J:どうするかな…Pさんは、ススキノに行きたいだろうし…悩む…。
俺も肝試しスポットを用意しておいたけど、先に、あんな怪物の住む所に連れて行かれたら、俺の考えていたスポットじゃ…物足りないし…。
しかし、あの屋敷の噂は耳にしていたけど…怪物が出るなんて聞いたことがない…。Aさんは知っていたのかな…?ちょっと調べて見るか…。
Jはメールで急いで屋敷のことを調べるように後輩達に連絡をした。
A『明日ならススキノの店を予約しておけるよ!』
J『え?たしかに予約したほうが確実ですよね!』
P『お二方に任せますけど…約束ですからね…』
Pは少し不満げな顔をしている…。
A:Pさん、Jさん、貴方達には、明日の予約なんてありえないのですよ…イケニエになるのだから…。
なんとかこの二人を、また屋敷に連れて行かなきゃ…。俺は死にたくない!
P:さっきの妖怪の後遺症を祓うためにはススキノの巫達(ホステス)に会うのが一番なのだけど…Jさんならわかると思ったのにな…。
A『あの…手掛かりを何も掴んで帰れなかったので、ススキノは割り勘でもいいですか?』
P:割り勘……??
J:久々のススキノが…あの怪物が十分手掛かりだと思うけど…。
P『わかりました!手掛かりを、掴めたら奢りですよ!Jさん、もう一度行きましょう!』
J:マジにもう一回行くの!?
Pさんの天秤は、どうなっているのか?
(怪物)より(ススキノ)のほうが重い?
Aさんは(ススキノ)より(友人の失踪)が重い?
俺はどうだ?
(ススキノ)と(怪物)
微妙にどちらも魅力的…♪
J『Pさんが行くのなら、俺も腹決めて行きますよ!』
A:わざわざ、死ぬ為にありがとうね♪
J:Pさんは、あの怪物を相手に戦えるんかな?実は、物凄い霊能力を持っているとか?
J『俺達だけじゃ不安なんで、本物の霊能者と連絡をとってみます!いいですか?』
P『それは心強いね!』
A『…………』
Jは心当たりのある、3人の女霊能者に連絡を入れる…誰ひとりとして連絡がつかない…。
J『胸黒子女、蛇使い女、カメハメ波女…誰も捕まりません…』
P『え!?私も知っている三代魔女じゃないですか!』
A『………』
ホラー仲間でも、意外なところで接点があるものだ…
霊能者とも連絡がとれず、俺達は三人だけで、もう一度あの屋敷に向かうことになった
Aの提案で、今度は全員でAの車に乗り込み向かうことにした。
A:アタイだけ戻るのだから、Jのバイクは邪魔よ…。
俺達は、屋敷の前まで車で乗りつけた
不自然な円形の敷地に不気味な建物…
中にはブニュブニュした、見たこともない妖怪に、殺された家族らしき亡者がいる…。
Aは、なかなか車を敷地内に入れようとしなかった
J:Aさん、ビビってしまったかな?
俺は、ビビリすぎて心臓が張り裂けそうだよ…。
P『さぁ、行きましょう!』
Aは、ゆっくりと車を敷地へと入れる
A『万が一の時の為に、車のエンジンはかけたままにしておくね』
P『盗まれたりはしないよね?』
J『ヤンキーもいないし大丈夫でしょ』
A:あなた達は、帰らないから心配無用よ…アタイが、逃げるためさ♪
三人は車から降り、屋敷の正面に立つ!
P『Jさん!その手に持っているのは?』
J『戦闘用のシャベルです、手ぶらじゃ不安で…』
A『変なステッカーが、貼ってあるね!』
J:ツッコミだ………。
三人は恐怖感を解そうとしているかのように、会話を続けていた…
チリ〜ン!チリ〜ン!ジャラッ!
『主ら!何をしておる!』
突然、背後から大きな声が!
『ここは、主達のような輩の来る場所ではない!早々に立ち去るがよい!』
『餓鬼どもが騒ぎ出す前に早う立ち去れよ!』
暗闇に一人の御坊が仁王立ちしていた!
P『御坊よ、御忠告ありがとう…しかし心配は無用です!私は死人(シビト)ですから…』
御坊『そなた、自ら死人と申すか………………………それなら止めますまい…』
P:………………ニヤリ
J:Pさんは……シビト…?
A:アタイは死にたくないからね…
シャベルを持つJを先頭にP、Aが続いて屋敷内へ…
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三人は屋敷内へと再度突入!
