「未解決」を体験した、某大手派遣会社の業務担当(以下、業担)をしていた頃の話。
事業所の業担の先輩に、Yがいた。
人間性にかなり問題のある人で、私を含めた新人業担の同期5人中、4人が3ヶ月の試用期間から延長せずに辞めた理由になった。
無論、新人業担のみならず、従業員に対しても問題のある人で、胸糞悪くなるから詳細は記さないが、かなり恨まれていた(某巨大掲示板サイトでは、実名を晒された)。
そんなYが、内臓を患って一週間休んだ。
その週末、事業所の親睦会が開かれ、強制参加ということで嫌々出席した。
相変わらず、鬼のように仕事を押し付けられ、遅れて参加したら、Yが出席していた。
一週間ぶりに見るYの顔は土気色で、傍目にも内臓を患っているのが分かる。
「大丈夫ですか?」
と尋ねると、
「大丈夫じゃないけど、こういう席だからさ!」
と、酒を飲みまくっていた。
私は、まだ夜勤者の出勤次第では確認作業があるかも知れなかったし、教育担当の女性(Nさん)を隣の市まで送るよう言われたので、烏龍茶で何となくいた。
しかし、Yが…いや、Yの背後が気になる。
体が、ドス黒い靄に覆われているからだ。とにかく、良くないモノが憑いているのは分かった。
一次会が終わり、酔っ払い達が二次会だと盛り上がるのを余所に、帰ると言うNさんを送ることにした。
幸い、夜勤者の出勤状況には問題は無かったし、業担の先輩方とは、これ以上関わりたくなかった。
送る途中、Nさんが、
「Yは酷いわね」
と呟いた。
私が、「メチャクチャ顔色悪かったですね」と答えると、
「違うわよ」
とNさん。
「もしかして、あの黒い靄…」と言うと、
「見えたの!?」
と驚かれた。
「はい」と答えると、
「忘れなさい。アレは生き霊よ。それも、かなり悪意のある。関わったら、あなたも危ないわよ」
そう言うNさんに、素直に頷いた。
とにかく、気分が悪くなるほどの気配を感じていたから。
去年の春、久しぶりに現場で働いていた時の同僚Sと電話で話していたら、Yの話題が出た。
辞めた、とのこと。
そういえば、内臓を患ったりしてたなぁ…と言う私にSは、
「違うよ」
「いろいろ問題あったからね、あの人は…」…どうやら、解雇されたらしい。
因果応報なのか、生き霊の仕業か、知りようもない。
その両方のような気がする。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話