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中編3
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温泉旅館で見た何か

ちょっと前に体験した話。

文章下手なのはご勘弁。

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俺は休みを取ってとある温泉旅館に一人旅をしたんだ。

周囲に何もない山の中の旅館だけど、比較的綺麗で手頃に行けるような値段だったからそこに決めたんだ。

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チェックインを済ませて温泉も入って飯も食って寝酒も済ませてさて寝るかって布団しいて寝てたんだが、ふと目が覚めてしまった。

時間を見ると夜中の2時くらいなのにぐっすり寝て起きたような感覚で、まいったなと思ってたら、どこからかカリカリって音が聞こえるんだ。

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しばらく布団の中でどっから音が鳴ってるんだと周囲を確認して窓の方を向いたんだ。

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窓の外に何かがいるんだよ。説明しづらいんだが、黒いモヤモヤが周囲に漂ってる人のような物体って表現が合ってると思う。

窓の外は川になってて、俺は三階の部屋に泊まってるから物理的にそこにいるのはあり得ない。

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そいつの方から多分窓を引っ搔いてるであろうカリカリって音が聞こえる。

見た瞬間、ヤバいと思ったんだが体を動かせない。でも金縛りとかそういうものではない。

ビビってガクブル状態だったのが大きいが、それよりこっちが動いたらそいつも急に動き出しそうな気がしたんだ。

しばらくそいつを凝視してたんだが、ふと見ると窓のカギがもう半分以上開いてて、今も徐々に動いてるように見えた。

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もうこれは絶対ヤバいと確信した俺は意を決して布団から飛び出て部屋のドアに走った。

ドアまであと少しってところで、ガガガガ!!と窓が一気に開いた音が聞こえた。

その瞬間、後ろから猛烈な冷気を感じた。冷凍庫に手を入れた時みたいな感覚だったと思う。

そっからはもう後ろも見ずに全力疾走でフロントのある一階に駆け降りたよ。

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そこは24時間入れる風呂が一階にあったから、フロントは夜中でも明るかった。

フロントには女の人が二人いて、風呂上りで涼んでたであろう爺さんが二人ほどいた。

明るいのと周囲に人がいる状況で俺は安堵してしまって倒れこんでしまった。

今更ながらフロントの女の人二人と爺さん二人組が駆け寄ってきてくれた時はほんとに安心した。

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落ち着いたところで俺が今遭った事を四人に話したんだよ。で、どうやら爺さん達はなんかの団体で八人ぐらいで泊ってるって事で更に四人ほど起きてる人を連れてきてくれたんだ。

で、フロント組と爺さん組同伴の計九人で部屋に戻ってみたんだ。爺さん達の頼もしさは「三匹のおっさん」ってドラマに匹敵するほどで今でも感謝しかない。

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まずフロントの女の人二人が部屋に入って電気を付けたんだが、その直後に小さく悲鳴をあげてた。

俺は怖くて部屋の外にいたんだが、爺さん達はゾロゾロと部屋に入ってって「なんだこれ・・・」って言ってるもんだから、俺も覚悟を決めて部屋に入ってみたんだ。

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部屋の中は窓がやっぱり開いてた。けど戦慄したのはそっちじゃなくて、窓の取っ手とクローゼットとドアの内側。

そこには黒いベッタリした変な物体がついていた。おまけに腐敗臭付き。

しかもよく見ると部屋のあちこちに点々とその黒いベタベタがついてる。

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クローゼットの中には俺が着てたコートがかけてあったんだが、それが特に酷くて裏面にまで一面ベタベタが付いてた。

つまりあの黒い何かが部屋の中を徘徊して、俺のコートを触ってたって事になる。

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流石に全員ビビって、一先ず荷物だけ取って一階に戻って代わりの部屋を用意してもらったんだが、結局一睡もできなかった。

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そん時に爺さんの一人に「山には人知を超えた何かが潜んでる、だから兄ちゃんしばらくここに近づかん方がいいぞ」って忠告を受けた。

コートは流石に持って帰れないから旅館の人に処分を頼んだ。持って帰るとあの黒い何かが付いてくるような気もしてたから。

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それ以来、爺さんの忠告を守ってあの近辺には近づいてない。あの黒い何かも一切見ていないので、爺さんのいう通り山に潜む人知を超えた何かだったのかなと思ってる。

ちなみも温泉旅館のレビューや周囲の心霊スポットとかそういったものを調べてみたんだが、俺が見たようなものに該当するのは何も無かった。

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