短編2
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早朝、〇〇駅にて2

駅員に状況を説明。事情を理解した駅員が今度は真っ先に男の元へ走る。

その時は何か良いことしたなと少し誇らしげにいた。

気持ちを切り替え参考書を再び鞄から取り出そうとすると乗り換えの電車がホームに入ってきた。

乗る間際、チラッと兄は2人を気になり見た。

すると男は駅員に優しい口調で宥められていた。ホッと安心して4両編成の一番端に乗り込み、ブザーが鳴りドアが閉まる。

電車が徐々に動き出す。一番端に乗った為、車掌室から窓越しに2人が丸見えだった。参考書を読むはずが気になって見ていた。

駅から20M位離れたとこで駅を通過する急行電車がすれ違った。

2人を見るとさっきまで宥められていた男が暴れていた。

ヤバいと思った。

だがどうすることも出来ない。

必死に駅員が押さえこむ。

心の中で駅員を応援する。が、その思いも届かず…

制止を振り切り飛び込んだ。

急行の電車が猛スピードで駅に入り…

「ドン!」

その鈍くて重い音は兄の耳にもはっきりと聞こえた。次の瞬間物凄い音の急ブレーキ音。

気分は最悪だった。これから大事な受験だというのに…

駅員はというと立った状態から、土下座の姿勢になり、帽子を取ってうつ向いていた。

既に電車は次の駅を目指し動いている為、当然後戻りできるわけもない。

駅員が米粒ほどの小ささになり、電車が緩いカーブに差し掛かかり完全に見えなくなった。

会場に行くまでの足どりは重く、無事着いたものの集中出来るはずもなく、試験の間ほぼ何も書かず…試験が終わった。

帰り道。

兄は迷っていた。迷った挙句…全く同じ順路で帰った。

あの駅だけは避けようとも考えたが…確めたかった。

この目で確かめて、奇跡があるならと思い……意を決し、電車に乗った。

電車に揺られ着くまでの間はひたすら祈っていた。かすかな希望を胸にして…

駅に着くと3人の職員が線路の上で検証みたいな事をしていた。その周辺には明らかに何かを片付けた後…そして小さい花束がすでにおいてあった。

数時間前に見たあの光景は「事故現場」と化していた。

それを見て愕然とした。やっぱり来なければよかったと…

3人の職員の中に、あの時の駅員はいなかった。

何するわけでもなく、少し離れた所からその光景を見守った。

次で終わりです。

怖い話投稿:ホラーテラー 久々の匿名で★さん  

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