「いつか尽きる求愛のかたち」
ある日、女子大生は家から大学までの道で自転車を修理している男と出会った。
彼女は爽やかな朝に、とても優しい気持ちになっていた。トンネルの中で男が一人懸命に自転車を修理している。近くには自転車の部品と思われるものが転がっていた。
彼女は特に彼が気に入ったわけではない。
ただ親切でその部品を手渡した。
「あの~、これ…どうぞ。」
いきなり声をかけられ修理の男はびっくりした。若くてかわいい女の子が自分の部品を手渡ししてくれている。
「はい」
男は彼女を見つめた。
男の歯には上の前歯が全てなかった。
彼女はそのまま何事もなく歩いて行ったが、男は修理も忘れ彼女を見ていた。
夕方、暗くなりかけた頃、彼女は1人暮らしのアパートについた。
みると玄関のドアノブに小さな紙袋が掛けてあった。
何かしら?彼女はわくわくしながら中を見た。
指輪のケースが入っていた。
彼女は部屋の中にも入らず、ケースを開けた。
きゃあ~
中には、抜いたばかりの血のついた歯が2本入っていた。
次の日の朝も、トンネルにあの男がいた。前と違うのは確実に彼女を見ていたということ。大学生もそれに気づいた。目をそらし、足を速めた。
男はヘルメットをはずし、頭を見せつけた。
頭はそりあがっていた。
夕方家に着くと、また紙袋がドアノブに掛けられていた。
中をのぞくと大量の髪の毛が入っていた。
次の日彼女はとても憂鬱だった。あの男はまたあのトンネルにいるに違いない。
男はやはり影から彼女を見つめていた。でもその眼は1つしかなく、眼帯をつけていた。
彼女は不安な気持ちで家に着いた、今日もなにか玄関にあるに違いない……
でもその予想ははずれた。
もう終わったんだ。
彼女は鍵を掛け、台所で皿を洗い始めた。
ピン・・・ポ・・・ン~
よわよわしくチャイムがなった。のぞき穴をみても誰もいない
おそるおそるドアを開けると、下には中華料理らしきものが置いてあった。
なにこれ?
彼女はラップの上から観察した。おいしそうな料理の真ん中には大きなウズラの卵らしきものがある。
でもどこかかたちが違う。
彼女は皿を回転した。
その時彼女の叫び声がアパートに響きわたった。
そのおおきなウズラの卵は…
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話