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「zoom ‐7人目の入室者ー」
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「あいうおえ怪談」
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第32話「さ行・ず」
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Zoomとは、いつでも、どこでも、どんな端末からでも Web会議を実現するクラウドサービスで、簡単に言えば、複数人での同時参加が可能な「ビデオ・Web会議アプリケーション」である。※(IT辞典から引用)
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Zoomサービス内にミーティングルームを開設し、ミーティングIDやパスワードを共有するユーザー同士が、アクセスすることで、いかなる場所にいようとも同時にWeb会議を行うことができる、今や知らない人はいないといっても過言ではないアプリケーションだ。
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皆様の中にも、会社や職場関係者との場で、学生さんなら学校教育の場で、それ以外の方々も、一度ならぬ幾度となく利用したことがあるのではないだろうか。
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Zoom自体は、2010年頃から、一部ユーザーが使用してはいたが、2019年、世界的な規模で発生した「新型コロナウィルス感染症」により、対面や接触によらないコミュニケーション、パンデミックへの対応措置として、その需要が爆発的に拡大した。
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さて、前置きが長くなってしまって申し訳ない。
Zoomについての説明はこのくらいにして、本題に入る。
実は、Zoomにまつわる怖い話が、想像以上に多いことを、ごく最近知った。
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以下、かつて、ブラック企業で働いていたJさんの話である。
コロナが蔓延する中、介護職に転職したという変わった経歴の持ち主だ。
正直、これが本当に事実なのだとしたら、闇の深さを感じさせられる。
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大学の工学部を卒業し、嬉々として入社した会社は、表向きは、ホワイト企業だが、実際、働き始めると、「パワハラ」「モラハラ」「カスハラ」あぁ、そういえば、「セクハラ」もあったな。ブラック企業にまさるとも劣らないほどの激理不尽な激務。人使いは荒い、残業は当たり前。休日は、あって無きが如しだった。
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当然、こんな殺伐とした環境では、「いじめ」のターゲットにされる者が必ずといって存在する。
同期入社の山本卓二さんは、まさしく、そのひとりだった。
以後、卓二さんと呼ぶことにする。
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卓二さんは、いつも猫背でうつむき加減にトボトボと歩く人だった。
こういってはなんだが、都内の有名私立大学を卒業している割には、垢抜けないと言うか、話しかけても、「はぁ」とか「えぇ」とか手応えがない。言葉数も少なく、体型にそぐわないダボダボのスーツを着て、いつも部屋の隅っこでボッチしていた。
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髪は、寝癖がついたままで、一見小綺麗なホームレスと言った風貌。
分かったようで分からないが、まぁ、想像してくれ。
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意外にも、入社時の成績は、トップクラスで、たしか、IT関連の資格は、全て取得しているとの噂だった。
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「地味に凄い」
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決して、仕事ができないタイプではなかったと思う。
上も、一目置いていたと聞いた。
だから、一風変わったやつとして、うまくやり過ごせば、そのポテンシャル(潜在能力)の高さから、なんとかなったはずなんだ。
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それが、何の因果か、卓二さんの配属されたK課は、ブラックに更に墨汁を流し込んだよう最悪な環境だった。
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やたら威張り散らす主任は、典型的な体育会系で、ハラスメントの権化として怖れられていたし、少し捻くれていると有名だった。
同期で入った同僚AとBのふたりも、性質(たち)が悪く、小柄で痩せ型の卓二さんを、見下し、自分たちの仕事を押し付けているのを何度も目撃した。
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課長は、部長の腰巾着。ゴマすりして出世しただけで、本来は、仕事の出来ないクズ野郎。
臭いものには蓋をするような小狡いやつで。
体育会系の主任とは、大学時代柔道部で先輩後輩同士だったんだとか。
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部下たちのパワハラ行為を見て見ぬふりするどころか、逆に、卓二さんを責めたり、咎めたりしていたらしい。
