そのまま私は小学校に上がった。
その頃には、母と目を合わすだけで殴られ 私に許されるのは
『はい』
と返事する事だけで、会話なんて許されなかった。
朝ごはんは自分で用意し、(納豆だけと決まっていた)学校へ行く。
3パックだけの納豆を一週間もたせなくてはならないので、少しずつ食べなくてはならない。
学校から帰ると 母から言い付けられた家の事を済ませ、あとはひたすら台所で正座をしていた。
そして8時になると、押し入れの中にひいた布団に入り寝る。
当然夕ごはんなんてなかった。
七歳になった私はガリガリで、他の子供達に比べずっと小さかった。
担任の先生が 二度程私の家に来た事があったが、『家の事に口出しするな』と追い返されていた。
今では考えられないが、『しつけ』の一言で済んでしまう時代だったのだ。
ある日母の飲み仲間が、祭の出店で売っていたヒヨコを私にくれた。
すごく嬉しくて、ありがとうと何度も言ったのを覚えている。
ヒヨコはとっても可愛くて、私は久しぶりに笑った。本当に久しぶりに…。
その夜いつものように私を散々殴った後、母は私の手からヒヨコを奪い…水をはった洗濯機に投げ入れ、そして私の目の前でスイッチを押した。
信じられなかった。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話