短編1
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隣人トラブル

 隣人トラブルで引っ越さなければならなくなった。

 上の階に住んでる男が、決まって午前2時にチャイムをピンポンピンポンと

鳴らして、俺をたたき起こす。俺は会社の疲れもあってぐっすりと眠っていた。

ドアを開けると、「うるさんだよ、この野郎!何時だと思ってるんだ!」と上に住む男が激怒している。

「なんですか!俺はぐっすり眠っていたんですよ!」と俺も怒鳴る。

しばらく怒鳴りあいが続いたあと、男は捨て台詞を吐いて去る。

「こんなことが続くようなら、ぶっ殺してやるからな!」

 気分が高まって、そんな夜は眠れなくなる。

それが毎晩続くので、俺は精神的にまいっていた。

 管理人に相談しても、取り合ってくれない。

「そういうことは、お互いの話し合いで解決してください」

 あいつは話の通じるような相手ではない。

俺は、だんだんあいつに殺意を抱くようになった。

 しかし、人を殺せばただではすまない。一人殺しても死刑にはならないが、

かなり長い期間を刑務所で過ごさなければならない。

 あんな奴のために刑務所暮らしはまっぴらだ。

 それで、結局俺は引っ越すことにした。

金の余裕がなかったので、いわゆる事故物件に引っ越した。

 ここでは、夜静かに眠れる。

 あいつにたたき起こされる夜は終わった。

 幽霊が出る方がましだ。

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