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短編2
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口裂け女

目の見えない男が、夜道を歩いていたときだ。

「ワタシ、きれい?」

目の前に、と言っても男には見えないのだが、大きなマスクをした女が現れた。

「ワタシ、きれい?」

(目の見えない私に、そう聞かれても困るのだが。)

男は少しの間考えて、こう答えた。

「大変申し訳ないのですが、私は目が見えないのです。

あなたの姿は見えませんが、声はとても美しいのですね。」

すると、男の顔に生温かい液体が飛び散ってきた。鉄のような香りがするその液体は・・・・

血?

男には何が起こったのかわからなかった。しかし、顔にかかったその液体はまぎれもなく血だった。

そして今も血しぶきが男の顔に飛んできていた。

「どうかなさったのですか?大丈夫ですか?」

返事はない。

目が見えない上に無音と化したその状況に、男はこれまでにない恐怖を感じた。

杖で前方を探ってみると、女の足に当たった。

まだ女はそこにいる。

「・・・ガ」

女が何か言ったが、男には聞き取れなかった。

「大丈夫ですか?」

まだ血が飛んでくる。

「・・・・・デモ゙ガ」

聞き取れない。

「・・・あの。どうかなさったのですか?」

男は一歩、女に近づいた。

次の瞬間だった。

「ゴレ゙デモ゙ガ!!!!」

さっきの女の声とはまるでちがう、かすれて汚い声だ。

「アダジノ、コエガギレイダッテ?」

女は自分の喉を裂いたのだ。

「ゴレ゙デモ゙ガ!!!!」

ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙

男の声とも女の声ともわからない大きな叫び声が、暗闇に響いた。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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