大学2年の者なんですが実家の家業を継ぐべきか相談させてください。
家業の詳細について話す前に私が幼少期から実家や両親に対して感じていた違和感から話ささせてください。
教育について
自分が小学生のときから算数や理科社会の成績が酷いものでもうちの両親は全く怒りませんでしたが国語の成績だけはかなり口うるさく叱責されました。
特に漢字の書き取りや誤字については間違った文字を何度も何度もノート2ページ分も書かされました。
また学校から配布された漢字ドリル以外とは別のドリルを親が買ってきて私にやらせていました。
さらに硬筆、毛筆両方とも父親から指導をされ幼いながらに自分は相当上手く書けているのではと思っておりました。
実際に習字の授業が始まるとクラスの誰よりも上手く書けており、先生からもコンクールに出そうと推薦いただきましたがなぜかその時はうちの両親が辞退してしまいました。
かなり偏った教育方針ではありましたが字を綺麗に誤りなく書けるという特技は大学受験でも大いに役に立ってくれたのでそれはそれで感謝しているところではあります。
また学業とは別の方面の教育も両親は力を入れていました。それは人の心に対する教育でした。
最初は道徳の本のようなものから入り、私の成長に応じて世界の寓話、倫理、哲学のようなものに触れる機会を様々提供してくれました。
それは単に本を読み聞かせるだけではなく、時には遠くのお寺などに連れて行かれそこのお坊さんと禅問答をしたり、夕飯どきに流れているテレビのニュースの内容についてお前はどう思うかを突然問われたりなど多角的な教育だったと今は感じます。
小さい頃はそのことに特に疑問もなく受け入れていましたが高校に入った頃からなにか特殊なことやらされてる?と思うようになりました。
実家の経済面ついて
一般的には父親は仕事に行くものなのだと思いますが私は父が仕事に行くのを見たことがありませんでした。
しかし不思議なことにうちはかなり裕福でした。
都内の閑静な住宅地に庭付きの家を構えているほどなので相当に裕福だったのだと思います。
ですが父は平日も外出せずにいつも家にいました。
なので私が学校から帰ると父は私の字の練習や心の勉強などにつきあってくれていました。
これも小さい頃はとても楽しくて嬉しかったことなのですが反抗期になるとわざと家に帰るのを遅くしてあまり父に関わらないようにしていました。
父は少し寂しそうでした。
来客について
うちは昔から来客が多かったです。
私は客人とお話しすることはほとんどありませんでしたが彼らは両親の友人ではなさそうでした。
年齢や雰囲気が両親とはかけ離れた人が多かったのです。
客人達は性別、年齢、服装などに共通性はなく両親の知人という感じはまったくしませんでした。
また彼らはうちに来ても食事などするでもなく父と応接室で歓談し、小一時間もせずに帰って行きます。
なんとなく中学の頃には多分彼らが父の仕事のお客様なのだろうと考えるようになりました。
さて話を戻しまして家業についてです。
つい先日父から家業を継がないかと持ちかけられました。
前述の通り私は父の仕事を何も知らないために当然説明を求めました。
父の説明によると父の家系は代々お札屋さんをしているそうです。
念の為誤解のないように補足すると「おふだ」の方のお札です。
信じがたいことにいわゆる霊能力者と言われるような方々のお仕事道具のお札を書いて売っている、そんな家系なのだそうです。
そんなものが仕事になるのかと聞くと数枚でサラリーマンの月給並みの金額で売れているとのことで目眩がしてしまいました。
またおそらく皆様も気になったであろうことを父に聞きました。
父には霊感みたいなものはあるのか?と聞きましたが霊そのものを信じてもいないとのことです。
それでは父にとってお札はただの紙切れなのかと問うと、「自分にとっては何の力もない紙片に過ぎないがこれを求める方々はうろんな存在に対して仕事をしている。何もかもが曖昧な状況下でこの札が彼らにとっての寄るべ、安心感に繋がるならと思うと真摯に取り組まねばと思い書かせてもらっている。150年続いているブランドの責任を感じて仕事しているよ。」と。
また昔からの教育についても理由を教えてもらえました。
字は当然お札を書くのに字が下手だと話にならないから。実際にお札を書く場合はさらに練習も勉強もしなければならないとのこと。
また心の勉強はこの仕事は利益だけを考えるととてつもなく割りの良い仕事であるので、常に自身を律して堕落しないようにするための精神修養であったとのこと。
一通り父の話を聞いて考える時間をもらいましたが悩んでいます。
確かに収入面を考えればこれほど良い仕事はなさそうです。
ただこれは霊感商法の片棒を担いでいるとも言えるのではないかと不安も感じています。
最近は宗教なども風当たりが強いですし今の収入を今後も維持できるのかも不透明です。
何代も続いている家業を父の代で終わらせてしまうことも申し訳なさも感じます。
私はどうするべきでしょうか?
作者礎吽亭雁鵜