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体育会系 柔道部 と、聞いただけで、ゾッとするよね。
勿論、そうじゃない質実剛健な体育会系もたくさんいると思うから、偏見はいけないと思うけどね。
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卓二さんは、連日連夜、寝るまもなく働かされて、風呂にも入れない、床屋にもいけないで、
髪は、肩まで伸び、ボサボサ。Yシャツは、デロデロに汚れていた。冗談じゃなく、本当にホームレスみたいだった。
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そんな卓二さんを、『リング』の貞子をもじって、『貞夫』と呼んでバカにしていた。
事実、昨年の忘年会では、テレビのモニターから這い出てくる「貞子」を演じさせて、笑いを取ったりしていた。
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俺は、笑えなかったけどね。
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係長は、取り柄は、イケメンってだけの無能な優男。奥さんが、取引先の社長の娘だというだけで係長になった男。事務のCとは、長年、不倫の関係にあるらしい。
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ふたりの関係は、奥さんにも、バレているらしいのだが、似たもの夫婦とはよく言ったものだ。奥さんにも、別にお相手がいるんだと。
W不倫とは、いいご身分だよ。モラルに欠けたやつに、金と分不相応な地位を与えるとろくなことにならないという良い見本だな。
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Cにも卓二さんは、顎で使われていた。
簡単な書類も、経理業務も、パソコン入力する業務のほとんどを卓二さんは、代替わりしていた。まぁ、パソコンに関してはスキルが高かったから、大した負担にかんじなかったのかもしれないけど。女子社員の簡単な事務仕事まで請け負うなんて、普通考えられないよな。
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それでも、卓二さんは、必死に会社で働き続けていた。
「貞夫」と呼ばれれば、「はい。」なんて返事したりして。
なんだかんだ言って、卓二さんは、仕事ができたから、頑張れたんだろうな。
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2019年。世界中がコロナ禍に巻き込まれて、会社は、出社する社員をシフト制にして、Zoomを用いてのリモート会議を推進するようになった。
卓二さんの得意分野だ。あいつらから逃れられるとホッとしたんじゃないかと思ったんだが。
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結果は、最悪の事態を迎えた。
リモート会議の時間になっても、入室してこないので、自宅アパートを訪ねてみたところ、クローゼットの中で、ネクタイを首に巻いたまま亡くなっていたそうだ。
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首吊り自〇
死後、数時間が経っていたらしい。
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不可解だったのは、玄関先に置かれていた靴や、着ていた服が、泥だらけだったことや、お酒が一滴も飲めないはずの◯さんの体内から、大量のアルコールが検知されたことだった。、
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だが、警察は、亡くなる前日の深夜、土砂降りの雨の中、ひとりで帰宅する◯さんを、同じアパートの住人が目撃していることから、「深夜まで、酒をしこたま飲んだ挙げ句、歩いていて足を滑らせ、泥の中にでも転んだんだろう。」と事件性はないと判断したらしい。
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俺は、直接、いじめや嫌がらせが出来ないから、なにか別のハラスメントを企てた結果、追い詰めてしまったに違いないと思ったが、証拠も何も無い。臍(ほぞ)を噛む思いがしたよ。
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それから、一か月以上経ったある日のこと。
卓二さんがいたK課で、Zoomでのリモート会議が行われた。
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参加者は、課長、係長、主任、同僚のAとB 女性社員で事務のCさんの6名。
少人数での会議だった。
テーマは、「開発部の今後の課題:AI導入におけるコンプライアンスについて」
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予定時間になり、全員が入室したことを確認し、会議は、スタートを切った。
皆、それぞれ、各々の自室や書斎、リビングにいる。
会社とは違い、前半は、くつろいだ雰囲気だったという。
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開始から10分が経過し、Aが発題と項目について語り始めた時だった。
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ぽろん
誰かが入室してきた。
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7人目?
いや、おかしい。
今日の会議は、6人だ。
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全員揃っているはずだが。
一体誰が?
