隣人トラブルで引っ越さなければならなくなった。
上の階に住んでる男が、決まって午前2時にチャイムをピンポンピンポンと
鳴らして、俺をたたき起こす。俺は会社の疲れもあってぐっすりと眠っていた。
ドアを開けると、「うるさんだよ、この野郎!何時だと思ってるんだ!」と上に住む男が激怒している。
「なんですか!俺はぐっすり眠っていたんですよ!」と俺も怒鳴る。
しばらく怒鳴りあいが続いたあと、男は捨て台詞を吐いて去る。
「こんなことが続くようなら、ぶっ殺してやるからな!」
気分が高まって、そんな夜は眠れなくなる。
それが毎晩続くので、俺は精神的にまいっていた。
管理人に相談しても、取り合ってくれない。
「そういうことは、お互いの話し合いで解決してください」
あいつは話の通じるような相手ではない。
俺は、だんだんあいつに殺意を抱くようになった。
しかし、人を殺せばただではすまない。一人殺しても死刑にはならないが、
かなり長い期間を刑務所で過ごさなければならない。
あんな奴のために刑務所暮らしはまっぴらだ。
それで、結局俺は引っ越すことにした。
金の余裕がなかったので、いわゆる事故物件に引っ越した。
ここでは、夜静かに眠れる。
あいつにたたき起こされる夜は終わった。
幽霊が出る方がましだ。
作者エピ
お化けより人の方が怖いというお話。