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中編4
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弟と子犬

昔あった不思議な事を思い出しました。怖くないし、長文なんで好きじゃない方はスルーしてください。

昔、親戚が飼ってた犬が子犬を産んだ。

私と弟二人は一匹貰う予定で、産まれる日を心待ちしていた。

『産まれそうやでー!』

と親戚から電話がかかってきたのは夜の8時くらいだったと思う。

親戚の家まで車で40分くらいなのでおかんと真ん中の弟と私ですぐに向かいました。

一番下の弟はまだ小さかったので親父に面倒見るように言って置いていきました。

車を止めて親戚の家に着くと、ついさっき産まれたみたいで一匹は、母犬が嘗めていたのを覚えています。

『あれ?あと一匹どこ行ったん?』

と私が聞くより早く弟が走って二階にあがりました。産まれた子犬には見向きもせずに。

すると、親戚のおっちゃんが

『あいつわかったんやろか?(弟の事です)いやー‥それがあと一匹はあかんかってん。嫁が人口呼吸やら心臓マッサージしたけどな‥可哀相に。せやさかい、今二階行って明日焼いてもらう様、新聞に包んで体に合う箱、探しに行ったんや』

との事でした。

少し沈黙したあと、二階から弟の声が聞こえてきました。

おかんと慌てて二階にあがると

『僕のやー!僕が持って帰るんや!まだ燃やしたらあかん!僕の犬やー!』

と泣きながらおばちゃんの腰をポンポンと殴っていました。

『この子(犬)は死んだんや!わかるやろ?!』

と弟に言い聞かせてましたが、弟はいっこうに聞きません。

私とおかんも、見て子犬は死んだとわかりましたが、まだ小さい弟はわかってないと思い、引き離しました。

それでも弟は『消えてへんまだ消えてへん!僕が連れて帰るんやー!』と意味がわからない事を泣きながら言っておさまりません。

見兼ねたおばちゃんが

『なら持って帰り。そのかわりちゃんと明日、持っていくんよ』

と私とおかんを見ながらため息をつきました。(ちゃんと子犬を処分するように‥)

おかんは

『ごめんな〜この子にはちゃんとわかるように帰ったら旦那に言い聞かせてもらうわ〜』

と言って、産まれた子犬じゃなく、死んだ子犬を抱えて家に帰りました。

車の中でも弟は新聞に包まれた子犬をずっと抱いていました。

『あかん!連れていかれる!でも僕が居るから大丈夫やで!』

と言いながらがっちりと抱いていました。

私もおかんも少し気持ち悪いと思っていました。

家に帰ると親父が一番下の弟とリビングで遊んでいました。

さっそく死んだ子犬を抱いた弟を見て

『何が見えたんやー?』

と親父も意味がわかりません。

弟は『消えそうやけど僕が近付いたら大丈夫やねん!』

と二人の会話の意味が私には理解出来ませんでした。

『気持ち悪いてや!二人して変な事ゆわんといて!死んだ犬抱えて帰ってきてんで?恥ずかしかったわ‥ちゃんと言い聞かせてよ!』

とおかんは泣きそうになっていました。

でもおとんは

『まだ死んでへんのじゃ!虫の息っちゅーやっちゃ!よー触ってみぃ!』

と怒鳴ります。(親父は新聞に包まれたのを見ただけで、触っても見てもいませんW)

死んだと思っていた子犬を触ってみると、冷たいけどかすかに生暖かい感じがした。

しかし、息をしている様子も目ではわからず、ぴくりとも動きませんでした。

おかんはハッとして弟にごめんな、と謝りました。

でも子犬の様子を、まだ小学の低学年だった私が見ても‥ダメだと思っていました。

そして夜遅くなり、おかんとお風呂に入って寝ました。

でも弟はお風呂にもはいらず、片時も子犬から離れないで朝まで親父と一緒に起きていたみたいでした。

私とおかんが明け方、弟の大声で飛び起きました。

リビングでありえない光景が。

なんとあの子犬が箱の中で動いています。

そして弟は

『僕!ガイア敵から守ったんや!いぇーい!僕強いぞー!』

と走り回り、はしゃぎたおしていました。笑

名前まで付いていてW

それから慌てて親戚の家に居る母犬の元へ返しにいきました。

親父が産まれたてやから、触るなと言ったらしく弟は小さな箱に入った子犬をずっと眺めて、小さな声で話かけていました。

親戚の人もびっくりして、まさかあの状態で生きていたとは考えてなかったらしく、みんなでとても喜びました。

母犬の元へ戻すのは、弟がまたぐずるのか?と思っていましたが、意外にあっさり子犬から離れた弟に、

帰りの車で聞いてみました。

私『なぁ何で今は離れて大丈夫なん?』

弟『もうガイアのお腹、消えへんから大丈夫。敵も僕には近付けへんかって、諦めた!敵が離れたらお腹光って近付いたら消えそうなってた!』

私『敵って誰?お腹?』

弟『こんな奴!黒い赤い臭い怪獣!お腹のオレンジが消えたら連れて行かれるから!ガイアも頑張ってたで!』

と弟が四つん這いになってがるるる、とその『敵』とやらを体で表現します。

私はすごく怖くなり、親父に言いました。

『もうおらへんくなった?‥まだ居るん?』と泣いた記憶があります。

『大丈夫やで。わしには見えんかったけど、悪い奴の臭いが消えたからな。』

と笑いながら運転を続けていました。

そのあと、ある程度成長したガイアがうちに来て、弟の一番の親友になりました。

今ガイアは、12歳。

ありえないくらい毎日、

元気で走り回っていますW

今弟は、見た物などは覚えてないらしく、

小さい子特有の(見える)と、家系の影響で、消えそうな命が見えていたのでしょうか?

今となっては、不思議でたまらない話です。

怖くないのに読んでいただきありがとうございましたm(__)m

怖い話投稿:ホラーテラー 花さん

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