「なぁ、ツトム、今度一緒に誰か脅かしにいかない?」
そう僕に声をかけたのは、僕の友達のスグルだった
スグルは僕は同じ1ヶ前に死んだ幽霊で、生前、彼は無職だったらしい
そして僕も生前は無職だった。だから気が合ったんだと思う。
「スグルだけいけよ。僕は…別にいいよ。そんな恨みとか無いし…」
そして僕とスグルは死後も無職だった
他の幽霊が生前の恨みをはらそうと働いている時も、僕とスグルはめんどくさいと何もしなかった。
そのせいで僕らは成仏は出来なかった
「だってお前、ツトムよ。このまま成仏しないでフラフラしててもよ…。せめてなんかしようよ。夢に出るとかさ、ラップ音鳴らすとか…」
「じゃあスグルだけやれってば…。他の幽霊だってシングルで頑張ってんだからさ」
「別にツインだって良いじゃん…。」
「だって僕とお前ただの友達じゃん…。ツインで出るならせめて共通の恨みとか持ってないと…」
僕とスグルはいつもこんな感じにウダウダとだべっていた。
お互い口だけは達者なのは生前も死後も変わらない
「共通の恨みって、ツトムの恨みなんなの?」
「知らない」
「はっ?」
「なんか、死神がそれについてボソボソ言ってたけど途中で寝ちゃった…(笑)」
「ツトムお前…」
「なんだよその目は…。じゃあスグルは何?ちゃんと恨み(目的意識)持って幽霊やってるわけ?」
「った、たりめーだろ!お、俺の恨みはかなり根強いんだよ!そんじゃそこらの霊媒師じゃ発狂するね。」
「ああそう、へー、凄いね。(棒読み)」
「あ、なにそれ、なんかムカつくんだけど?その態度…」
「じゃあなんなのスグルが成仏出来ない理由って…」
「……就職出来なかったから」
「………え?」
「働いてないことが未練だったらしい……」
「そりゃ確かに発狂するわ(笑)っていうかお前誰を呪うんだよ(笑)自分が悪いんじゃないのそれ?」
「……いや、社会を呪おうかなって……はは……」
「お前……」
「まぁいいや。ツトムよ。誰か呪いにいこうぜ」
「誰か呪いにいこうぜって、恨みある人いるのスグル……?」
「俺をこんな風に育てた親とか……」
「八つ当たりじゃねぇかよ……」
「じゃあ適当にそこらへんの奴らを……」
「考えること放棄すんなよ……。本当に適当な奴だなお前……」
「はは…」
「ふぅ……」
「ふぅ……」
「なんか、ダルいな…」
「ああ…」
その2つの影は深夜の神社で不気味に揺れていたのだった
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話