短編2
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『物静かな人気者』

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12:↓名無し:23/03/16(木) 11:49:12 ID:bmPO

中学時代の話だ。Lさんという目立たない人がクラスに居た。

容姿がおかしいとか性格的に難がある訳でもない。

イジメられていたみたいな話も聞かない。

ただ、彼女は影が薄いというか、とても無口で誰かと話しているところを殆ど見た事が無い。

恐らく親しい友達も居なかったのではないかと思う。

いつも窓の外を見ながら物思いにふけっていたり静かに分厚い本を読んでいるだけだった。

そんなLさんが卒業式の前日になって急に話し掛けて来たのだ。

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「Aさん、お願いがあるのだけれど・・・Aさんのお友達。全て私にくださらない?」

くださらない・・・とはどういう意味だろう?

実は友達になりたかったけれど卒業するまで声を掛ける勇気が無かったという事なのだろうか?

その時は深く考えず「いいよ!いいよ!持ってけドロボウ!あんなやつらで良けりゃね!遠慮しないで私に手伝える事があるなら何でも言っちゃって!Lさん美人なんだし喋り方変えれば絶対人気出るってー」と言ってしまった。

Lさんは一言「ありがとう」とだけ言った。

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卒業式当日、Lさんに人だかりが出来ていた。

「Lさん卒業してもずっと友達よ」

「あたしLと同じガッコじゃん!嬉しー」

「L!私達親友よね?私の事一生忘れないでね?」

「L・・・ずっと好きだった。俺と交際してくれないか?」

私の親友達に囲まれながら涙を流して喜ぶLさん。

そして、この奇妙な日を境にしばらくの間、私は一人ぼっちになってしまった。

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これって何だったんでしょうか?

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