短編2
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オレオレ詐欺

ちょっぴりいい(?)話です。

怖い話ではありません。

ここにあったらごめんなさい。

ある女性(A)のところに一本の電話がかかってきた。

「こちら警察のものですが、お宅の息子さんが事故を起して通行人に怪我をさせてしまいましてね。被害者の方から示談で良いとのことで、至急こちらの口座に振り込んでいただきたいのです。

息子さんに代わりますね・・・。」

Aさんはすぐにそれが最近流行っているオレオレ詐欺だということに気が付いた。

なぜなら、息子は5年前に事故で亡くなっているからだ。

「母さん、俺だよ、事故起しちゃってさぁ、大変だよ。すぐに示談金振り込んでくれよ。」

Aさんはその声を聞いてハッとした。

死んだ息子の声とうりふたつ。

まるで死んだ息子が蘇ったような気がした。

Aさんは電話を切ることが出来ず、しばらく息子にそっくりなその電話の声に聞き入っていた。

そして再び警察官と名乗る男に代わった。

「そういうわけなので、どうかお母さん、示談金、お願いしますね・・・。」

息子と名乗る男に代わった。

「母さん、ゴメンよ、助けてくれ。」

そこでAさんは真実を話した。

「あのね、私の息子は5年前に死んでるの。」

電話の声がパタリと止まった。

気まずい空気が流れた。

しばらくの沈黙の後、Aさんは言った。

「ちょっと待って。あなたの声、息子とそっくりなの。

電話切る前に、もう一言だけ、声を聞かせてもらえないかしら。」

しばらくして、電話の主は一言言い、電話を切った。

「母さん。」

怖い話投稿:ホラーテラー Lさん  

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