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中編3
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マンションにて

知り合いのAさんから聞いたお話です。

Aさんは子供の頃、家族でマンションに住んでいました。

Aさんには姉と妹がいて、三人でよくマンションの敷地内で遊んでいました。

遊びながら何となくマンションの方を見上げると、六階のベランダから虚ろな表情で下を見下ろすおじさんがいます。

その時Aさんは何してるんだろ?ぐらいしにか思いませんでしたが、住民の多くがその様子を目撃していて噂になっていたのを後から聞いたそうです。

ある日、姉妹と部屋で遊んでいたところ、マンションの下が騒がしい事に気付きみんなで見に行こうということになりました。

Aさんの家は四階にあり、普通ならエレベーターを使うのですが、その日は何となくマンションのいちばん端にある階段を使う事にしました。

先頭に妹、そしてAさん、姉の順でふざけ合いながら下へ向かいました。

その階段は一番下の踊り場がガラス張りになっていて、そこから自転車置場が見えるようになっています。

Aさん達が一番下の踊り場に差し掛かったとき、いつもと雰囲気が違うので、あれ?と思ったそうです。

その理由が分かった時、Aさんはその場で立ちすくんでしまい、金縛りのように動けなくなってしまいました。

Aさん達が見たのは一面真っ赤に染まったガラス張りの踊り場でした。

赤いガラスの向こう側には、落ちた衝撃で中身が飛び出たスーツ姿の男性。

初めてみた飛び降り自殺の死体に、怖くて声も出ず、Aさんと姉はしばらく動けずにいました。

妹は幼かったせいか、事の事情が分からなかったらしく、さっさと踊り場をとおっていってしまいました。

Aさんと姉はすぐにでも引き返したかったのですが、先に行ってしまった幼い妹が心配だったので、出来るだけ見ないようにしながらダッシュで踊り場をとおり抜けました。

妹の後を追って表に行くと、マンションの住民の方々の中に母がいて、いつもベランダから下を見ていたおじさんが飛び降りたと聞きました。

その時Aさんと姉は怖くて、死体を見てしまった事は言えませんでした。

それから何日か過ぎたある夜、Aさんはトイレに行きたくなり目が覚めました。

トイレは部屋を出た廊下のすぐ近くにあり、さらにその先は洗面所とお風呂、突き当たりに玄関がありました。

部屋をでたAさんは、薄暗い廊下の先の玄関にスーツ姿の男性がいるのに気がつきました。

顔は見えませんでしたが、単純にスーツ着てるから父だと思い、「お帰り〜」とか言いながら、玄関へ駆けていったAさん。

しかし、玄関へ行く途中の洗面所で、今帰ってきて玄関にいるはずの父が歯をみがいています。

相変わらずスーツ姿の男性はいましたが、洗面所にいる方が父だと思い、Aさんは玄関に行かず、洗面所に向かいました。

その日はそのまま何事もなく眠ったそうです。

翌日、母に「昨日はお父さん帰り遅かったね」と言うと、父はいつもどおりの時間に帰宅したとのこと。

父に聞いてみても、確かに歯は磨いていたけど、帰ってきたのはずっと早い時間だと言われたそうです。

Aさんは玄関でスーツ姿の男性を見た、と言い張りましたが、両親には相手にされませんでした。

そしてさらに何日か経ったある日、またAさんのマンションで飛び降り自殺がありました。

前と同じ六階の住人です。

前のおじさんとは飛び降りた場所が全く違うのに、落ちた場所はあのガラス張りの踊り場の同じ場所でした。

流石に短期間で二人も、しかも同じ場所で亡くなった事もあり、多くの住民の方々(特に六階フロアの方々)が引越していったそうです。

Aさん一家もしばらくして引越しました。

Aさんがもし、玄関にいたスーツ姿の男性のところへ行っていたらどうなっていたんでしょうか?

長文、乱文失礼しましたm(__)m

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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