一体誰を攻撃していたんですか?」

「ご想像通りあの河童みたいな連中だよ宇宙人じゃない。

あれは・・・海底人。」

海底人?

じゃああのいっぱい浮いてた気球は何ですか?

見た感じUFOとは違ってましたよね?

あれは何を攻撃してたんですか?

「目的は同じだよ。海底人。

気球はあの形状からして恐らく中国製。

多分、軍事偵察気球(スパイバルーン)に擬態させた対潜兵器だろう。」

宇宙戦争で人民解放軍と宇宙人が共同戦線を張っているって事ですか!?

「・・・これは戦争って言うよりも一方的な虐殺。

いや、どちらかと言や娯楽に近いもんだろうな。

 

708:POLYBIUS(42/49):2009/09/11(金)23:36:18ID:mzllQqqq0

それから共同戦線って可能性は限り無く低い。

見た感じ人類側がUFOへ一方的に媚を売っている感じだ。

しかし、あのUFOは気球に対して全く注意を払っていない。

きっと宇宙人は人類に対して無関心・・・

いやもしかしたら気球の加勢に気付いてすらいないかも知れないな。

大昔のソ連とか米軍もTR3Bとか作って同じ事をしてたそうだが止めた理由もそこら辺だろうね。」

「じゃあ戦・・・虐殺の原因は何だったんですか?

あなたの推測でいいから聞かせて下さい。」

「ちょい待ち・・・」

アオさんはW◯nnyの怪しげなXフォルダを開くと・・・

「2007.電影歌姫爆誕」

「2008.第二次世界恐慌」

「2009.韓国大統領暗殺未遂」

「2010.金正日糖尿病死」

「2011.3月に関東と東北に大災害」

「2012.人類滅亡説」

「2013.シベリアに隕石衝突」

「2014.ドンバス戦争勃発」

「2014.インドネシアMH航空370便撃墜」

「2015.パナマ運河で大事故が発生」

 709:POLYBIUS(43/49):2009/09/11(金)23:37:22ID:mzllQqqq0

「2016.桜島噴火熊本大震災」

「2017.米国第45代AI大統領誕生」

「2018.宇宙旅行本格化、EU分裂」

「2019.平成の次の新元号は磐余彦、米国でイデオロギー内戦突入」

「2020.第二次冷戦が勃発し東京オリンピック中止、マゼラン望遠鏡完成」

「2021.未知のウイルス北京風邪が大流行、ナノマシンによる遺伝子操作治療が普及し副作用が社会問題化」

「2022.総理大臣暗殺未遂事件」

「2022.第二次ドンバス戦争勃発」

「2023.ガジアンタプ・ダマスクス大震災、エジプト大津波」

「2024.富士山大噴火」

「2025.横浜大津波、世界大リストラ時代突入、インジウム戦争勃発」

「2026.人民解放軍沖縄台湾北朝鮮へ進攻、北朝鮮中国領となる」

「2027.暗黒の3日間によってEU消滅、リニア中央弾丸列車開通」

「2028.エネルギー革命でタイムマシンの原理が一般公開される」

「2029.第三次世界大戦勃発、人類初の火星有人宇宙飛行成功、サグラダファミリア完成」

「2030.パレトジュが流行語大賞。アニメのク◯ーズが大ブレイク、垂直農法が世界に普及」

「2031.北京風邪が再び大流行する、チョコレート廃絶運動激化」

「2032.核戦争勃発、と学会トンデモ本の世界ZZZZZベストセラー」

「2033.インドによる中国併合」

「2034.文学賞をAIが総舐め、人型含む作業用ロボット個体数が全世界数億体規模で普及」

「2035.アインシュタイン望遠鏡完成、3D投影建築技術の向上によって大工は失業し格安の硬質プラスチック建造物への居住が可能に、異星人プロキシマ・ケンタウリ人とのファーストコンタクト」にゃにゃ

