僕が、小学生だった頃、遊び場と言えば、学校の近くにある神社でした。
その神社の入口の所には、とても大きな狛犬の石像?が2体あり、よく、おばあちゃんに、
「悪い事すると、狛犬に喰われるぞ!」
と、脅かされてました。
それは、夏休みの暑い日の事ででした。
悪友のAと、神社のベンチに座ってボーとしていました。神社は、いつも涼しいので、僕らは、暇な時はいつも神社のベンチに座っていました。
Aが、気だるそうに呟きました。
「暑いなあ…なんか、アイス食いてえなあ。」
Aは、いわゆるガキ大将と言う者で、機嫌を損ねると、何をされるか分かりません。
僕は、適当に相づちを打ちました。
「食べたいねぇ…」
その言葉を待ってたかのように、Aが言い出した。
「じゃあ、俺が買ってきてやるよ。金をくれ。」
最初からそのつもりだったんだろう…
だけど、小学生の僕は、お金なんて持っていなかった。
お金がない事を伝えると、
Aは、僕を睨み付け、舌打ちをした。
「ああ!アイス食いてえ!!」
しばらく、Aはその言葉を繰り返していました。
そして、言い出したのです。
「なあ…ここの神社に賽銭箱あったよな!
あれからアイス代貰っちゃおうぜ!」
なんて罰当たりな事を考えるんだろう…
僕は断固として反対しました。
「A君…賽銭箱はまずいよ…絶対止めた方がいいって。」
しかし、言い出したら聞かないAは、
「だったらお前はアイス無しな!」
と、一人で賽銭箱の方に歩いて行きました。そして、賽銭箱から小銭を盗んだのです…
僕は、凄く怖くなってしまい、適当な理由を付け、一人で家へ帰りました。
その夜、Aの家で、ボヤ騒ぎがありました。
Aが寝てる部屋から、火が出たそうです。
すぐに両親が気付き、消火したので、大事には至らなかったのですが、Aは右手に、酷いヤケドを負いました…
医者によると、一生消えない、ケロイド傷になるだろうとの事…
出火原因は、Aが、何らかの可燃装置(ライター、マッチ)を持っていて、それが発火した為、との事…
Aに、火事の事を聞くと、決まって口をつぐんで、
「絶対言えない…」
と、答えるだけでした…
火事があってから、神社の右側の狛犬の口が、黒く煤けているのに気が付きました…
あの火事は、狛犬が起こした物だと、僕は今でも思っています…
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話