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短編2
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鉄筋アパート五階で…

若い頃、所沢市の鉄筋アパートにて一人暮らしを始めようとした矢先、体験した話です。

そのアパートは、鉄筋づくりの五階建て(エレベーターなし)で、家賃はとにかく安かったです。

僕は、その中でも一番安い五階の角部屋に引っ越した。

引っ越して2日目の夜、荷物の整理が、なかなかはかどらないまま時間は過ぎていき、気が付けば午前2時を回いました。

外は雨が降っていて、静まりかえった部屋に雨音だけが響いてました。

(もう、寝ようかな)

そう思い、まだカーテンも付けてないガラス越しに、ベランダを見ました。

そして、あり得ない物を見てしまったのです…

ベランダにしがみつくように、一本の手が見えたのです…

その手はゆっくりと這い上がってきます…

2本目の手がベランダにしがみつく…

肩が見えて、頭がゆっくりとベランダから見えてきたのでした…

顔がベランダから出てくるその瞬間、僕は気を失ってました…

目を覚ますと、何も変わらない部屋の中でした。

(夢でも見たかな?)

そう思い、ベランダに目をやると、僕は全身が凍りつきました…

頭から血をながした…どう見てもこの世の者とは思えない、真っ青な顔をした女が、こっちを睨み付け立っていたのです…

女は、僕に向かって低い声で言うのです…

「おろさない…おろさない…おろさない…おろさない…」

僕は、部屋の隅にうずくまり、ガタガタ震える事しか出来ませんでした…

女が、(おろさない……)を繰り返しながら僕に近づいてきます。

僕は悲鳴に近い声で叫びました。

「わかったから!来ないでくれ!」

目を開けると、女は消えてました…

翌日、不動産屋を訪ね、昨夜の事を全て話と、

「ああ…やっぱりダメでしたか…」

と事情を全て話てくれました。

あの部屋には、僕の前に若いカップルが住んでいて、痴話喧嘩で女が男を刺し殺したそうです。その後、半狂乱になった女は、五階から飛び降り自殺したという、曰く付きの部屋だったのでした…

不動産屋は、新しいアパートを、敷金礼金無しで用意するから、この事は黙っていてくれと言いましたが、こんな悪徳不動産は止めようと断りました。

あの時の女の顔が、五年以上たった今でも忘れる事が出来ません…

不動産選びには気を付けてください…

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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