さっきとは、また違う嫌な雰囲気が漂う…
ギシ…グニョ…ギシ…グニョ…
奥の方で何か動いている…
J『まだ奥にいますね』
P『彼らに注意しながら、手掛かりを捜しましょう』
A『私は2階を捜します』
Aは二人から逃げるように2階へ上がろうとした。
P『ちょっと待った!』
A:ドキッ…
P『一人は危険です』
A:チッ…
J『奴らが奥にいるうちに、全員で2階を調査しましょう』
A:なんとか一人で、抜け出す方法はないか…俺は死にたくない…
三人は忍び足で2階へと上がろうとした。
ブニュジュリ…ブニュジュリ…
2階からも変な物音がしてきた…
J『上にも居るんじゃないですか?』
P『後ろ側にも!!』
さっきバイクでひいた亡者達か…!
更にグチャグチャになって、不気味さが増している…。
A:親父…おふくろ…許してくれよ…
P『みんな!居間に!』
居間に逃げ込んだのはいいけど、ドアもないし…このままでは、亡者に憑かれるのは時間の問題だ…
奥からは少年の亡者が、ユックリと近付いてくる。もう逃げ場はない…。
三人は居間の暖炉の前で立ちすくんでいた。
J『俺がシャベルで叩きのめしますか?』
P『手伝いますよ♪』
二人の目が合う!
A『待って下さい!ここは私が何とかします!お二人は、2階のグニョグニョ妖怪を!』
A:早く2階で喰われておいで…
P『Jさん、2階に上がりましょう!Aさんには、勝算があるのでしょう』
A:イケニエって勝算がね…♪
あんたらが上がったら、いっきに外まで逃げて車で見物してやるよ♪
P・Jは、亡者の横を走り抜け階段を2階へと駆け上がった。
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[2F]
子供部屋の中で、変な物体がブニョブニョ動いている…
こちらには気付いてないのか?無視しているのか?
こっちはそっちのけで何かをしているようだ…
P『しー…、今のうちに他の部屋の様子を見ておきましょう』
J『OKです』
J『うっ…あいつ、北キツネを食べてますよ…』
P『可哀相に…迷い込んだのですね…今ならそ〜と動けば気付かれないですね』
J『そ〜っとですね』
そ〜〜二人は泥棒のように忍び足で進んでいく………
チャンチャーチャチチャチャ♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
Jの携帯の着信音が激しく鳴り響く!
J『ワッ…マナーにするの忘れてた…後輩からだ』
P『Jさん!!』
J『すんません…』
P『着メロ、エバンゲリオンですか!?』
J『…え?』
P:ロックのイメージが…まさかエバンゲリオンが鳴るとは…
物体がこちらに近付いてきた…正面から見ると内容物(人)がハッキリ見えて、更におぞましい…
P『隣の部屋に避難です!』
J『すんません…』
二人は隣の部屋に逃げ込みドアを家具で抑えつけた。
P『Jさんとエバンゲリオン♪最高♪大当りの予感♪』
J:最高って…そんなにイメージ違うかな…てか、かなり切迫した状況なんだけど……
Pさんからは余裕すら感じる…
Jは後輩から届いたメールをチェックした
J『Pさん!俺ら、もしかしたら、はめられてますよ!』
P『エバンゲリオン♪…ん?誰にはめられたの?』
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[1F]
A『親父、おふくろ…15年ぶりだね…すっかり変わり果てちゃって…』
『……………………A…』
A『喋れるの?』
『………A……A………A』
A『俺は逃げるよ、来年またくるから…』
『A……A…A…………A』
A『M家のためだからね!感謝してるよ!』
Aは、P・Jのように走って家族の横をすり抜けようとした
『イ……』
『……ケ』
『ニ……』
『……エ』
Aは、家族に両手足を捕まれ動けなくなってしまった
A『やめて…離して…家族だろ…Pー!Jー!助けてくれー!助けて…!』
『…………A………A…』
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P『はめられたとは?』
J『Aにですよ!』
「Pー!Jー!……」
P『Aさんの声じゃないですか?』
J:たしかにAの声だ…ハメか…?
P『Jさん、窓から脱出してAさんの所に行きましょう!』
Pはちゅうちょなく2階の窓から屋根、庭へと降りていく!
JはしぶしぶPの後を追って窓から庭に降りる…。
P『Jさん早く!』
P『Aさーん!Aさん!』
J『………』
居間ではAが、亡者達に身体を押さえ付けられていた!
『……A』
『…A…』
『A……』
亡者達の口からはAの名前が…
P『Jさんいくよ!』
J:今はやるしかないか…
Pは亡者にスライディングキック!
Jはシャベルで殴りつける!
まるで練習したかのような息の合ったダブルス攻撃!
