…もう何年も前の話。
当時付き合っていた女と「付き合って一周年記念」を彼女の家ですることになった
その日は「夜7時半に家に来て」と彼女に言われていた
…しかし俺は、予定よりも30分早い「午後6時45分頃」に、彼女の部屋の前にいた
…俺は「ある作戦」の準備のために、早めに彼女の部屋に来ていたのだ
当時、付き合っていたこの彼女は大変な「いたずら好き」で、会う度に小さなイタズラを俺に仕掛けてきた
車の座席の座布団の下に「ブーブークッション」を仕掛けたり、
俺が飲もうとしていた「コーラ」を、俺に気づかれないように「シェイク」していたり、
俺の携帯の待ち受け画像を、こっそりと俺の嫌いな「クモ」に変えていたり…
「今日は俺がイタズラして驚かしてやろう!!」
…俺は日頃のうっぷんを、この日に晴らそうと決めていた
昨日、彼女に確認したところ、彼女の仕事は「7時」に終わるとの事
彼女の会社からこの部屋まではだいたい「15分」くらいかかる
彼女が部屋に着く予定は「夜7時15分頃」だ
…今は「午後6時45分」なのでこの「30分」の間に準備をしなくてはならない
俺は持っていた「合鍵」で彼女の部屋に入った
そして自分の「靴」をベランダに隠した
…玄関に靴があったらバレバレだ
それから俺は隠れる予定の「ベッドの下」を掃除機できれいにした
…彼女が帰って来たら、急に出てきて驚かせようと、俺は企んでいた
…「ホコリ」等でくしゃみや咳がでたら台無しなので、俺は丁寧に掃除機をかけた
掃除を手早く終わらせ、俺はもう一つの作戦、今日のメインのイタズラの準備に取り掛かった
この彼女は大の「怖がり」だった
「怪談」なんて話したら、耳を塞ぐくらい嫌がっていた
…そこで俺は、彼女に「大ダメージ」を与える「作戦」を考えていた
『俺が怪談を話し終わったと同時に≪目覚まし≫が鳴り響く』
…どうでしょうか、この作戦?
…「怪談」が苦手な彼女は、さぞや驚くに違いない
…日頃の恨み、晴らさせて頂きます!
先ず俺は、話す予定の「怪談」の時間のチェックをした
きちんと声に出して時間をチェックする
…このタイミングがずれてしまったら、全て台無しだ
…時間は丁度「3分」だ
念の為、もう一度声に出して、時間をチェックした
…ヨシ!! 「3分」で間違いない!
俺は「7時57分」から「怪談」を話すと決め、目覚まし時計のアラームを「8時00分」に合わせた
…ヨシ! 準備は整った
…時計を見ると「午後7時5分」をまわっていた
俺(…万が一道路が空いていて、早めに着くかも知れないしな…)
…俺は部屋の明かりを消し、掃除をしたベッドの下で、早めに標的の到着を待つ事にした
(…ふふふ、 …楽しい夜になりそうだな♪)
…時計の秒針の音だけが聞こえる暗い部屋で、俺は標的の到着を息を潜めて待ち続ける
…そして間もなく、ドアの開く音がした!
「…ガチャ…。」
……!!
…彼女が申し訳なさそうな顔で、クローゼットの中から出て来た。
怖い話投稿:ホラーテラー 布北麻里さん
作者怖話