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短編2
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狛犬

僕が、小学生だった頃、遊び場と言えば、学校の近くにある神社でした。

その神社の入口の所には、とても大きな狛犬の石像?が2体あり、よく、おばあちゃんに、

「悪い事すると、狛犬に喰われるぞ!」

と、脅かされてました。

それは、夏休みの暑い日の事ででした。

悪友のAと、神社のベンチに座ってボーとしていました。神社は、いつも涼しいので、僕らは、暇な時はいつも神社のベンチに座っていました。

Aが、気だるそうに呟きました。

「暑いなあ…なんか、アイス食いてえなあ。」

Aは、いわゆるガキ大将と言う者で、機嫌を損ねると、何をされるか分かりません。

僕は、適当に相づちを打ちました。

「食べたいねぇ…」

その言葉を待ってたかのように、Aが言い出した。

「じゃあ、俺が買ってきてやるよ。金をくれ。」

最初からそのつもりだったんだろう…

だけど、小学生の僕は、お金なんて持っていなかった。

お金がない事を伝えると、

Aは、僕を睨み付け、舌打ちをした。

「ああ!アイス食いてえ!!」

しばらく、Aはその言葉を繰り返していました。

そして、言い出したのです。

「なあ…ここの神社に賽銭箱あったよな!

あれからアイス代貰っちゃおうぜ!」

なんて罰当たりな事を考えるんだろう…

僕は断固として反対しました。

「A君…賽銭箱はまずいよ…絶対止めた方がいいって。」

しかし、言い出したら聞かないAは、

「だったらお前はアイス無しな!」

と、一人で賽銭箱の方に歩いて行きました。そして、賽銭箱から小銭を盗んだのです…

僕は、凄く怖くなってしまい、適当な理由を付け、一人で家へ帰りました。

その夜、Aの家で、ボヤ騒ぎがありました。

Aが寝てる部屋から、火が出たそうです。

すぐに両親が気付き、消火したので、大事には至らなかったのですが、Aは右手に、酷いヤケドを負いました…

医者によると、一生消えない、ケロイド傷になるだろうとの事…

出火原因は、Aが、何らかの可燃装置(ライター、マッチ)を持っていて、それが発火した為、との事…

Aに、火事の事を聞くと、決まって口をつぐんで、

「絶対言えない…」

と、答えるだけでした…

火事があってから、神社の右側の狛犬の口が、黒く煤けているのに気が付きました…

あの火事は、狛犬が起こした物だと、僕は今でも思っています…

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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