12月某日、俺達四人は神父さんに呼ばれた
成績も上がってるし、バイト代のボーナスかも♪
神父さん
「大丈夫ですか??」
俺達
「お金のことですか?」
「いえ、貴方達ですよ!」(え?)
療養中の元シスターが自殺…
その後
村営住宅の老夫婦が自殺…
後輩の女の子が意識を失い再入院…
神父さんの娘さんの様子がまたおかしく…
四人とも声がでない…
神父さん
「貴方達は大丈夫ですか?
大丈夫どころか絶好調♪だ…
俺
「ほんとうにですか?」
神父さん
「続いてます…」
(続いている?)
友人
「誰や?」
神父さん
「おそらく〇〇神父ですね」
(えっ修道院の…?)
「病院に来た神父覚えてますよね?
「この写真の中にいませんか?」
(古い写真だな…)
「こいつちゃう?」
「似てますね!」
「その人が〇〇神父です」
(えっ?)
写真には若い頃の奴が写っていた
俺達が見た浮浪者のような奴とは全く違う
生きている普通の人に見えたけど…
「浄化は失敗でしたか?」
「成功です」
「じゃぁなんでや?」
「彼女の呪いでしょう…」(彼女って?)
「貴方達を修道院で襲った彼女です…」
(あの人が…)
「お前らがシャベルで叩いたからちゃうか?」
「勘弁して下いよ…」
「シスターが神父を復活させたのですか?」
「間違いないでしょう
」
「復活後、病院まで貴方達を見にいったのですね」
「生きているのですか?」
「いや霊です」
(全くわからなかった…)
「次は間違いなく貴方達に来るはずです!」
(やっぱりね…)
「すぐに行動しなければなりません!」
俺達は彼女(元シスター)を救ったつもりだった
しかし、彼女は元神父の復活を願い自殺した
他の救ったと思っていた人達も犠牲に…
全てが振り出しに戻るというか、逆に悪い方向に…
最後に俺達か……
俺
「神父さんどうしたらよいのですか?」
神父さん
「戦うしかないですね!」
戦う!?神父さんの口から戦うという言葉を初めて聞いた
今までは調査や浄化作業などで、攻撃的な言葉はなかった…
ほんとうに神に選ばれた理由は今回の戦いのためなのか!
相手は自殺した彼女と奴!相手にとって不足はない
「このまま教会にとどまり二人が来たら戦うのですか?」
「いえ、こちらから乗り込みます」
「どこに乗り込むのですか?」
「〇〇〇修道院」
(あそこかい…)
「またあっこかいな!」
「あいつが住んどるの?」
「彼女があの場所で自殺したのです」
「遠いし雪深いしたまらんな」
「教会では追い払うことしかできないでしょう」
「やらるんと、やられるやろ!」
「いっぱつ派手なクリスマスパーティーやっちゃいますか!」
「やるか…」
みんなテンションが上がってきている
「負けたら死ぬで…」
「腐れ神父に負けるかいな!」
「秒殺や!
みんな落ち着け!
まずは神父さんに作戦を聞いてから準備だ
「神父さん作戦は?」
「いつもどおりですよ」
(へぇ?)
「なにか特別な道具とか武器とかないのですか?」
「いつもどうりでお願いします」
「いつから初めますか?」
「娘達の勉強もありますから、今夜、片付けましょう」
(受験か…)
(俺達は生死がかかってるんだけど…)
よし準備にかかりましょう
長い聖縄×五本
聖火の種火×五本
聖水たっぷり×五本
神父さん達に身体を清めてもらい
聖服を身につける
頭にには十字架の帽子
用意もなれてきて素早く完璧に!
ボリューム上げて聖歌かけろ!
教会号出発や!
俺達は[バレルス]
最後の聖戦のため六ヶ月ぶりに修道院へと向かう
出発してから一時間ほど経つと俺達のテンションは下がりはじめた
「今回は嫌な予感がしないか…?」
「お前の予感ハズレばっかりやろ」
「弱気にならんでくださいよ」
「俺達って素人だよな?」「プロの専門職に任せるのが普通ですかね?」
「プロは無料では動かへんもんちゃう?」
「……」
「バイト代安いし、お金と時間がないのかもね…」
峠にさしかかると雪が降ってきた
山を越えるともう真冬の雪国に
PM10:00
修道院到着
久しぶりの雪道で予定よりかなり時間がかかってしまった
俺達は無言で聖服など準備にとりかかる
寒さのせいか?
