※タイトルは『2』ですが、続編ではありません。しかし、前作と併せて読んで頂けますと、少し関連性がある内容になっております。スルー候補作品ですm(__)m
【異空間トンネル】
前作の『参』に登場したトンネルで別人の体験談。真偽は定かではありませんが・・・
Aさん(主人公)には、歳が五歳離れた兄がいた。兄は怖い話や心霊スポット巡りが大好きな人・・・・・・幽霊など信じていないからである。
夜な夜な車で心霊スポットへ出掛けては、Aさんに色々教えてくれる。(感想・現地の風景)
Aさんは兄があまりに楽しそうに話すから『一回、俺も連れていって!!』とお願いした。優しい兄はすんなりOKしてくれた。
しかし男友達の中に弟を同行させるのが恥ずかしかったらしく・・・
兄は週末にAさんを連れて、彼女の自宅にドライブの誘いを。彼女ならAさんと面識もあり、きっと気が楽だったのだろう。
昼間は三人で遊び、いよいよ夜。心霊スポットへ向かう。時刻は十時を過ぎていた。
トンネル入口に着いた時には十一時前だった。車を道路の脇に止めて、いよいよ心霊スポット探索をスタート。
外観・・・古びたトンネルであり山中に存在するため、入口ソバには木が生い茂る。トンネルに入る前から感じる悪寒は、湿気のせいだろうとAは思うようにした。
三人でトンネル内へ・・・兄と彼女が先頭、Aさんは一歩後ろを進む。
歩き始めて五分程経過。彼女が『寒気がする。怖い。』と発言するも、兄は『大丈夫!』と強気な返答。Aさんも内心かなりビビっていた。
歩き始めて十五分程経過。車で通れば大した長さでないトンネルも徒歩では長く感じる。まだ中間地点には到達していない。
彼女は兄の腕を掴み怯えながら歩く。Aさんは怯えながらも、二人の邪魔は出来ない。と思い無言で歩く。
歩き始めて二十分程経過。ようやくトンネルの半分を歩き終えようとしていた・・・
彼女はかなり震えていて、足取りが重い。勘違いか?Aさんは何処からか視線を感じる。
彼女は突然・・・
『もう帰ろうよ!!これ以上先は危ないよ!!』
マジ切れした声がトンネル内に響く。一同は足を止める。兄は『分かった。二人は此処で待ってろ。俺はもう少し先まで行って来るから。』
Aさんと彼女を残し、兄は一人歩く・・・
兄が30m程先に進んだ辺りで、彼女が急に兄へ駆け寄る。Aさんも慌てて走る。
彼女は泣きながら兄の腕を引き、入口へ戻りたいアピールしていた。Aさんも『もう帰ろうよ。寒気がするし、さっきから変な感じがしてなんか怖い。』と兄を説得した。
突然・・・彼女が兄の腕を離す。トンネル先をボーっと見つめ、一瞬泣き止んだかと思ったら・・・叫び声をあげ、二人を置き去りに走り出した。
あまりに突然の出来事に、二人は固まった。なぜ先へ進む?二人が彼女を止めに走り始めたのは、彼女が視界から小さくなり消える頃だった。
彼女へ駆け寄る二人。兄が腕を掴み彼女を止めると地面へ、ヘタリこんだ。彼女は立ち上がれない・・・
兄が彼女をおんぶしてトンネル入口に戻った。かなり時間が掛かった。
三人で車内に戻ると・・・すでに日をまたぎ、午前一時前だった。ぬけがらの様な彼女を安心させる為、車内で音楽を流す。
車を繁華街へ走らせ、彼女に賑やかな景色も見せた。結局、彼女の自宅前に到着したのは午前二時。
彼女は車から降りると・・・兄に意味深な微笑み。そして自宅玄関へ走って行った。
Aさんと兄の車内での会話は少なかった・・・
兄『俺、嫌われたかな・・・』
A『俺が頼んだせいで・・・ごめんね・・・』
二人は自宅に戻った。
翌日。Aさんと兄はいつも通りだった。
次の日。兄の様子が少し変だ・・・Aさんは兄に尋ねた『どうした?』兄は答える『彼女と連絡がとれない・・・家に行ったけど出ない・・・フラれたかな・・・』
次の日。兄の携帯へ連絡が入る・・・彼女ではなく警察・・・
『○○さんのご友人の方ですか?実は・・・』
訃報・・・彼女はあのトンネル出口の端の木で首を括り、自殺していた・・・
死亡推定時刻は三日前の十二時〜一時前後。首を括る紐の代用品として衣服を使用。
Aさんと兄が車で送り届けた人物は一体何者?それとも彼女の魂が時を超えた存在に?
完
【笑えない話】
前作『おまけ』に登場したCさんの少年院での体験談・・・
Cさんは傷害事件で起訴され少年院へ送られた。さすがに入所初日は緊張したらしい。まわりがすべて敵と警戒した。
しかし、規則は厳しくも囚人たちは以外に和やかである。初日で同部屋に話し相手が出来た。
翌日。囚人の朝は部屋の前に並び、囚人達が廊下に並び、一斉に点呼・・・号令をかける事から始まる。Cさんは3号室なので、掛け声は二桁数字『じゅうさん』。
朝一に大声で叫ぶのは、ツライ。しかし、怠ると監守から罰(腕立て)を受ける。囚人の一日でCさんにとって一番だるい時間だったらしい。
Cさんの入所から一週間程たったある日、新たな囚人が入所してきた。いかついコワモテのSさん・・・Sさんは隣の2号室に入る事になった。
翌朝、点呼の時間。Sさんが追加された事により、Cさんの掛け声は『じゅうし』・・・監守の『始め!』号令により点呼スタート。
『いち!』
『に!』
『さん!』
『し!』
『ご!』
『ろく!』
次はSさんの順番・・・
『ちち!!』
???
8人目は、予期せぬ掛け声に思わず無言になる。監守は8人目に注意して、再度『始め!』
『いち!』
『に!』
『さん!』
『し!』
『ご!』
『ろく!』
『ちち!!』
囚人一同の笑い声が廊下に響く・・・皆、一度目に笑いを堪えていたせいで、余計におもしろかったらしい。監守の口から、異例の囚人一同腕立て伏せ。
ツボにハマった笑いから抜けるのは困難を極めた・・・
三度目、四度目と繰り返すも・・・赤面するSさんの掛け声はやっぱり
『乳!!』
五度目に8人目とSさんが入れ替わる事で異例の事態は集結した。
Sさんが『サ行』の発音をすると舌が短く、方言訛りがある為、『さ・ち・つ・て・と』となる事は後になって分かった事実だった・・・
笑うことの出来ない、感情表現を奪われた恐怖の時間・・・
私は、学生時代・・・・・・先生から叱られている時に、先生のほっぺで血を吸い続ける蚊を思い出した。真剣な表情で怒る先生のほっぺは赤く膨れていた。
私はうつむき反省したフリをする事で、なんとか『笑えない時間』を乗り越えることに成功した。
完
最後まで御覧頂きありがとう御座いましたm(__)m【異空間トンネル】はとある県の有名心霊スポットであり、その県の都市伝説的話です。※一部創作を含む内容(セリフ・大まかな時間表記)ですm(__)m
【笑えない話】はタイトル通り、下らなくて笑えない内容です。※作中のSさんの説明は私の文章力不足です。もし『舌が短い』『方言訛り』が不快に思われた方がいらっしゃいましたら、誠に申し訳御座いませんでした。
長文駄作にお付き合い頂きありがとう御座いましたm(__)m
END
怖い話投稿:ホラーテラー ピリリィさん
作者怖話
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