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「シン・杉沢村伝説」           「あいうえお怪談」第29話 「さ行・し」

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「シン・杉沢村伝説」           「あいうえお怪談」第29話 「さ行・し」

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「あいうえお怪談」

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「さ行・し」

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第29話「シン・杉沢村」

ー都市伝説の真相ー

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オカルトや怪談マニアではなくとも、誰もが一度はその名を聞いたことがあるであろう。

「杉沢村」

某テレビ番組で、取りあげられて以来、多くの人々の興味と関心を集める「心霊スポット」として一躍有名になった。

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特徴的なのは、その存在が、地図にはなく、いくつかの条件をクリアしなければたどり着けない場所であること。仮に、運良く村を発見できたとしても、一度足を踏み入れたら生命の保証はないなど・・・。ちょっと考えれば、ツッコミどころ満載なのだが、マニアの立場からすると、喉から手が出る程、ロマンあふれる「都市伝説」兼「心霊スポット」なのである。

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だが、真相は、心霊スポットやオカルトマニアを落胆させてしまうかもしれないが、この「都市伝説」「心霊スポット」は、青森県津軽地方にある村で起きた「一家7人殺人事件」を、横溝正史作『八つ墓村』のモデルとなった「津山大量殺人事件」と絡め、新たに創り出された話であり、過去存在したことのない架空の村という見方が正しい。

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「一家7人殺人事件」は、戦後まもなく起きた事件であり、青森県内だけでなく、近隣の県や都市など、かなり広く知られた事件だった。

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最近は、YouTubeで心霊スポット巡りを配信されたりしているが、ここに関しては、それらしき場所に辿り漬けはするものの、村の中に入り込み、何らかの怪異や怪現象、怖い体験をしてきたという人はいないように感じられるのだが、いかがだろうか。

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(詳細を知りたい方は、以下を参照。いずれも出典は、ウィキペディア)

① 杉沢村伝説の詳細

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%89%E6%B2%A2%E6%9D%91%E4%BC%9D%E8%AA%AC

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② モデルとされる事件

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9D%92%E6%A3%AE%E7%9C%8C%E6%96%B0%E5%92%8C%E6%9D%91%E4%B8%80%E5%AE%B67%E4%BA%BA%E6%AE%BA%E5%AE%B3%E4%BA%8B%E4%BB%B6

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さて、前置きが長くなったが、これから話すことは、友人Eの体験談である。一見「杉沢村伝説」とは、関係のない事例ではあるが、実に、興味深い出来事なので、お伝えしたいと思う。

皆様なりに、考察していただければと思う。

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ちなみに、Eは、科学的根拠(俗に言うエビデンス)のないことは一蹴するリアリスト。ちなみに、「私には、霊感はない。」と断言していた。

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Eは、青森空港から知人の住むH市に向かって車を走らせていた。11月半ば、路面には、枯れ葉が舞っている。「さ。寒い。」エアコンを暖房に切り替え、温度をあげたのだが、暖かい風は当たるものの、一向に温まる気配はない。

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今にも雪が降り出しそうな寒さだった。知人は、「ここ数日、小春日和で暖かい。」と話していたはず。まぁいい。ここは、本州最北端だと言い聞かせ、ナビが導く通り、暗く鬱蒼とした森林の中を慎重にハンドルを握っていた。

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大きな松の木の幹。葉を落としたブナの木、注意を促す標識。木の幹に結ばれたしめ縄の眺めながら、ナビの指示通り、ハンドルを切った。ライトに照らされ浮かび上がる祠と二体の地蔵、そばには、赤い鳥居が立っている。

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え?

たしか、さっきもここを通った。

ヤバい、同じ道を循環している。

さては、道に迷ったか。

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冷や汗が流れてきた。加えて、この寒さは尋常ではない。風邪のひきはじめの頃の悪寒とも違う。エアコンを確認すると、どうしたわけか、冷房に切り替わっている。

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おかしい。さっき、暖房にしたはずなのに。

車のエンジンを止め、再度、ナビを入れ直すことにし、リセットボタンに手をかけ、窓の外に目を移すと、鳥居の奥から、楕円形の発光体が、形をかえながら、車に向かって来るのが見えた。

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Eは、車内を明るくし、大声で叫んだという。

「てめぇ、この野郎。バカにすんな。」

アクセルを踏み込み車を急発進させた。

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再起動したナビが伝えた現在地は、H市とは、真逆の方向。八甲田山中を目指す場所だったことに、Eは、驚きを隠せなかった。無性に腹が立ったらしい。

「自分がミスしたとは思いたくなかったし。なんでこんな目に逢わなくちゃならないのか納得いかなくて。」

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知人とも連絡が取れ、約束の時間に少し遅れると告げた。

知人は、Eに何度も電話をしたそうだが、「ただいま、電話に出ることが出来ません」のアナウンスが流れ、通じなかったらしい。

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後に、Eは、彼女なりの考察と分析をしていた。

「心霊現象というより、山岳地帯には、起こり得るある種自然現象なのではないか。と。「登山経験者だったら、もう少し冷静に対応できたのかもしれないけどね。」「磁場の関係でもそうなるんじゃないのかな。」

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私は、思う。

Eの体験した場所こそ、「真の心霊スポット」ではなかったのかと。

例の「杉沢村伝説」は、過去の悲惨な二つの事件を元ネタにした作り話だという見解は変わらない。

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だが、あの日、Eが見たモノは、まさしく、「杉沢村伝説」を探し当てるために必要な条件そのものだということである。

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「火のないところに煙は立たない。」と言われるように、二体の地蔵。祠。赤い鳥居。「ここから先、何が起きても云々」の行(くだり)が書いてある立て看板。

立て看板については、話していなかったが、暗い山道で、標識と見間違ったのかもしれないし、見失ったいただけなのかもしれない。実際に存在したとすれば、条件は、揃っているといえなくもない。

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Eが怪異に遭遇したあの場所は、過去、何か心霊現象を引き起こすような事件、もしくは、事故があった場所なのではないだろうか。

さもなくば、隠された謎と秘密があるのではないだろうか。

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Eの知人が話していたように、携帯もスマホもナビもなかった頃、あのあたりは、道に迷いやすいことで有名だったらしいのだ。

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事実、都内に住む会社員が、実家のあるH市に帰宅途中、空港に繋がる道で、夜自家用車で走行中、何度も同じ道を行ったり来たりするはめになり困ったという話を聞いた。

その人の話では、

「結構、道に迷う人いるみたいですね。」と語っていたという。

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「あのあたり、なにかおかしいですよね。」

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架空の怪談話を利用して、迷い込む人間たちを異世界へと招くモノたちが、今日も、あの場所で、迷い込む人間たちを、手ぐすねを引いて待っているのかもしれない。

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