凛とした緊張感がどんどん高まる
教会号からでて四人手を繋ぎ小声で祈る
「さぁ入るか!」
「やったろか!」
「やりましょう!」
ハシゴを架け壁の上に
覚えているけど、やはり恐怖感漂う建物だ…
どこからか視線を感じる…
奴か?
シスターか?
俺の恐怖感か?」
「見られてないか?」
「多分な!」
「降りますか?」
俺達はビビりながら中庭に降りた
「寒いな…」
「聖手袋あるよ」
(聖手袋?)
軍手にバレルスと書いてある
(いつの間に…)
しかしまだ視線を感じる…
彼女の呪いの物を探さなければ
まずは奴の物が埋まっていた小山の辺りを後輩達が掘りかえすことに
「土木聖シャベル隊頑張りや」
(またシャベルにステッカーが…)
「寒いよな?」
「焚火しよ!」
(え?)
友人は廃材のような物に聖火をつけはじめた
雪の中にあったわりに乾燥していたのか、意外に簡単に炎が上がりはじめる
「前や!」
(前?)
おぉ〜!!!
入り口から廃校の神父とシスターの二人組がこちらを睨みつけている
(ここに復活してたか…)
「ヤバくない?」
「よし聖シャベル隊やったれ!」
「無理ですよ…」
「なんでや?」
「あいつら落雷落とすからしゃれなんないっすよ…」(たしかに強烈だったな)
「使えんな君達…」
「君らはシャベルで掘ってれ!」
「俺ら二人で秒殺してやるか!」
よくみると友人の足は震えている
俺も頑張らなければ!
「どうやるよ?」
「囲んでまえばどう?」
「……」
「出ました!」
「出たか?」
「聖水かけろ!」
……………………
反応がない…
(トラップか?)
「箱開けろ!」
「うぇぇ」
ネズミの死骸が詰まっていた
「焼いてまえ!」
ネズミを箱ごと焚火に投げ込む
炎がさらに大きくなる
「ネズミ君達の恨みもはらしたるわい!」
(足震えているぞ)
二人組はこちらに襲ってはこない
得意の雷撃もしてこない
「なんか迫力ないですね!」
たしかに廃校で会った時の迫力がまるでない
聖火で焚火を付けたからかな?
「こちらから行くか?」
「行きますか?」
「コスプレペア行くぞ!」
聖火を手に持ち、横一列にならんで二人組に迫る
「君ら雷はどうしたのかな?」
「できないのかな?」
「おまえら手下になりさがって弱ったな!」
「奴の手下ごときになりさがって[バレルス]に勝てると思っとんか?」
「囲め!
後輩達が聖縄で一気に二人組を囲む
聖火を四隅に置く
二人は苦しそうにしている…弱い……
「おいコスプレ二人組、今ならゆるしたる!」
二人そろって天に帰らせたるぞ!
「オマオラ…ワカッテイルノカ」
「そんなもんわかるかい!」
「浄化したる」
「聖水や!」
「汝、コスプレ二人組よ、〇〇神父、もしくは〇〇シスターにより復活させられたようだが本意ではないだろ」
「全知全能の神の名において汝達を浄化し天に帰す!」
「さぁ、迎えの者と伴に召されよ!」
二人組がふぅ〜と空に消えていく…
「やったやろ」
「やりましたね」
「よし中に入ろう」
俺達は[バレルス]や
半年前とはちゃうで!!
あっけなく二人組は浄化できた
廃校で会った時の迫力も力もなにもなかった
俺達が力をつけたのか?
「俺のパワーやな♪」
(ハイハイ…)
小山周辺を探したがシスターの物は見つからない
「中かな?」
「中やろ?」
「入りますか?」
いくら霊達を浄化しても、シスターの物を探しださないと話が始まらない
建物の中で物を探しだすのは困難だが何とかしなければ…
「どこに有ると思う?」
「シスターの部屋か、礼拝堂か、前に奴を浄化した部屋じゃないですか?」
「シスターの部屋がわからないよな」
「この前、自殺したんやから形跡が残ってるんちゃうか?」
(たしかに…)
「よっしゃ、ついてこい!」
「電車隊で行くか?」
「当たり前や!」
「先頭は?」
「お前にきまっとるやろ!」
(ついてこいって…)
俺達は聖縄のサークルの中に入り建物内部へ突入
おそらく奴もシスターも院内に潜んでいるに違いない
しかし、院内は何回歩いても気味の悪いものだ…
部屋を一つずつ確認していく
ギィイイ〜
バタンッ
隙間風のせいか、あちらこちらドアの音がする…
「怖いな……」
「ドアに556つけなあかんな!」
(潤滑油…?)
