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短編2
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自分の中の闇8

あまりの痛さに 頭を抱えうずくまると、生暖かいものが左目をさえぎるように垂れてきて、ポタポタと畳の上にしたたり落ちる…。

母を見ると またあのニヤニヤした顔で私を蔑むように見ていた。

私が泣き出し、母のやられるままに謝り続けるのを見たいんだろう。

でもその日は違った。

身長は 母と同じくらいになっていた私は、立ち上がり 母の方へ一歩踏み出し、睨みつけた。

予想外の私の反応に 母は一瞬たじろいだが、

『なんだその目は!』

と怒鳴り、腹を蹴ってきた。

『なんでよ…なんでよ!!なんでそんなに…あたしを嫌うの!?

あたしが何をしたの?

…なんであたしを産んだの!』

蹴られた腹を押さえながら私は叫んだ。

すると母は フンッと鼻で笑い、

『お前なんて 生みたくて産んだんじゃねぇよ!あたしはいらなかったのに、お前の父親が欲しがったから産んだだけだ』

そう言ったのである。

…ウミタクテ ウンダンジャナイ?

…最初からあたしは いらない子供だったの?

頭が真っ白になった。

呆然としてると、視界の端に妹の姿が映った。

怖々とこちらを覗いている。

1番聞かれなくない事を聞かれた…?妹に…

そこから私の記憶は、一部とぎれとぎれになっている。

気がつくと私は 包丁を持って、母を追いかけ回していた。

ギリギリのとこに包丁を突き立てるたびに、母の顔が恐怖に歪む。

私は笑っていた。声を出して笑っていた。

母が私を怖がっている。

あんなに恐れていた あの母が!

腰を抜かしたように這う母の ふくらはぎに、包丁を突き立てた。

ギャア!と悲鳴をあげ、なお逃げようとする母の横っ腹を蹴りあげる。

『助け…あ、あたしが悪かったから…』

母のひきつった気持ちの悪い笑顔を見た時、何故か私の感情の波が すっと引いていった。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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