亡者達は見た目よりも脆く、あっという間に払いのけられた…
J:後輩の連絡どおりなら、この亡者達は……。
P『Aさん!Aさん!』
A『アワワワワワワワ…』
P『Aさん!しっかりして!もう大丈夫だから!』』
Pは震え上がるAを強く抱きしめ、亡者達の動向を気にしている。
J『どうしますか?またきますよ!』
P『Jさんの力みせつけてやっちゃって!』
J:えー?俺の力?逃げ足は速いけど…
P『あなたなら出来ますよ』
J:俺に…やれるか…
ジョリズド…ジョリズド…ズズズ…ジョリズド…
2階から怪物が下りてくる音がする…
Jはシャベルを手に亡者達の前に立ちはだかった!
J『Pさん、今のうちにAさんを外へ!』
P『わかりました!無理しないで頑張って!』
A:……まず一人…ニタ。
Jは臨戦体制をとりながら後輩からのメールを思い返していた
J:呪われたM一族…
この屋敷に伝わる真実の歴史…
M家でただ一人の生存者の名前…【a】…ただな偶然か…
aは近親者を身代わりに差し出して生き残り、更に毎年の身代わりを差し出して生き続ける…
札幌では有名な都市伝説…
やはり【a=A】なのか?
今はaのことより、目の前の怪物達をどうするか…
J『Pさん!早くAさんを連れ出して!』
全身脱力状態のAを必死に抱き抱え連れ出すP!
亡者達はJを無視するかのようにAの方に向かう…
PとAが居間から出た……間に合わなかった……。
Aは正気に戻ったのか、Pを突き飛ばして玄関目掛けて逃げ出した!
ブニュブニュ…ジュリ…ブニュ…
A『ァアアア…』
Aは正気に戻ったのか、Pを突き飛ばして玄関目掛けて走り出しす!
J『Pさん危ない!』
Pが怪物に飲み込まれる…
Jはシャベルを怪物に投げつけた
ドグチャッ!
見事、頭に命中!
怪物からドロドロした半透明の体液が、Pの頭に流れ落ちる
J『Pさん!大丈夫?』
P『Jさんナイス!』
Pはヌルヌルした体液を拭いながら玄関から外へ逃げ出した。
怯んだ怪物を横目に見ながらJも外へ!
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‐屋敷の庭‐
外に飛びだした三人にさらなる恐怖が…
異常にまで巨大な円形の敷地の外周に沿うように、新たな怪物の群れが…
Aの車もグチャグチャに潰れている…
J『グロイのが、100体ぐらいは居ますよ!』
P『これはヤバいね…ネバネバ体液が超臭いし…鼻がもげそうだよ』
A:ヤバいのはアタイさ…チッ
J『Aさん、あなたが、失踪者の[M・a]なんでしょ!』
A『……』
P『……』
J『真実だから無言なんですか?Aさん!!』
A『いや……』
P『今はそんなことを言っている場合じゃないですよ!』
ブニョブニョした怪物が外周からニュリ…ニュリ…ニュリと近づいてくる…
怪物が徘徊してるから草木が一本も生えてないのか…
P『俺が囮になるから二人は逃げて!』
J『そんなこと、できるわけないっしょ!』
A:囮じゃなくてイケニエだよ♪
P『さっき御坊にも言ったとおり、オイラは[死人]さ…死ぬ場所を求めて北海道にきたのさ…』
A:なら早くイケニエになって♪
J『……Pさん一人で逝かせませんよ!シビトはあんただけじゃないからね!』
A:二人ともイケニエね♪♪
P『Jさん………Last Showといきますか!………ニッ』
A:イケニエ決定〜♪
100年近く続くM家の呪いに、あなた達が勝てるわけないよ……。
J:ん…?
J『Pさん、Showはおあずけみたいですよ…』
P『…え…………』
A:ショウでもいいから喰われちゃって♪
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドォォーン
閑静な住宅街に爆音が鳴り響く!
爆音とともに数台のバイクが敷地に乗り込んできた!
『Jさ〜ん、お待たせ〜』
J『Nおせぇぞ!……ニッ』
N『Jさん、いきなりなんだもん…宅配そっちのけで来たんだからね〜女は準備にも時間かかるんだからね〜ニコ』
J『PさんAさん、適当に乗せもらって下さい!一気に逃げますよ!』
A:逃げちゃうの……死にたくないよ……。
ドドドォーーン
A・P・Jは後輩N達のバイクに2ケツさせてもらい、屋敷から脱出に成功した。
J『あの人(P)のとなりにつけてくれ、Pさん、やっぱ、三大魔女に相談したほうがよくないですか?』』
P:……Nさんピチピチ……
J『聞こえてますか?』
P『あっ…はい…』
M家の呪いはとけないまま、住宅街から市街地へとバイクの群れは消えて行く…
チリ〜ン
主ら、まだ死人ではないようだな…………………ニヤリ
続く
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話
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