「俺様は魔界から来た悪魔だ!あんたの願いを叶えに来た!」
突如暗闇から現れたのは悪魔
悪魔がやってきたのは一人で暮らしているお婆さんのところだった
「おんやまぁ。そんな遠いとっから、ようこそおいで下さいました」
「あ、ご丁寧にどうも…そこまで遠くないんだけどね」
「ほぇ?札幌からいらしたんでしょ?」
「そんなこと言ってねぇー!むしろ1文字もカスってねぇよって…いや、てかまずはビビれし!『ひゃぁ!悪魔!」とかがお決まりパターンだろ!」
「ひゃぁ悪魔?」
「…なんかすっげぇバカにされたみたい。逆にこっちが驚いたわ」
「随分長く生きてきましてぇ。大抵のことは驚かんのですよ」
「ばぁさん歳いくつだよ?」
「今年で満90歳になりました」
「長生き~。むしろオレより年上。あ、ため口ですいません」
「ええよ~そんなこと気にせんで。」
「まぁとにかく、俺は悪魔なんで」
「ひゃぁ悪魔」
「なんかすっげームカつく~!もっと驚けし」
「この間道ばたでタヌキが死んどった時は驚いたなぁ」
「オレはタヌキ以下かよ~!これでも精一杯頑張ってんだよ」
「おつかれさんです」
「はいはい。っておい!とにかく何でも願いを叶えてやるよ」
「そんな見ず知らずの人にそこまでしてもらうなんて~」
「いいんだよ。ただし条件がある。死んだ後あんたの魂をオレがもらう。」
「老い先短いわたしの魂を取るのかい?」
「いや、死んだあとね。だから、それと引き換えであんたの願いを叶えてやるって」
「んー。そう言われっても、ここまで満足して生きてきたからねぇ。とくに何も。。」
「いやーあるでしょ?長生きしたいとか、若返りたいとか」
「そうか?…それじゃぁ……世界を平和にしてくれ」
「規模がでかいよー!それはオレなんかじゃなくて神様に頼んでー」
「それじゃ~この世からすべての争いを無くしてくれ」
「オレには荷が重すぎる~!それじゃあ完全に良い悪魔じゃないの~!いまの二つが叶えられたら、悪いけどオレ悪魔から天使になれるからねぇ!むしろ神様からオファーがくるって~」
「それじゃぁ世界中の人々を幸福にしてくれ」
「だからオレには出来ないって~。それさ天使に言ってくれよ~。」
「なんも出来ない悪魔なんだね」
「カッチーン!今の言葉きいたー。やってやろうじゃないの?ええ?見せてやりますよ!俺の力を!全人類の幸福だっけ?やってやろうじゃないの」
「ほんとかい?出来るんじゃないのー。出来なければこの前のタヌキを生き返えらせてもらおうと思ったのに」
「ええー!?出来るなんて言わなきゃ良かったよ~。まぁでももう契約しちまったからな。何年かかるか分からないけど、絶対にやってやるよ!」
「ほんじゃお願いします」
25年後…
『次のニュースです。ここ20年間で世界の情勢は勢いを増し、あと5年先には全ての国の経済は安定し、貧困や差別は無くなり、それに伴い法を犯す者もいなくなると専門家は話しています』
「み、みてくれ!ばぁさん!これがオレの努力の結晶だ!全人類の幸福まであと一歩だ!!…ばぁさん?」
「どちらさまですか?祖母なら20年前に亡くなりましたよ?」
「えぇ??………やられたー!」
「もしかして、悪魔さんですか?」
「え?あ、はい」
「まぁ!ほんとにいるなんて!祖母から話は聞いてます!あ、そうだ、祖母から、「悪魔さんが来たら渡すように」って手紙を預かっているんです。」
「手紙?」
そこにはこう書かれていた
『悪魔さんへ
おそらく、あなたが私のもとへ来る頃には、私はこの世にはいないでしょう。
しかし、あなたが私のもとに来たということは、世界は平和になり、みんなが幸せに暮らせる時代が来たということでしょう。あなたには本当に感謝しています。
あなたがこの世界を平和にした価値は、私の魂なんかより数千倍も、数百万倍も価値があるのです。
それでも約束ですので私の魂が欲しいというのであれば、私のひ孫、もしくは、その子供の魂を貰ってください。私は生まれ変わって子供となり、必ずあなたの前に現れます。その私の魂をぜひ貰ってください』
「祖母の手紙には何て書かれてましたか?あ、そうだついこの前、私に孫が出来たんですよ!見てください!」
そこには、あのおばあさんの面影がある赤ん坊がいた。
「あら。この子ったら笑ってるわ。普段は人見知りなのに。よほど、悪魔さんが気に入ったみたいですね」
「あなたは、僕をみて驚かないんですか?」
「だって祖母から、良い悪魔さんがいたって話を小さい頃から聞いていたんですから」
「キャッキャ!!」
「あら、また笑ったわ。」
「…へへ…さすが…あのおばあさんの……子供だ…」
「泣いてるんですか?」
「いや、ちょっと、汗が目に…はいって…。とりあえず、僕はいきます。まだ完全に平和にしたわけじゃないですから。」
それから5年後、世界は歴史上初の平和の時代に突入した。
しかし、悪魔がやってくることは二度となかった。
「あの新入り。よく働くなぁ。」
「なんでも、もと悪魔らしいですよ。神様が直接天使になってくれとお願いしたみたいです」
「へぇ。あいつかー」
「神様!それでは地上に降りて、人々に幸せの種をまいて参ります!」
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話
この話が漫画化されました。漫画版はこちら comic9
この話がストリエでストーリー化されました。http://storie.jp/episodes/view/12678