「さっきから、誰かがついて来てる感じするんですけど…」
「ほんまか?」
(誰だ?)
「振り返んなよ」
「突き当たり曲がったらな…」
「やるの?」
「おう」
緊張感が走る、最後部の後輩は怖いのだろいな…
角を曲がっていっきに反転…………反転できねーー!
ビックリした!
小さい男が俺の目の前に!(小児科のドクター…)
こいつは病院にて浄化したはずなのに…
ニタニタ笑っやがる…
「こっちもですけど…」
(ん?んーーーー!?)
聖火の炎が強く燃え上がる…
(かなり危険なのか…)
後ろから二人組が恐ろしい形相で近付いてくる……
(さっき浄化したばかりじゃん)
「お前、さっき失敗したんじゃない?」
「お前こそ、ちびっ子先生、失敗だったんたゃうか?」
「………」
恐怖と焦りで心臓が破裂しそうだ!
「どうします?」
「ヤバすぎですよ…」
(怖い…神父さん助けて…)
「ぉぃバレルスは負けへんで!」
「賛美歌歌いましょう」
(それか!)
「Lets Sing a Songや」
アア〜〜ヴェェ・マリィ〜〜〜ア〜〜♪
久しぶりに歌った、相変わらず途中からは鼻歌だが……
賛美歌を歌うと奴らは怯んだように見える
(イケルかな…)
こちらからゆっくりドクターの方に進む
ドクターが苦笑いをした瞬間!
「もろた!」
友人が別の聖縄でドクターを囲む
「ダァーッ!」
後輩達がいっきに反転、二人組を聖縄で囲む
(よしっ!)
「聖火を並べろ」
二つの聖縄サークルの周りに聖火のロウソクで囲う
三人とも苦しそうだ
「浄化してまう?」
「まって、なんか変じゃないか?」
「二人組は、さっき浄化しましたよね…」
理屈は解らないが、浄化は失敗に終わっている
今までとは違う…
俺達はこのまま浄化しないでサークルと奴らを残したまま、シスターの呪いの物を探すことにした
三人を浄化しないというより、できないので放置して奥へと進んだようなかたちになってしまった
「追ってこないかな…?」「後ろ気になりますよね…」
「手が冷たくねぇか?」
(手?)
「あぁ、冷たいけど…」
「四人分の手袋持ってきたん忘れてたわ!」
(気が利くな!)
「はいよっ」
「…………。」
軍手の甲の部分に汚ない字でバレルスと書いてある…
マジックが滲んで更に汚く見える…
「これ、聖グローブよ」
(アホだ…)
気持ちが少し楽になった
(心拍数が落ち着いてきた)
俺は友人のボケるタイミングは嫌いじゃない
奴らが後ろから迫ってくる気配もない
俺達は院内をさらに奥へと進む
どの部屋がシスターの部屋かわからない…
相変わらず、ドアの開閉するときのきしむ音と風の音だけが聞こえる…
(不気味だ…)
「奴を浄化した部屋に行ってみるか?」
「そやな〜」
「ここじゃない?」
部屋の中は俺達が半年前に浄化した形跡だけ残ってるだけだ…
「違うな…」
「礼拝堂行ってみますか!」
「あぁ」
礼拝堂は敷地の中心にある
修道院は迷路の様になってはいるが、だいたいの経路は頭に入っている…
このあたりをまがったら礼拝堂に行けるはず…………………………………………
もと居た場所だ!
奴ら三人がこちらを見てる
「何を間違えてんねん!」「間違えたか?」
「間違えてないと思いますよ…」
(だよな…)
「もどるか?」
「アホか、逃げたと思われるやんけ」
(逃げるのは得意じゃん)
俺達は三人の横を無視するかのように通り過ぎようとした
ギィイイ……
バァタン!
後ろのドアが開いて強く閉まった!
ロウソクの炎が激しく燃え上がる!
強い視線を感じる…
全身が硬直する…
ゆっくりと振り返る…
奴だ!
病院に見に来た神父!
写真で見た若い頃の奴!
やはり、浮浪者の様に見えた奴とは全く違う
(生きている人間のように見える…)
「くらえ!」
友人が殴りかかった!
