ここ最近夜も暑くてたまらん。
俺は汗を流すため、シャワーを浴びていた。
「ふぅ~、さっぱり」
『ぷしゅっ』
お決まりの風呂上がりのビールを飲みながら、ケータイを見た。
着信5件。
留守電を聞いてみると。
1件目。
『どうも~、山田です~。今、あなたの住んでいるマンションの駐車場にいますよ~。』
山田?誰だ?
知り合いに山田さんは5人はいる。
どいつだ。
いや、5人とも連絡先は知ってる。
…とりあえず続きを聞いてみるか。
2件目。
『どうも~、山田です~。今、あなたの住んでいるマンションの階段を昇っていますよ~。…ふぅ、2階に着きましたねぇ。』
声は中年くらいの男だ。
いたずらなのだろうか…
3件目。
『どうも~、山田です~。今3階に着きましたよ~。』
4件目。
『どうも~、山田です~。今4階に着きましたよ~。』
4階は俺の住んでる階だ…
5件目。
『はぁ…はぁ…どうも~、山田です~。はぁ…はぁ…ん~…疲れましたねぇ~。
今、あなたの部屋の前にいますよ~。はぁ…はぁ…』
なんなんだ。
激しく気持ちが悪い。
ストーカーなら尚更気持ち悪いが…今家の前だと?
俺はタオル一枚腰に巻いてるだけだったが、とりあえず玄関に向かった。
恐る恐る覗き穴を覗いてみる。
ドアの向こうには中年くらいのポッチャリ男がいる。
手には黒いケータイを持っている。
その時、俺のケータイが鳴った。
「…もしもし?」
『どうも~、山田です~。早く開けてくださいよ~。』
「あんた何者だ?いたずらなら警察に突き出すぞ」
『ピッ…ツーツーツー』
切りやがった。
急いでドアを開けると
『あっ』
「あっ、じゃねぇ。誰だてめぇ」
『そんな格好してると危ないですよ~?』
「てめぇ!!ふざけてんのか!?ぶっ飛ばすぞ!!」
バッ
そいつは腰に巻いていた俺のタオルを奪うと、ニヤリとして猛ダッシュで逃げて行った。
俺は何が起きたのかわからず、ただ呆然とその場で立ち尽くしていた。
後日、そいつは同じ会社の社員であることがわかった。
目が合うたびにニヤニヤしていて、暑いはずなのに俺は毎日寒気がしていた。
幽霊より人間の方が怖いと思った出来事だった。
明日も会社で会うのだろう…
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話