もう十年も前の事。
俺は大学のサークルで飲み会があり
夜遅く最寄りの駅から自宅であるアパートまで歩いて帰っていた。
酔っ払っいフラフラと歩く住宅街は
寝静まり街灯もまばらで、とても暗い。
「あーっ、飲み過ぎたな。」
そう言って、ふと足元を見るとそこに白い紐が落ちていた。
「何これ?」
と、普段なら気にも止めない筈だが酔っていた俺は、その紐を手に取り紐の先を目で追うと
それは歩道脇の民家と民家の間の細い路地に消えている。
「長っ。」と独り言を言いながら俺は何となく
その紐を手繰り寄せながら人ひとりがやっと入れる、その暗い路地に踏み入った。
どこまで続いてるんだ?と思い、暗い路地の地面に浮かび上がる白い紐の行方を目で追うと、そこに
土で汚れた素足が
shake
「えっ?!」
と俺は驚き目線を上げると
ガリガリに痩せこけ血色の無い真っ白な女が
バサバサに乱れた長い髪の間から目をカッと見開き俺を見ていた。
俺が手繰り寄せていたその白い紐の先を両手に持って。
shake
「うわぁーーーっ!!」
と叫んで俺は紐を投げ捨て勢い余って後に尻餅をついた、その時。
隣の民家の二階の窓がガラッと開き、
黒い影が一瞬覗いてピシャッとしまった。
俺は恐る恐る視線をもとへ戻すと
そこにはもう、その女は居なかった。
今でも思い出すとゾッとする。
まだどこかの暗い路地に
あの女は潜んでいるような気がするからだ。
作者zero
怪談が大好きです。
文章については全くの素人ですが読んで頂けたら嬉しいです。