倒れたまま私は、それを呆然と見ていた。
ヒヨコの声はもう聞こえない。
母が『どうせお前には育てられねぇんだよ!』と言いながら 楽しそうに笑っていた。
『わあぁぁぁー!!』
と叫びながら洗濯機に駆け寄り、回っている水の中に手を入れ、私はヒヨコを取り出す。
グッタリとしたヒヨコはぴくりとも動かない。
さっきまで私の手の中で、暖かいぬくもりをくれた あのヒヨコは もういない。
ガタガタと震えている私に母が、
『お前が喰ってやれば?』
と酒臭い息を吹きかけながら言い、ニヤニヤしながら寝室へ戻って行った。
私は初めて母を心から憎んだ。
死んでほしいと願った。
その日は、悔しくて悲しくて 眠る事はできなかった。
何故母は、私を連れてきたのか。
少しでも私を、愛してくれていたからじゃなかったの?
なんでこんなに酷い事をするのか わからなかった。
しかし その疑問は、小学三年生の時に明らかになったのである。
トイレに起きた私は、飲み仲間が母に
『なんで子供なんて引き取ったの?遊びにくくない?』
と言う言葉に足を止めた。母は
『子供がいなかったら、金入らないじゃん』
と笑った。
ハハ……金か…。そうだったのか。あたしがいると、お金がもらえるのか…。
小3の終わりの頃、私は初めての自殺未遂をした。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話