7人目は、黒い画面しか表示されていない。
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「顔見せて。」
「・・・」
不穏な空気が漂い、皆が、ざわつき出した。
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黒い画面の名前の部分には、意味のない英数文字がランダムに並んでいるだけだった。
「もう6人入室している。メンバーは、揃っているんだ。間違えて入ってきたのなら、さっさと退室しなさい。」
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主任が、怒鳴るも、7人目の入室者は、なんのアクションも起こさない。
「だ、誰だ。こんな いたずらをしやがって。さっさと顔を出せ。」
課長が、イラつきながら、係長に詰問した。
「外部からの侵入者は困るね。セキュリティは、万全じゃかなかったのかね。係長。」
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「そ、そんな。私に、わかるわけないじゃないですか。」
係長は、矛先を、事務のCに向けた。
「たしか君?セキュリティは万全とか言ってなかったか。」
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「そんな事言われても。私、技術的なことはわかりません。PCとか全部『貞夫』任せにしていたから。」
係長は、憮然とした顔をして、Cに向かって吐き捨てるように言った。
「君は、MOSとかパソコン関連の有資格者じゃなかったっけ。」
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「ZoomとMOSは、関係ないですよ。出来るわけ無いじゃないですか。」
「まいったな。肝心な時に役に立たないなんて。」
舌打ちをした係長は、そのまま席を立った。
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「ちょっと、席を外すよ。これじゃぁ、どうにもならない。」
「・・・また、逃げるんですか?あの日もそうだったじゃないですか。」
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「なにも、今日、この場で。そんな話をしなくてもいいだろう。」
「今日だって。会えるっていうから信じていたら。リモート会議だっていうじゃないですか。嘘つき。」
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「君は何を言っているのだ。さっぱりわからん。」
Cの意味深な言葉に、係長は、一瞬動揺したが、周囲に悟られないうちにと思ったのか、
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「課長、主任、悪いけど、一旦出ます。この変な現象が直り次第、携帯に電話ください。また、入室しますんで。」
と告げ、有無を言わさず、退室してしまった。
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ぽろん
情けない音とともに、係長も消えてしまった。
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「どいつもこいつも、しょうがねぇな。おい、B なんとかしろ。」
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画面中央に大きく映ったBが、
「あ、あ、あ 主任 さ、さ、さ、貞夫が。う、うしろにぃぃぃぃぃ。」
うわっっっっっっっっ
断末魔の叫びを上げて、椅子ごと後ろにひっくり返る姿が見えた。
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と同時に、画面は、真っ暗になり、
ぽろん
音がして、
「Bが退室しました。」
との表示が出た。
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「はぁ?お前、何いってんの。ひっくり返ってねぇで、早く戻ってこいこら。」
主任は、文句を言いつつ、後ろを振り向く。
「誰もいねーじゃねーか。バーカ。」
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「おい、B。主任が怒ってるぞ。何やってんだよ。早く、戻ってこい。」
Aが叫ぶも、しんと静まり返り、再入室する気配はない。
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その時、Cの金切り声が響き渡った。
「きゃー、『貞夫』がいる。嘘、嘘、嘘、ほら、主任の頭の上、逆さまになってこっちを見てる。わ、わたし、出ます。こ、怖い。」
ぽろん
退室した。
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「なにやってんだ。みんなぁ、会議は始まったばかりだぞ。」
課長の呆れ返った声が響く。
「なんだよ。部外者がひとり紛れ込んだだけで。なにパニくってんだよ。」
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次に、Aの顔が画面中央に現れた。
大きく見開かれた眼と ブルブル震えながら、絞り出すような声で訴え始めた。
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「しゅ、しゅ、主任。う、後ろじゃなくて。うえ、うえ、うえですって。」
「だからぁ、何も見えねぇって言ってんだろうがよ。」
「あ”あ”あ”・・・だ、だから、うえ、うえから。ほら。」
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ぽろん
Aも退室したようだった。
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これで、A・B・Cに係長
既に4人退室した。
映っているのは、課長と主任、そして姿の見えない7人目。
そいつの画面は、愛変わらず真っ黒のままだ。
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「しょうもねえなぁ。」
主任は、7人目の見えない入室者に向かって声を荒げた。
「お前さぁ。この落とし前どうつけてくれるのかあ。顔出しやがれ。早く!」
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だが、一向に7人目の訪問者からの、アクセスはない。
何らかの動きは、あってもおかしくないのに。
