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短編2
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同調圧力

自分が子供の頃だから30年近く前に見た心霊系番組なんだけど誰か詳細覚えてるかな?

舞台は東北の湖でそこでは明治時代に6人の女性が入水自殺した場所とされた。

当時何があったかの再現ビデオが流れる。

名家の一人娘はとても大事に養育され、小さい頃から5人の侍女が長らく世話をしていた。

娘が年頃になり一人の男に恋をするが男は外面は好青年だが本性は女癖の悪い男で、娘は傷物にされた上に手酷く振られてしまった。

娘はそれから毎日屋敷でさめざめと泣いて過ごしていたが、ある日将来を憂いて自殺することを覚悟した。

しかし名家のお嬢様ゆえどのように死ぬべきかわからず侍女に相談したところ、5人とも長年世話をしてきた娘と別れるのは忍びないと心中することを決意。

そしてある晩、娘と5人の侍女は湖に身を投げ全員が帰らぬ人となった。

番組は現代に戻り今も彼女らの怨念が霊となって現れるのであると説明した。

そしてレポーターと霊媒師が夜の湖にやってきた。

霊媒師は強い後悔、恨みの念を感じますと言いながら湖周辺を探索しながら歩いた。

突然霊媒師は霊とシンクロしたようになりレポーターがそれに気づき霊媒師を介して霊に質問をする。

いろいろ質問をしていたが最後の質問が今も印象に残っている。

レポーター「長年世話をしていて娘に思い入れがあるのはわかるが心中しようと決意するにまでいたったのはどうしてか?」

霊媒師(霊?)「私は心中なんてしたくなかった。だけど娘が自殺の相談に来たあのとき、他の4人も滂沱の涙を流して私たちもお供しますと顔を見合わせた。とてもじゃないが自分は嫌だとは言い出せる雰囲気ではなく、そのままなんの覚悟もできぬまま死んでしまったことが後悔で仕方ない。」

驚愕の事実!などと煽りテロップが出た後にレポーターと霊媒師は湖から離れた場所でまた会話をする。

レポーター「湖に出ていた霊は実は死にたくはなかった一人が後悔であの場所に残っているんですね」

霊媒師「いえ、私はあの時5人の侍女全員の混濁した意識のようなものと触れていました。あの言葉は5人全員のそれぞれの想いなのです。誰一人心中したいなどとは思っていなかったのに他の者の心を慮り過ぎて心中する道を選んでしまった。さらにその後悔の念でお互いがお互いを縛って成仏できていないのです。」

子供ながらにすごく後味が悪いと思った話です。

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