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許された呪い 最終話 もうやだ

短編2
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許された呪い 最終話 もうやだ

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女の目は虚ろで、Fさんが立ち上がった事すら気付いていないようだった。

刃物を持っているわけではないので、警戒はしているものの、すぐに部屋を飛び出す事はためらわれた。やはり女をそのまま放ってはおけなかったのだ。

女は座ったまま何か呟いている。

Fさんは、いざという時の為にドアの鍵だけは開けておこうと、足を玄関の方へ向けようとしたその時、強烈な耳鳴りが彼を襲った。

(身体が・・・動かない・・・!)

Fさんはまさに最悪の状況で、金縛りに遭ってしまったのだ。

・・・いた・くな・・い・・けど・・・・か・・ゆ・い・・の・・・

!!!!

頭の中で女の声がする!

・・・いた・・く・・ない・・けど・・・・かゆ・・い・・の・・・・・・ほ・んと・・は・・いた・・いの・・・ほん・・と・・は・・・いたい・・の・・・とて・・も・・・い・た・・い・・の・・・・いた・く・・て・・・・・・か・ゆい・・・の・・・

恐怖で完全にパニクったFさんはさらに戦慄する!

女が畳に両手をついたのだ。

(立ち上がる!誰か!!)

頭が割れそうだ。

声は続いている・・・かゆい・・の・・・いた・・・く・て・・か・・ゆ・・いの・・・いたくて・・・・かゆい・・・の・・・い・た・・い・・から・・ころ・す・・の・・・か・・ゆ・い・・から・・・ころす・・の・・・・・・

!!!

女がユラリと立ち上がる。

Fさんは後じさる事もできない。

(誰か!助けて!!)

・・・か・・ゆい・・から・・ころ・す・・・の・・・い・た・・い・・から・・・・こ・ろ・す・・の・・・かゆ・い・か・ら・・・おに・・い・ちゃ・ん・・た・・す・・・け・・て・・おに・・い・・ちゃ・・・んた・・すけ・・て・・・

(お兄ちゃん助けて?)

近付いてくる女の輪郭がゆらゆら揺らめいた。そのうち曇って見えなくなる。

(涙?俺は泣いているのか??)

Fさんの中から恐怖が消えた。

「ユキエ」

聞いた事もない名前が口をついて出た。

Fさんは抱き締めた。女の身体が折れるほど。

「お兄ちゃん、ありがとう・・・」

一瞬、左胸に痛みがはしった。

Fさんは女の手を取り、何故か可笑しくて笑ってしまった。

アイスピック?

「そんなもの、どこに隠してたんすか?参ったな〜」

「そこで目が覚めたんっすよ!夢だって現実に見たんだから、実話でしょ!!おっさん」

Fさんはそう言うと右手を挙げて立ち去った。

やっと帰ったと思ったら、玄関のドアが少し開き、顔だけ覗かせて叫んだ

「んじゃ、また!例のキャバクラで!」

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怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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