俺が先頭、昨夜一緒に入った後輩が最後部で聖縄を持つ
入り口から建物中央まで迷わなければ5分とかからないだろう
修道院は建物に入るとさらに怖い空気が漂う…
壁から手がでてくんじゃないか?
ドアが急に開いてなんか出てくるじゃないか?
奴が突然襲い掛かってくるんじゃないか?
まるでプレステのバイオハザードさながらだ…
ゲームでは銃火機を持つ主人公、俺達はマヌケな電車ごっこ様…全く違う…
(いとカッコ悪し…)
恐怖心と変な妄想のなか奥へ奥へと進んでいると
「なんだ!」
友人が叫ぶ
振り返ると友人の持っているローソク(聖火)の炎が5〜6倍に高く燃え上がっている
(こいつ油でもつけたか?)
友人は俺を見つめている?いや、違う
俺よりもっと前方か?
すぐに友人と目が合う
アイコンタクト!
友人が軽くうなずく
………。
嫌〜な予感…
振り返ると…
やはり……
廊下の先に奴が物凄い形相で俺達を睨みつけている!(怖いよ)
ローソクの光のかげんで更に恐ろしい形相に見える
奴と俺の目が合う!目をずらせない
「やべえょ、どうするよ」奴の目を見ながら聞いてみた
「霊だし、実体がないからこのまま突っ切れば?」
「お前、先頭になれよ」
「やっぱ無理か?」
(アホか無理に決まってる)
どうしたら…
「お祈りしたらどうですか?」
(どんな?)
(さっきもしたけどダメだったじゃん)
「賛美歌歌いませんか?」
賛美歌?
車で聞いてた…
「お前ら歌えるん?覚えたの?」
「覚えてません…」
(なら無理でしょ)
「OK!賛美歌でいきましょ」
友人がまたもGOサインをだす
「お前は歌えるの?」
「歌えんけど、車でみんなでちょっと歌ったやろ」
(アベマリアか?)
(アベマリアってとこだけであとは鼻歌で合唱しただけだよな…)
「アベマリアか?」
「それそれ」
(こいつマジだ…)
「きよしこの夜はどうですか?」
「あれも賛美歌か?」
「アホか!奴のテーマソングみたいな歌を歌えるか」
(テーマソングではないだろ)
「心の問題だ!アベマリアでいくぞ」
友人はここぞという場面の決断が早い
(単細胞か本能か?)
「せーの」
「アァ〜〜ベェ〜マリィィ〜ィア〜 フ〜フフフフフ〜♪」
俺達は真面目に歌ったよ
(ほとんどフフフの鼻歌で)
奴の目を見ながら、こんなに緊迫したなかで鼻歌を…
不思議と歌っていると恐怖感が少なくなる
奴はその場から動かない!いや、動けないのか?
(イケる!賛美歌イケる)
俺達は歌いながら少しずつ歩きだした
奴の恐ろしい形相も焦りの形相に変化してきた感じがする
奴の目の前にまで進んだとき
「マリアー」
(呼び捨てかい!)
友人が聖水を奴に投げかけた
聖水は奴に直撃したのか?す〜っと奴はまた消えた
「やりましたね」
「あぁ…」
(とりあえずだ)
「早く歩け〜、時間ねえだろ」
(お前が先頭になれや…)
たしかに午前1時まで作業を終了させないと神父さんが言ってたな、急がないと
AM0:30
俺達は奴と初めて会った部屋の前に到着
「ここじゃない?」
「ここっすね」
中に入る
誰か偉い人専用の部屋みたいだ
たしか窓際のあのあたりに奴は居たはずだが…
………あっ☆
箱がある
さっきの箱と同じ様な
「あれですか?」
「似てるな?」
「なんで簡単に置いてあるん?」
(たしかに…変…)
「またトラップか?」
「やるぞ、「やらなしゃーないやろ」
(またも素早いGOサイン)
「聖火」
「聖火」
「聖水」
「聖水」
[バァーーン!!!]
(なんだーー!?)
聖水をかけようとした時、すごい勢いで部屋のドアが閉まった
(心臓止まりそう)
「オマエラヤラセナイヨ」
ちょっとちょっとありえなぇ〜
(鬼婆?)
(妖怪?)
(奴?)
(怖い!!)
片手にナイフを持った鬼婆みたいのが入ってきたではないか
(無理、怖すぎ)
「バカヤロー」
後輩が聖水を投げかける
(ナイス!)
おや?
(全く動じる様子もない)
「ヤラセナイヨ…」
奴じゃない?何者?
「ワァー」
鬼婆はいきなり切り付けてきた
後輩がシャベルで応戦
(奴ではない?)
(人間?)
もう一人の後輩もシャベルを持って参戦
圧倒的だ!強すぎる?相手が弱すぎる…
登場のしかたに驚いたが、ナイフは持っているが、人間ならシャベルを持った大学生二人に老婆が勝てるわけない。
一気に老婆を取り押さえるこに成功
(なぜか老人を虐めている気持ちになる…)
「ほっとけ、やるぞ、急げ!」
友人から一喝
後輩達に感心してる場合じゃない
時間がない…
後輩が一人で老婆を押さえ込む
「縄、縄
「聖水、聖水」
[シュワー]
さっきと同じく煙りがあがる
「開けよう」
俺は恐る恐る箱を開いた
「これだ!これ!」
中には何か解らないが文章が書いてある皮用紙
何かの骨(奴の骨か?)
髪の毛もある
間違いない!
それらに聖水をかけ、聖火を焚きつける
[再び浄化開始!]
(神様に祈る)
(神様、神父さんに感謝する)
(友人、後輩に感謝する)(神様、奴を浄化して下さい)
(祈る)
炎が一気に燃え上がる
(火事になるかも?)
んーっ?
[炎の中で奴燃えているではないか!]
(今度は間違ってない!消ちまえ!)
[聖火の炎に焼かれている奴と目が合う]
初めて俺から話かけてやった
「Still‐Nacht」
「HeiIig‐Nacht」
「どうよお前の登場文句」
(奴は反論する間もなく炎の中に消えた)
炎が消えていく…
すると黒い影達がドアからすぅっと
(また!?)
『ありがとう』
『ありがとう』
声が聞こえる
姿も鮮明に見えてくる
みな嬉しそうだ♪
『ありがとう』
『ありがとう』
シスター達は空へ消えるように去っていった
AM1:00
[浄化終了]
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話