奴は軽く避けてニヤリ
(霊でも避けるんだ…)
(落ち着け、落ち着け)
胸が痛いぐらい心拍数があがる
(どうする、どうする)
「ぉぃ…」
「ぁぁ…」
ダァーーーシュッ
サークルに囲われた三人の横をすり抜け猛ダッシュ
振り返ることはない
(できない)
とことん全力疾走!
突き当たりを右、右、左、右、もう、どこをどう走っているかはわからない
「そこ礼拝堂ですよ!」
(あれ?)
「ダッシュ作戦成功やな」
奴が来る前に調べなければ
祭壇の辺りから探すことにした
ェエーーー!!
シスター!
自殺したシスターが祭壇の脇に!
「ヤラセナイヨ…」
「オマエタチ、ヤラセナイヨ…」
「シャベル隊やったれ!」
「無理っす」
「生きてる時に勝ったやろ」
「じゃ、やりますか…」
「ヤラセナイヨ…」
チリン…
…チリン
…チリン
遠くから奴も近付いてくる
「ピンチやな…」
「どうします?」
「…………」
チリン……チリン……
前には不気味なシスターの霊
奴も近付いてくる
「逃げますか?」
「リーダーに任せるわ」
(俺にか!)
「やろっ!」
「やるんか?」
「あぁ」
「俺達は神様に選ばれた者だからな」
「おう、そうや」
「ですよね!」
「シスター、今回は手加減しませんよ!」
後輩達が前へと出る
僕達も『バレルス』です
「シャベル隊」ではありません
「ヤレルノカイ…?」
「シスター…なぜ呪いを?」
「…」
「30年間の月日が貴女を変えたのですか?」
「…ワカルマイ…」
「僕達、羊壊隊にやらすのですか?」
「ヤレルノカイ?」
「やりますよ!バレルスですからね」
「…」
「貴女が礼拝堂に居たということは、呪いの物はここにはないですね?」
「ネズミのトラップ作ったり、ほんと手が込んでますね」
「…」
「先輩、やっぱり中庭の小山にあるんじゃないですか?」
「さっき掘ったやろ?」
「さらに奥に埋まってるとか?」
「多分そうだと思いますよ」
「お前らしっかり掘れや!
「地面硬くて…」」
(雪もあったしな…)
シスターが礼拝堂に居たのも罠?
奴らが修道院内にいるのも罠?
全ては俺達を欺くための…
それが正しければ、急いで中庭に戻らなければ…
「イカセナイヨ…」
チリン チリン
ギィ〜イ
来た…奴だ!
背中に奴の視線を感じる…
「マタニゲルカイ?」
「シャベル隊、ばぁさんなんとかせぇ、俺らは、おっさんや!」
「はいっ!」
中庭に戻るにしても、この状況を打開しなければ
キラッ
奴の目が光ったような…?え?消えた!
奴とシスターが消えた…
「センパイ…」
「センパイ…」
(ん?)
後輩達が小声で呼んでる
(またビビリ入ったか?)
「センパイ…」
「ヒャッヒャッヒャッ」
「おい、変やで!」
(狂ったか?)
「ヤバイで!」
のぉぉぉぉぉーーーー!
目が銀色になった後輩達がこちらを向いている!
「もしかしてこれって?」
「憑依されたんたゃう?」
「ヒャ-ャッヒャッ」
「どうするよ…」
「俺に任せとけ!」
(おっ!)
「聖なるパンチで祓ったる」
(パンチって…)
「このグローブをした俺の拳は聖拳よ」
「殴るんか?」
「除霊や!」
バコッ バコッ バコッ バコッ
(痛そう……)
「ヒャャッヒャッヒャッヒャ」
「祓えてないぞ」
「もっかいやるか!」
「ロープで囲って聖水使ったら」
「なまぬるいな…」
(後輩だぞ…)
気持ち悪い後輩達を聖縄と聖火で囲んでみる
「ウウウウウウ…」
苦しそうだ
「このまま、燃やして浄化してまうか?」
(殺人になるって…)
「おばはん、おっさん、とっとと出ていけや!」
「聖水かけろ!」
ジューッ
「冷たっ!」
(おっ?)
「先輩、冷たいっすよ」
(抜けたな)
「おまえら憑依されとったんやで」
「僕達がですか?」
「そうだ」
「痛たた…頭が痛いです」
「顔、柱にぶつけてたで」
(エーーッ?)
「マジっすか?痛たたた」
(可哀相に…)
奴らはどこに行った?