 710:POLYBIUS(44/49):2009/09/11(金)23:37:52ID:mzllQqqq0

「2036.バイオ医療技術の向上でバイオ人工臓器の製造が容易となる」

「2037.レーザー核融合が実用化へ」

「2038.ガソリンの使用が終了する、ケネディ大統領暗殺に関する機密解除と情報公開がなされる」

「2039.ガンの特効薬が発明される、群馬に隕石衝突」

「2040.脳記憶のDL、UL、消去や記憶喪失の治療が可能になる」

「2041.世界人口が100億人突破、月面都市計画始動」

「2042.純資産1兆$超えの超富豪Trillionaireが誕生」

「2043.AIによって従来の量子論が書き換えられる世紀の発見がなされる。」

「2045.AIの起業した企業がAIによるAIの為のAI開発を行う時代へ」

「2046.デザイナーベビー完全合法化」

「2047.地球気候変動によってワイン農場消滅」

「2048.南極戦争勃発」

「2049.日本の人口が1億人を下回る」

「2050.全世界でデザイナーベビーの人口が数千人を超える、アマゾン消滅危機」にゃにゃにゃい・・・

「これでもみゃい・・・

これでもみゃい・・・

「 ▷****.*****/*******」

あった!これこれ・・・これからする話は情報源を明かせない。

だからこれはラノベとして聞いてくれ。」

 711:POLYBIUS(45/49):2009/09/11(金)23:38:21ID:mzllQqqq0

「・・・昔々、何万年も君臨した邪悪で野蛮な宇宙帝国がめでたく滅亡したとする。

レジスタンスを結成し抵抗していた正義の宇宙人達は報復として邪悪な宇宙人陣営を一匹残らず絶滅収容所送りにした。

しかし長年弾圧されてきた正義の宇宙人達の怒りや悲しみはそんな事では一向に収まらず、その憎悪の矛先は邪悪な宇宙人の進化生物学上のかなり遠い祖先に該当するあの深海生物にまで向かった。

だからとある惑星の深海生物の棲息地では今でも正義の宇宙人達による生かさず殺さずの深海生物殺戮ショーが繰り広げられているのだみょん。     めでたしめでたし。」

「ひぇええええ」

「・・・成る程・・・そういう事だったんですか。

未確認飛行物体っていうのは陸や空よりもむしろ海上での目撃報告の方が多いそうですからね。」

「マジかよ・・・ひでぇ話だな・・・・」

「かわいそう・・・」

「いえ、例えば人間だって野生の猿をトロフィーハンティングするし偉そうな事は言えないかも知れませんよ?」Bさんが穏やかな口調で言った。

「人間は愚かね」

712:POLYBIUS(46/49):2009/09/11(金)23:39:50ID:mzllQqqq0

勝利の余韻もとりあえず翌日に大事を取って集いの全員が病院送りとなった。

何も異常は見られなかったものの集団ヒステリーと診断された。

しかしHちゃんだけは羽の形をした痣が背中に残ってしまったそうだ。

それだけではなくHちゃんの私物であるボールペンや鉛筆がグニグニ曲がっていたりランドセルと定規やリコーダーが溶けた様に融合していた。

Hちゃんの私物どれもがシュルレアリスムやキュビズム絵画の様な現実離れした壊れ方をしていたのだ。

ノート等は幾何学模様や支離滅裂な文字や記号で埋め尽くされていた。

一番の驚きは集いのメンバーを除き友達も学校の先生も誰もHちゃんの事を覚えていなかったという事で今は完全に転校生扱いらしい。

先生やクラスの友達の特徴をポンポン的中させるので軽いエスパー少女騒動になっている。

Cさんが気にしていたのはPolybiusにHちゃんが取り込まれた時に一時的にしろAさんでさえHちゃんの事を忘れていた事。

で、夫婦仲が壮絶にヤバくなり家族会議でAさんへのお小遣い口座凍結という経済制裁が可決したそうだ(^_^;)

一時的にしろHちゃんの存在がゲームに取り込まれた事で現実に与えたバグだったのだろうか?

謎のゲームバグ誘発体質も改善しており、アオさんによれば「受肉したのでもう心配いらない」との事らしいが・・・

自分達はアオさんにPolybiusのコピー筐体残骸やら身のメモリーカードなどを全て引き渡す事になった。

今回こういう状況に陥った訳だし竿は竿竹屋に任せようと思ったからだ。

その後、霊障がピタリと止んだ頃にアオさんは音信不通となってしまった。

 713:POLYBIUS(47/49):2009/09/11(金)23:40:41ID:mzllQqqq0

だからPolybiusの実在の証拠は何も無い。

単なる洒落怖としてこの話を楽しんでくれれば幸いだ。

そしていつかあなたの街にもあの竿竹を満載した軽トラが来た時にでも思い出して欲しい。

ちなみにあのフロイト先生も腹が捩れそうな夢での体験や叫んだ言葉とかは恥ずかしくてHちゃんに言えなかった。

だから誰も見てないであろう洒落怖でHちゃんに告白・・・

Hちゃん将来大きくなったら結婚してくれー

( T∀T)やっぱ根性無しだわw

自分が嫌になうw 

714:POLYBIUS(48/49):2009/09/11(金)23:41:18ID:mzllQqqq0

オマケ

↓↓↓

最後に重要な事を二つお知らせします。

今回はツナカ ユリコを祓えはしたけど今度はどのゲームに取り憑くか分かったもんじゃありません。

大丈夫かとは思いますが一応、ツナカ ユリコ避けの呪文を皆さんにお伝えしときます。

アオさんによればこの名前をゲームの主人公などに付けて下さいとの事です。

ナカツ コユリ

助けになってくれる筈です。

あともう一個、必ずこれだけは実行して下さい。

実はこれをやんないとあべこべに悪霊を大量に呼び寄せてしまい大変な事になるん

Concrete
コメント怖い
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