「おい、どうなっているんだ。俺と君しかいなくなってしまったぞ。」
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「係長に電話するわ。この分だと、今日のリモート会議は、中止だな。」
プルルル
プルルル
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何度コールしても係長が出る気配はない。
すると、いきなり、画面が大きく拡大され、
首を垂れた係長が、こちらに向かってゆっくりと歩いてくる映像が映し出された。
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ひ、ひ、ひぇええええええええ
その首には、ネクタイが巻かれ、係長は、自室にあるパソコンの前で立ち止まり、ユラユラと身体を動かし始めた。
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ぶつん
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いきなり電源が落ち、係長の姿も見えなくなった。
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しんと静まり返るそれぞれの部屋。
「・・・・・・・」
課長と主任は、どちらかともなく、
「と、とにかく、今日は、中止だ。早々に退室して、終わりにしよう。」
と言い出した。
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すると、それまで、沈黙を破ってい7人目の侵入者のパソコンから、
はっ、はっははははははははは。
と低い恨みのこもった笑い声が響いてきた。
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「は・は・は・は・はははははははははは。」
「だ、だ、誰だ。お前・」
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ぽた
ぽた
ぽた
その時、主任の頭上に、生暖かいモノが落ちて来て、ぽつんと跳ねた。
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ぴとん
頭に手をやり、指先にべっとり付着した血糊を見て、主任は、引きつったうめき声をあげた。
「ひぃぃぃぃぃぃぃ。」
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ーお久しぶりです。しゅ・に・ん
逆さ吊りになった「貞夫」の顔が、主任の眼の前でニタニタと笑っている。
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ゴドッ
天上から伸びた首が、主任の左肩に落下したとたん、画面は、真っ暗になり
ぽろん
退室の表示が出た。
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パソコンの画面から、長い髪、頭、泥だらけのスーツを身にまとった身体が、ゆっくりと這い出し、四つん這いになった姿のママ、課長に向かって近づいてくる。
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「さ、貞夫。く、来るな。頼む。」
「・・・・・・」
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「・・・・・・」
「貞夫。頼む、俺は、本当に何もしらないんだ。さだおぉぉぉ。頼む。」
「く、く、く、く、く お・れ・は・た・く・・じ。」
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「わ。わ。わかった。そう、そうだよな。山本卓二く、、んだったよな。」
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「・・・・・・」
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「す、す、すまない。でも、お、俺は、部外者だ。この一件には、一切関与してない。だろ、そうだろ。そもそも、いじめやハラスメントががあったなんて、俺は、全然知らなかったぞ。せめて、相談だけでもしてくれれば、なんとか対応してやれたのに。なんで、話してくれなかったんだよ。」
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「・・・・・・」
「俺の仕事は、君たちとは違う管理職だからな。は、ははははは。」
「し・・・ね・・・よ。」」
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「貞夫くん、いや、すまん。卓二くん。謝るよ。」
「・・・・・・・」
「忘年会の余興で、テレビの画面から出てくる『貞子』の真似をさせたのは、確かにやりすぎだった。『貞夫だ。山村貞夫。』ってバカにしたのも、悪かった。」
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卓二の両手が、課長の首に両手がかかる。
「ひぃぃいぃ。だから、あの時は、悪気がなかったんだ。みんな、喜んでくれたじゃないか。き、君だって。楽しそうだったじゃないか。」
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「し・に・ば・し・よ。」
「わ、わからん。そんなもん。わかるわけがないだろうが。」
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「お・そ・れ・ざ・ん」
「や、辞めてくれ。」
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「い・ぬ・な・き」
「だ。だめだぁぁぁぁぁぁ」
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「じゅ・か・い」
「ううう。勘弁してくれ。」
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「とーじ・ん・ぼー」」
「あ~・・・っ。後生だから。そ、そこだけは・・・妻との思い出の場所なんだ。」
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「ふふふふふふふ」
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「き・め・た」
激しい閃光が走り、心臓が引きちぎられそうな激痛が走り、課長は、その場に膝をつき