いちよう礼拝堂を調べてみたがシスターの物はない
俺達は中庭に戻ることにした
廊下を中庭へと戻る途中
「アッ!」
「忘れてましたね…」
二人組と小さいドクター…
「あいつらは無視や」
「だな」
俺達は三人と目を合わさないように鼻歌でアヴエ・マリアを歌いながら横を通り抜けようとした
「あっ」
ドタンンッン!
(え?)
後輩が聖縄にひっかって転んだ…
二人組の聖縄が外れる
(マジかよ…)
二人組が不気味に笑う
「おまえらアホか!!」
「走れ!」
ダアアーーーッシュ
「すいませーーーん」
「謝ってすむかーー」
中庭まで一気に駆け抜けた
「おまえら急いで探せや」
「すいません…」
後輩達がシャベルで小山周辺を掘り返しだす
「来たで!」
「悪霊全員集合だな…」
「やったろぅか」
「ああ」
「シャベル隊頑張れや!」」
「悪霊君達かかってきなさい!」
(挑発するなよ…)
俺達は『バレルス』
『最後の聖戦』だ
ビューーーーーーーービュユーーーーーーーー
風が強くなってきた、吹雪になりそうだ
俺は震えていた
友人、後輩もガタガタと震えているように見える
氷点下の寒さのせいではない
恐怖なのか?
武者震いなのか?
何度も何度も恐怖に負け逃げ出した
この6ヶ月間の出来事が走馬灯のように頭をよぎる
すべては温泉に行こうとしたら修道院に着いてしまったとこから始まる
ナビが古いわけでも設定ミスでもなかったのに…
奴らに呼ばれたのか…?
神に選ばれたのか…?
俺には判断できない…
呪いをかけたシスターが目の前に悪霊としている
俺は、この老婆を助けたと勘違いしてた…
人の心の奥底はわからないまのだ
ましては俺達みたいな若輩には想像すらできないものなのか…
廃校の女の子の霊
大学の後輩の子
修道院のシスター達の霊
温泉の女将の霊
神父さんの二女
たぶん助けになれたと思う
村営住宅の老夫婦は残念でしかたないが…
「ありがとうな…」
「俺こそな…」
「聖拳でやっちゃって!」
「無理やな…」
(さっき殴ってたじゃん)
早くシスターの物を探し出さないと、それまで時間稼ぎが必要だ
「おい!アダムスファミリー!」
(ぉっ、似てる…)
「もうちょっと待ってな」
(待たすんかい!)
「待ってくれないみたいよ…」
「やっぱダメやね…
奴達が近づいてきた
霊だけに足跡が着かない
全員、ニタニタして気持ち悪い
「出ました!」
(出たか?)
キラッ
奴の目が光った!
奴とシスターが消えた!
(もしかして……)
「ヒャッ、ヒャッ、ヒャッ」
「セ・ン・パ・イ…」
「こいつら使えへんな…」
「センパイ」
「ヤラセナイヨ…」
またも後輩達が憑依されてしまった
後輩達の目が銀色になっている
「聖拳炸裂やな」
(ダメだって!)
「おりゃ〜!」
(殴るんか?)
「待てや!」
「ヒャッ ヒャッ ヒャッー」
「逃げやんの!」
奴らは後輩達に憑依して物を奪い返してきた
さすが後輩達、逃げ足が早い…
「どうする?」
「逃げ足早いし飛び道具使ったろか!」
(飛び道具?)
「使いたくはなかったな」
(マジに?)
水鉄砲!!
(買ってたの??)
「おまえら聖銃で狙い撃ちにしたる」
(中身は聖水?)
「あら?」
「早く撃てよ!」
「先が凍ってでえへん…」
(氷点下だからね…)
「期待してたのに…」
「わりぃな…」
「ちょっと耳かせや」
(何?)
「ヒソヒソ…」
奴らは不気味にニヤついてるだけだ
俺の左手で友人は右手で聖縄の端と端を持つ
「やるで」
「やるか」
「悪霊君達、今から俺達の聖拳で浄化してやる」
俺達は聖縄の長さいっぱいに左右に広がりゆっくり奴らに近づいた
早く後輩達と物を取り戻さなければ…
風雪がさらに強くなってきた
ピカ!!
ガァラガァラゴッゴゴゴドカァンン
落雷だ!
二人組の得意技だ
「大気が不安定やな」
(天気のせい?)
「ヒャーーー」
後輩の一人がシャベルを持って襲いかかってきた
バコ ボコ
「聖拳に敵なし」
(秒殺だ…)
「聖水かけたる」
「ヒャーッ」
(まだか?)
