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中編3
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獣面疽

411:↓名無し:23/03/21(火) 18:11:37 ID:XFhj

看護婦さんから聞いた話です。

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時期などは詮索せず創作物と思って読んで下さい。

これは癌患者さんの手術中に体験した話です。

執刀医の先生は何と言うかそういうのが鮮明に見える方でした。

だから色んなものを呼び寄せてしまうし他人にも見せてしまう事がありました。

私もこの業界は長いのでそういう経験は少なくない方ですが当時は先生に霊的な意味で影響を受けました。

この手術もそうでした。

開腹した時にそれは起こりました。

物凄い頭痛と共に小動物を痛ぶり殺している映像や思念が頭の中に入って来ました。

犬、猫、兎といった小動物へガソリンをぶっ掛けて火を放ちヘラヘラ笑っているんです。

どうやら人間が動物達を面白半分に殺傷している胸が悪くなる様な思念です。

その時でした。

開腹口からかわいらしい一匹の子犬がちょっこりと顔を出しました。

その人懐っこそうなつぶらな瞳に先生も私も手術室に居た全員が呆気に取られました。

子犬はいつの間にか空に浮かんでいた真っ白い何かに思念で語り掛けています。

「ぼくはなぜ死んでしまったの?

なぜ○○くんはどこにも居ないの?

○○くんはどこ?

○○くんとフリスビーして遊びたいんだ」

白い何かはこう言いました。

『君が死んでしまった事を悲しんで自殺してしまった。』

「なら○○くんに会わせてよ!」

と子犬は続けます。

『それは出来ないよ。○○くんは地獄に堕ちてしまったから。』

「なら地獄に行くにはどうすればいいの?

教えてよ、教えろよ、オシエ゛ロ゛ォ゛ォ゛ォ゛」

『・・・』

「・・・な~んだ、あの野郎とその仲間を全員殺せばいいのか・・・簡単じゃないか」

『そんな事をしたらあなたまで・・・』

412:↓名無し:23/03/21(火) 18:11:41 ID:XFhj

「どうして?

これは縄張り争いでしょ?

しかも向こうが仕掛けて来たんだよ?

向こうガ サ゛キ゛ニ゛・・・」

もはや真ん丸い子犬のかわいらしい面影はどこにも無い。

それは牙を剥き出しにして臓腑に喰い込む毒々しい肉の顔顔顔。

これが人面疽というものだろうか・・・

しかし、その顔のどれもが激しい苦痛と憎悪によって醜く歪んでいる。

術前のCTスキャンではステージⅢだった筈が明らかに末期でした。

「これは手の施し様が無い・・・」先生が一言言いました。

その時、人面疽がニタァと笑ったかと思うと耳がつん裂けんばかりの遠吠えをしたんです。

私は情けない悲鳴を上げて腰を抜かしました。

術後、患者さんは末期である事を到底受け入れられない様子でした。

大暴れしたり暴力を振るって恋人やご家族の方に辛く当たり散らしたり

最後は不良仲間の舎弟みたいな人が面会に来た時なんですけど

因縁を吹っ掛けて包丁で刺して大怪我させてしまい傷害罪で警察病院送りとなりました。

どうなってしまったのかまでは分かりませんが風の噂では

激しい幻覚と抗癌剤の苦しみの中で血を吐きながら亡くなったそうです。

この創作物を信じて欲しいとは言いません。

ただ、呪いというものは存在するんです。

小さい命を殺めてはいけないのです。

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