これは母に聞いた話で、母が子供の頃に体験した実話です。
母の実家の近所には猫が大好きなおばあちゃんが住んでいました。
そのおばあちゃんは旦那さんを先に亡くされ、数匹の猫と暮らしていました。
おばあちゃんはとても優しい人で猫たちもよくなついており、母たちもおばあちゃんが大好きだったそうです。
そんなおばあちゃんが亡くなったのは本当に突然でした。
交通事故だったそうです。
事故の詳細は以下の通りです。
ある日、いつものようにおばあちゃんがペットの猫たちを連れて近所をお散歩をしていました。
その時、道端に轢かれたばかりと思われる黒猫が横たわっていました。
既に黒猫は亡くなっており、猫好きなおばあちゃんは土に埋めてあげようと、道路脇(おばあちゃんの自宅の庭先)に土を掘っていたそうです。
その作業中、蛇行運転していた車(飲酒か居眠りだったそうです)がおばあちゃんの後ろから追突し亡くなってしまいました。
以上が事故の詳細なんですが、これはたまたま通りかかっておばあちゃんと一緒に黒猫を土に埋めるのを手伝った近所のおばさんの話です。
そのおばあちゃんのお葬式の日、近所で交流のあった母たちも参列していました。
そして出棺の時。
母たちの並んでいる前をご遺体を乗せた霊柩車がゆっくり通過していく時に、どこからか猫が飛び出し霊柩車を先導するかのように先頭を歩いて行ったそうです。
その猫は、あの事故の時におばあちゃんが埋めてあげた猫と同じ位の大きさの真っ黒な猫だったそうです。
本来お葬式などの場面で猫(特に黒猫)はあまり縁起の良いものでは無いのですが、その光景はまさに神秘的で、なんとも言えない神妙さがあり誰もその猫を追い払うことなど出来ず、ただ唖然としながら見送ることしか出来なかったと言います。
そしてその黒猫は、今からどこへ行くか知っているかのように暫く先頭を歩き続け、曲がり角にさしかかった時に皆の見ている前でスッと消えていったそうです。
猫が大好きだったおばあちゃんらしい最期というか……少し切ないけどなんだか不思議で、私的にいい話だなぁと思ったので投稿させていただきました。
最後まで読んでくれた方、ありがとうございます。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話