「ねぇ…××君…鏡がね、泣いてるの…」
俺は彼女が何を言っているのか分からず寝ぼけてるのだろうと思ってそれで?と続きを促した。
「うん…なんか女?かな…すっごく悲しそうなんだ…××君、今からこっち来られない?」
俺は勘弁してくれ、と思ったが彼女を放っておくわけにも行かず、欠伸をしながら凍てつく寒さの中、バイクを走らせた。
彼女のアパートに着くと彼女は俺の手を引いて手鏡の元へと連れていった。
そして小さいテーブルをちょっと遠目に見るところで、
「静かにしててね。……ほら泣いてる…。」
耳をすませたが俺には全く何も聞こえやしなかった。
だんだんとイライラとしてきて俺はついに彼女を振りきって手鏡のところへ行くと持ち上げた。
キィアアアアアアアアアアィヤアアアア!!!!!!!!!!!!
途端に悲鳴とも金属音とも分からない凄い音を多分手鏡が放ち、俺は驚いて手鏡を落とした。
あっ!と思ったが手鏡は運良く絨毯の上に落ち割れなかった。
すぐに彼女がすっ飛んできて俺は強烈なビンタを受けた。
彼女曰く手鏡>俺らしい。
手鏡はそれからまだ彼女の家にあり、夜中にたまに泣くらしい。
彼女は最初こそ驚いたけどあんまり悲しそうだったから、と手鏡になにやら同情してるらしい。
ちなみに後日あのアンティークショップ行ったがまだあった。だがおっさんじゃなくて息子?がお店をついだそうで。結局泣く手鏡の謎は解けてないまま。
俺は害はなかったが(彼女にビンタされたくらい)経験的にとりあえずアンティークショップ行ったら気をつけろ。なに掴まされるかわかったもんじゃねぇってことだな。
あんまり怖い話じゃなくてスマソ。
怖い話投稿:ホラーテラー 紫さん
作者怖話