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短編2
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最期に

不意に、玄関のチャイムが鳴った。

「誰だろう…」

仕事帰りで疲れている身体を起こし、私はドアを開けた。

ガチャ…

そこに立っていたのは、私の祖父だった。

―突然、どうしたのだろう。

特に連絡もなく来るなんて珍しい。しかも時間は午後10時を回っている。

だが、あまり深くは考えず、とりあえず私は居間に上がってもらおうと声をかけた。

「どうしたの? 急に。まあ上がってよ」

「いや、いいんだ」

そう言って、祖父は帰っていってしまった。

「どうしたんだろ」

私が不可解に思いながらもドアを閉めると同時に、部屋の電話が鳴り響いた。

私は受話器を耳に当てる。

…祖母からだった。

「どうしたの?」

「今、おじいちゃんが亡くなったわ」

私は言っている意味が理解できなかった。

「病院で寝たきりで入院してたんだけど…ついさっき…」

え?

祖父なら今、うちに来たばかりだ。

しかし、涙で震えている祖母の声を聞く限りでは、とても嘘を言っているようには思えない。

どういうことだ…?

半信半疑のまま、私は病院へ車を走らせた。

病院へ着き、祖父の名前が書かれている部屋へ入った。

―私は驚きを隠せなかった。

ベッドの上には、顔に白い布を被せられた、遺体と思しきものが横たわっていた。傍では、祖母が泣き崩れている。

私は恐る恐る、その布を取った。

…紛れもなく祖父だ。

なら先ほどの元気な祖父は?

心なしか、あの表情は笑っていたようにも思えた。

私の中で、無意識のうちにある仮説が打ち立てられた。

祖父は息を引き取る寸前に、しばらく会っていなかった孫を一目見るために私の元を訪れたのだろうか。

…私の瞳から、大粒の涙が溢れ出てきた。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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