今から11年くらい前、息子が4才の時の話しです。
うちの近所は 400円~500円くらいで入れる温泉が結構あって、広いお風呂が大好きな息子と一緒に ちょくちょく入りに行ってたんです。
その日は 妹といとこと息子とあたしの四人で、温泉に入りに行きました。
季節は夏で 夕方4時くらいだったかな?
で、その温泉施設はかなり広くて、旧館と新館が渡り廊下でつながっている形で(旧館と言っても、そんなに古くはない)、露天風呂が旧館にしかないので そっちに入ろうってなった。
妹達とばか話しをしながら廊下をわたり、奥ばった入口に入って 『女湯』と書かれた大きな暖簾をくぐった途端…息子がクルッと後ろを向き、そのまま猛ダッシュで走って行ってしまった!
突然の事に驚いて、一瞬ボー然とするあたしと妹達…
『……あっ!ちょっと!どこ行くの!?』
やっと息子が逃げた事に気づき 後を追うあたし。
『ちょっと!待ちなさいってば~!』
と、走りながら叫んでも、息子は脇目もふらず 全速力で走って行く。
このままでは 受付も玄関も通り越して、外に飛び出してしまう…!と思った時、近くにいた人が 息子を止めてくれた。
助かった~(´Д`)ハァ
その人にお礼を言ってから、
『なんで急に走り出したりすんの!』
と叱り付けた。すると息子は 目に涙を一杯ためて
『絶対に入らない!入らないもん…』
と今にも泣き出しそうになっている。
はぁ?なんで?さっきまで あんなに楽しそうにしてたのに(-.-)
すると後を追いかけてきた妹が息を切らしながら
『もう…あっちに戻るのしんどいわ~。新館のに入ろうよ』
と言うので、露天風呂はあきらめ、新館の方に入る事にした。
あんまり息子が嫌がるようなら、今日は入らなくてもいいか…と思っていたが、予想に反してすんなりと入り、と言うか 自分から服を脱ぎ、大喜びで入って行って拍子ぬけしてしまった。
お湯に浸かりながら、
『さっきの大騒ぎは なんだったんだかね~。』
『本当ね~。マジ疲れたし!』
と妹と話していると、いとこが息子に
『ねぇ、Y~。なんでさっき、走ってっちゃったの?』
と、聞いた。すると息子が
『だって鏡の前に、怖い顔したおっきいおばあちゃんが いたんだもん…』
鏡は、暖簾をくぐったら目の前だった。そして右を向くと脱衣所。
だけど誰もいなかった…はず。
無言で妹と目を合わす。
『居なかったよね?…誰も…』と、妹。
だよね~(-_-)と、頷くいとこ。
『いたよ!いたんだよ!ママが1番最初に入ったでしょ?
もう少しでぶつかっちゃう~ってとこに、いたんだよ!そんで、頭のてっぺんを覗き込むみたいにしてた。』
それを聞いたあたしたちは顔面蒼白。
そんな近くに…?しかも、どんだけデカイばあさんなんだか…!
ホンット聞かなきゃよかった(T_T)と思った体験でした。
長々と書いちゃって、すみませんでした。
怖い話投稿:ホラーテラー うさぎさん
作者怖話