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短編2
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メリーさん

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とある家族が引越しをすることになったのだが、その際に女の子が「メリー」と呼んで大事にしていた人形を誤って捨ててしまった。

とても悲しんだ女の子を哀れに思った両親は

「新しい人形、買ってあげるから」

となだめて、女の子も渋々納得した。

新しい土地での生活にも慣れ、女の子もやがてメリーという人形の存在を忘れていた。

そんなある日の夜、家に電話がかかってきた。両親がまだ帰宅していないため、女の子が電話に出る。

「もしもし。」

「…。」

「もしもし?どなたですか?」

「私、メリーさん。今、ゴミ捨て場にいるの。」

「えっ?!」

ガチャ…。

電話はそこで切れてしまった。

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メリーといえば、私が失くしてしまったあの人形だ。いたずら電話だとは思ったが、なんとも不気味だ。

すると直後、また電話が鳴り響いた。またきた…と思いつつも、両親からの電話かと思って女の子は受話器をとった。

「もしもし、お母さん?」

「私、メリーさん。今、○○駅にいるの。」

ガチャ。

また電話が切れる。

○○駅といえば、女の子が住んでいる地域の駅。いたずら電話にしては何かがおかしいと、女の子は思い始めていた。

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そしてまた電話が鳴り響く。またメリーさんなんじゃ…と思ったが、女の子は母親からの電話だと自分に言い聞かせて受話器をとった。

「もしもしお母さん!?早く帰ってきて!!」

「私、メリーさん。△△の前にいるの。」

ガチャ。

△△といえば女の子の家からすぐ近くにあるお店だ。女の子は、いたずら電話の主が次第に近づいてきている事に、この時気づいた。

言いようのない恐怖が女の子の心を蝕み始めた。

何かヤバい…と思った女の子は、母親の携帯電話へ連絡しようと受話器をとった。するとほぼ同時に電話が鳴ったため、電話を受けてしまった。

恐る恐る受話器を耳に押し当てる。

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「…はい…。」

「私、メリーさん。今、××ちゃんのお家の前にいるの。」

ガチャ。

女の子は戦慄した。××という自分の名前を言った上に、なんと自分の家の前に、電話の主は来ているのだという。

あまりの恐怖に女の子は電話の線を抜き、玄関から外の様子を伺った。

外には誰もいない。電信柱の街灯が、道路を不気味に照らし出しているだけだ。

居てもたってもいられなくなった女の子は、玄関の鍵がかかっていることを確認して、自分の部屋に閉じこもろうと階段に足をかけた。

するとその瞬間、電話線を抜いたはずの電話が鳴り響いた。

鳴るはずのない電話が鳴った。もうわけがわからなくなった女の子は、恐怖と怒りを露わにして電話に出た。

「あなた一体なんなのよ!いい加減にして!!」

「私、メリーさん。今、あなたの後ろにいるの。」

「え?」

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Fin

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