「冷たいっ」
(お帰り)
「また憑依されてたで」
「えー?またですか?」
「ほんま使えんな」
「すいません…」
「もう一人使えん奴いるからな」
「あいつ、目が銀色ですよ」
「お前もあんな感じだったよ」
「キモいですね…」
三人なら逃げられまい
俺達は狩人のように奴らを三方から聖縄で囲みこんだ
「オリャー」
友人が憑依されてる後輩に殴りかかる
バコ ボコ
(強い…)
「物、取り返せ!」
シスターの呪いの物を奪い返した
「聖水や!」
「冷てっ!」
(お帰り)
後輩達も、呪いの物も取り返した、奴らの囲みこみにも成功した
これで浄化作業をすれば、全てが終わるはずだ
俺達は『バレルス』
「聖戦」は勝利すると確信している
「聖火で囲え」
後輩達が戻ってきて四人で反撃だ!
「急げ!」
「憑依されんなよ!」
「すいません…」
風雪がさらに強まる
遭難しそうな天気だ…
霊達には雪はつかない
俺達だけ雪まみれだ…
これで終わりにしてやる
皆、必死に作業する
奴らはキョロキョロと周りを気にしてるだけで何もしてこない
(焦りだしたかな?)
「シスター〇〇さん、こんな結果になり残念です」
「ヤラセナイヨ…」
「残念です…」
「浄化してまえ!」
「五人のさ迷う物達よ、神の命により浄化させてもらう」
「聖水かけて」
ジュ〜
「中身確かめて」
「毛髪に契約書あります」
「聖水!」
「聖火を!」
グォーーーーーー
物が炎に包まれる!
「祈れ!」
やっと終わったな…
…………………………?
消えない??
奴らがこちらを睨みつけている
浄化失敗?
「失敗か?」
「みたいやな…」
「逃げますか?」
「………」
もう駄目か…
やれることは全てやった
挫折感か、力も抜けてきた…
「聞こえませんか?」
(ん?)
「聞こえるな」
微かに聞こえる、吹雪の音のなかに…
チリン……
チリン……
チリン……
チリン…
遠くから鈴の音が聞こえる
「鈴の音やな…」
「新手の霊か…」
「ヤバくないっすか?」
「逃げましょう!」
ガシャガシャガシャ
ギィーーーッ
修道院の門が開く
チリン…
チリン…
思わず息を飲み込む……「
あーーーーー!
神父さん達だ!!
「間に合いましたね!」
「よく頑張りましたね!」「ここからは我々もいっしょです!」
「もう少しでしたね」
神父さん達の目が鋭くなった
目力とはこんな感じのことをいうのか
凄い迫力だ
いつもの神父さん達とは、全くの別人に見える
「さぁ、貴方達、もう少しです」
俺達と神父さん達は交互に並んで奴らを取り囲んだ
神父さん達の気迫が伝わってくる
「〇〇よ、汝の罪は重い」
「しかし神は汝にも手を差し伸ばしてくれるだろう」
「さぁ、祈りましょう」
「………………………」
「浄化します!」
神父さんは、奴らを囲んでいる聖縄に聖火をつけた
ゴォーーーーーー
聖火がロープ添いに燃え立つ
奴らは苦しそうだ…
「我々はバレルス」
(神父さんも?)
「30年の長きにわたる忌まわしき怨念を、たった今、ここで浄化する!」
炎とともに奴らも消えていった…
AM1:00
浄化終了
いつしか雪は止んでいた
冬の間は修道院も冬眠かな…
俺達は車にもどり教会に帰る
「神父さん凄いっすね」
「俺ほどやないけどな」
「聖拳使えるしね!」
(嫌み)
「あっ、さっき殴りましたよね!」
「俺も憑依されとったんちゃうかな…」
「顔が腫れてきましたよ…」
「君達、僕が本気で殴ったら死んでたよ ニヤッ」
(本気に見えたよ)
「湿布買って下さいね…」
教会につくと、娘さん達が出迎えてくれた
「お帰りなさい、シチューあるよ!」
(おっ!ナイス!)
「さぁ、中でゆっくり食べましょう」
シチューとパンを食べながら神父さん達に質問してみた!
「なんでもっと早く来てもらえなかったのですか?」
「雪道が恐くてね…」
「今日は来る予定だったのですか?」
「君達だけで行かせたと友達に話したら、怒られてね…」
(そんな…)
「午後からクリスマスの準備手伝って下さいね」
(もうクリスマスか…)
俺達は『バレルス』
最後の聖戦は神父さんとともに勝利した
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話