恐怖の話ではありませんので、興味の無い方はスルーをお願いいたします。
東北の実家は築100年越えた増改築を重ねた古い家です。
和室の真ん中に、いろりがある部屋が二つありました。
日本昔話に出てくるような形で、天井から金具で吊って、鍋や南部鉄器のやかんをかけたり 、串に刺した食べ物を焼いたりする所です。
祖父が80歳代になると足腰もおぼつかなくなり、いろり付近の段差で転倒したり、いろりの近くに座っていて、立ち上がろうとした時、よろめいて、いろりに落ちて軽いやけどをしました。
いろり付近の事故が危険と考えた父は、二つのいろりを潰して、床暖房のフローリングにする工事を考えました。
工事が始まる前、事前に地元の神社の神主に相談し、良き日と良き時間帯を選び来て頂き、火の神様に感謝をして封じてもらう神事を家族と工事に関わる人達でしました。
最後に、いろりに板が渡されふたがされて、真ん中に難しい言葉がかかれたお札を貼り付け、「このお札をはがさないようにして工事を行ってください。改装後は御不浄になるものはこの上に置かないでください。」と神主に言われました。
以前に地元でいろりの火の神様に何もせず潰し、普通に改装工事をしたその日に不審火による火災が起こったそうです。その後も考えられない所からも出火が相次いで、地元の神社に相談したそうです。
偶然かもしれませんが、きちんと火の神様に今までお世話になったことに感謝をして、地元の神社に封じてもらうと、不審火がおさまったそうです。
神社と不審火が立て続けに起きた家と両方に、父は仕事上の付き合いがあって詳しく聞いて畏れを感じ、火の神様を封じることにしたと言っていました。
他には近所にあった井戸も、住民のほとんどが立ち会いし、井戸の神様を封じたことがありました。
封じてもらう前は、新盆の近所で亡くなった方が、井戸から出てきて自宅前で消える姿をしょっちゅう近所の人達に目撃され、騒ぎになりました。
生前はわたしもよくお菓子をもらったりした世話好きなばあちゃんでした。
母も早朝に玄関前でその亡霊が無言で黙々と自宅方向へ歩いて行った姿を見たそうです。
井戸の底はあの世と通じ亡霊が井戸から来ることは珍しくない。大抵は新盆を過ぎると来なくなるけど、来すぎるともっと恐いモノが通れるくらいに井戸が変化するため、封じることに決め、住民たちで良き日に行ったそうです。
読んで頂いて有難うございました。
怖い話投稿:ホラーテラー 菫さん
作者怖話