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短編2
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後輩

俺の通う大学の後輩に東北のA県出身の奴がいるんだが、こいつがまた、異常に暗い!

根暗にもほどがあるだろ!つう位・・・例えばマンガでさあ、顔の上半分縦の棒線が引いてあるるあれみたいに暗いんだが、一度だけ見直した事がある。

俺は、ある文化系サークルの副部長してるんだが、そいつ(以後K)の事が妙に気になってて、一度聞いた事があるんだわ。

「何でうちに入ったん?ちっとも楽しそうじゃないし」

Kが言うには、勧誘したのは何と俺で、俺の全身が真っ黒に見えたから、(助けてあげないと・・・)、と思ったかららしい。

俺は意味が分からず、

「真っ黒ってどういう事だ」

と聞いた。

全身に、焼けただれた人間の形をしたものが、何体も、折り重なるようにへばりついてた、って言うんだ。

「今もか?」

俺が焦って聞くと、Kは

「今は全く見えない」

と言う。

(こいつ何???)

Kが言うには、去年の5月頃、急に見えなくなったらしいのだ。

(去年の5月?)

俺には思い当たる事があった。

去年の5月ごろ、俺は住み慣れたアパートを引っ越したんだ。

なんでもそこの大家が病死したが、後を継ぐ者がいない。潰して平地にして売りたいから、出て行って欲しい・・・というような事だったと思う。

俺は“5月”ってずばり当てただけで、こいつすげえ!!と思ってしまった。

ただKは、とりたてて霊感が強いってわけじゃなく、見えるのは、憑かれてる人がかなりやばい状態にある時だけだという。

何でも初めて会った時は、2、3日であの世行き、という状況だったらしい。

(まじかよ!!)

Kは俺が気付かないように、一体一体、祓っていったという。

そういえば、Kはいつもは暗いくせに、

「先輩!蟻が、」

とか言って時々、背中をポーンと叩く時があった。

「あれがそうか?」

俺が聞くと、Kは頷いた。

ただ、祓っても祓っても、新しいのが憑くんで、(おかしいと思われてもはっきり言って、引っ越しを勧めよう)と考えていたところ、昨年の5月頃、きれいさっぱりいなくなったんだそうだ。

後、ネットで調べたら、元住んでいた辺りは大空襲で焼死体がたくさん出た所だと分かった。

Kともっと話をしたかったが、用が済んだと思ったのか、いつのまにか退部してしまった。

俺に悪いと思ったのか、俺のいない間に退部届け出しやがって・・・

俺は今、あいつを探している。

礼も言ってないから。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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