その後意識を失った。
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ぽろん
ぽろん
ぽろん
ぽろん
ぽろん
ぽろん
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Zoomから、退室する音が6回聞こえてきた。
閉じられた画面には、誰も何も映ってはいなかった。
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ある日の早朝、東尋坊にて男5人・女1人合計6名の水死体があがった。
6人の男女の直接の死因は、溺死ではなく首を絞められた跡があったことから溢死とされた。
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「首つり自〇」をした後で、東尋坊から飛び降りるなど、現実的に考えられなかったが、そうとしか言いようのない状況だったらしい。
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事実、警察署には、日没後、数名の男女が一列になり、次々に崖から飛び降りる姿を目撃したとの情報が入った。
捜査の手が入るも、真っ先に遺体が上がった男性の遺体には、なぜか、靴底に関東近郊の山奥の土がへばりついていたという。
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遺体は、全部で6体だったのだが、目撃証言では、男6人に女1人の計7人だったと。
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それから、約1週間後の深夜0時、若い会社員が、激しいハラスメントを受ける場面が、一部始終YouTubeで配信された。
そのあまりの惨さに、視聴者たちは、絶句し、海外からも激しく糾弾されることとなった。
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最新の注意を払っていたにも関わらず、会社は、簡単に特定され、大炎上、マスコミが押し寄せ、会社始まって以来の不祥事となった。
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会社側では、既に、この動画の発端となったハラスメント行為をした人物たちは、皆、他界していることを理由に、有耶無耶にしようと試みたが、義憤を感じたYouTuberたちにより、「謝罪になってない。」「そもそも、企業全体のコンプライアンスは、どうなんているんだ。」「これは風化させてはならない事例だ。」「職場のいじめ。ハラスメント。絶対にゆるすまじ。」とばかりに、消しても消しても焼け石に水。雨後の筍のごとき勢いでバンバン上がってくるのだった。
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ホワイト企業として、名を挙げてきた手前、長年の実績とプライドが仇となった。
「謝罪が遅い。」
「たしか、慈善事業を謳っていたよな。募金は、ちゃんと貧困に苦しむ子どもたちにわたっているんだろうな。」
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ブラック企業とまで称され、政治家とグルになり、金で事を片付けようとしたのがバレ株価は暴落。もはや、同じ会社名では、存続できないと判断し、全ての株を売却、企業は、事実上の倒産。社長以下全ての要職にある者や関連企業までが、社会的制裁を受けるはめになった。
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それから、数か月の時が流れ、やっとほとぼりが冷めた頃、YouTubeに不可思議な動画が配信されているのに気づく。
早朝、東尋坊の断崖絶壁に立ち、今にも飛び降りようとしている男女7人姿が映し出される。
その後、場面は、真っ暗になり、数分後、あの日の、Zoomの場面が映し出されるのだ。
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zoomでのリモート会議開始から10分後、7人目が入室すると同時にパニックになる。
ぽろん
ぽろん
退室する時の、あの音とともに、ひとり、ふたりと参加者が次々と消えて行き、二度と戻っては来ない。
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怪現象と、ホラー映画のはるか上をいく展開に、視聴した者たちは、皆、戦慄し、その場から、動けなくなった。
ところどころ、ぷつぷつ 途切れて、会話がよく聞き取れない。
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それがまさに、リアルな恐怖を畳みかけるのだ。
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「え、こ、これって。何!」
「ヤバいもん見つけたわ。」
「こ、これって、心霊動画やないかぃ。」
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「もしかして、この動画って。あの動画の続き?」
「例のバズった動画と関連があるんじゃないのか。」
「ホワイト企業が、実は、ブラック企業だったっていう例の虐待いじめ事件?」
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「きっと、そうだ。そうだよ。そうに違いない。」
急げ。
拡散 拡散 かくさーんしろー。
真偽はそれから判断しても遅くはないわ。
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作者あんみつ姫
かつて、ブラック企業で働いていた介護職のJさんから聞いた話をもとに、書いてみたが、予想外に、時間を費やすこととなってしまった。
また、この話を書き込んでいる最中、何度もパソコンの電源が勝手に落ちたり、本棚から、突然、触れてもいないのに本が落ちたりといった現象に遭遇した。
以前、私の初期の頃の拙作を読まれた方が、読んでいる最中、ラップ音や不可解な現象が発生して怖かった。といった内容を、コメント欄に書き込んでくれたことがある。
即座に、「創作ですよ。ご安心ください。」と返信したが。その後、どうなったのかはわからない。
実は、本作を書いている最中、突然、外壁が、ドンと何者かによって叩かれた。
午前二時。
何が起こっても仕方ない時間帯だ。
仮に、この話を読んで、何か不可思議な怪異に遭遇する羽目になった方には、本当に申し訳ないと、予め、この場を借りて、お詫びと謝罪する。
「本当に申し訳ない。」
と。