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消える飴 〜透明化で世界最強のゆーしゃに!〜
ある晩、健一は街の片隅で一人の老人に出会った。その老人は、古びたコートを着て、どこか神秘的な雰囲気を漂わせていた。「君、透明人間になりたくないか?」と老人は言いながら、一つの飴を差し出した。飴は普通のキャンディのように見えたが、どこか不気味な輝きを放っていた。
健一は半信半疑ながらも、好奇心からその飴を受け取った。老人は「この飴を食べれば、君の存在が完全に透明になる。ただし、一度試してみるだけだ」と告げた。健一はその言葉を信じ、飴を口に含んだ。
初めは、健一の体の一部が淡い透明になり、周囲の風景がぼやけて見えた。鏡で自分の姿を見ると、半透明のように見えた。彼はこの変化に興奮し、自分が人知れず行動できることを嬉しく思った。少しずつ飴を食べ続けると、次第に完全に透明になる感覚を味わった。
その力を持つことで、健一は街の裏通りで起きている様々な問題を解決することに決めた。彼は密かに魔物と戦う少女をサポートし、彼女が強大な魔物を倒すのを手助けした。少女は勝利を収める一方で、健一のサポートの正体を知る由もなかった。
ある日、健一が再び地下ダンジョンに向かっていた際、透明化が突然解除され、彼の体は急に重くなり、動けなくなった。健一はそのまま地面に倒れてしまった。そしてモンスターに襲われてまたあそこに連れて行かれた。
作者ソソソーダ
だが、現実の世界では、消える飴など存在しない。健一が見たのは単なる幻覚であり、その飴は実際には危険なドラッグだった。薬物の影響で健一は幻覚に囚われ、幻覚の中で彼は、魔物と戦う少女の側に立ち、彼女の危険を一手に引き受けていたが、現実世界ではその行動は全く別の意味を持っていた。健一は幻覚の影響で、実際には外で少女と遊んでいた友達を魔物と錯覚し、無意識のうちに彼らを襲ってしまった。その結果、無惨にも友達たちは命を落とし、少女は彼らの死にショックを受けることとなった。通報を受けた警察(実際には幻覚で見た魔物)によって、健一は精神病院に連れて行かれ、そこからは誰も関わることがなくなった。
精神病院では、健一は現実と幻覚の境界を見失い、再び飴を探し続けながら、自分の存在を消したい一心で過ごすこととなった。彼の暴力的な行動と幻覚によって、彼の精神は次第に崩壊し、孤立した環境での生活が続いた。
健一の物語は、実際には「消える飴」など存在せず、周囲の人々や状況は全て幻覚であったことを示す警告として語り継がれることになった。彼が見た「消される飴」は、周囲の現実から彼自身を消し去るための、まやかしの罠であったのだ。