私のしたことは、間違っていたのだろうか?
確かに、人体に害をなす物質だとは重々承知していた…
6/20
今日、新しい被験者が施設にやって来た。管理タグには「M」の刻印が打たれていた。
6/30
被験者MにV-evilを投与。悲痛な叫びがラボ中に響いた…
被験者Mは意識を失う。
7/5
被験者Mの意識が回復。身体はまるで化け物の様に変わり果てていたが、意識や理性、人としての感情は色濃く残っているようで、私達と楽しそうに談笑していた。
7/8
スタッフの一人が被験者Mに殺された。
彼は『身支度を整えたい』と言う被験者Mに鏡を見せてやっただけだったのだが…、被験者が変わり果てた自分の姿にショックを受けたのだろうか?
被験者Mを一時的に監禁室に移すことにした。
7/15
被験者Mの世話役に付けていたスタッフ達が今日までに10人も殺されている。鏡で自分の姿を見たあの日以来、被験者Mは狂暴性を露にしだした。
監禁室の扉や壁を内側からしきりに叩き、雄叫びをあげている。
監禁室が持ちそうにないので、あのエリア自体を防火シャッターを使い封鎖した。
明後日には本部からプロの生物兵器対策班が来てくれるらしい。
7/17
一体…被験者Mに何が起きたというのだ?
今日、本部がよこした生物兵器対策班の連中と被験者Mの様子を伺いに防火シャッターを開け、あのエリアに入った訳だが、私は脚がすくんだ。
我々が一瞬だけ姿を確認した被験者Mに、最初の頃の面影はなく、そこには3メートルを越える巨大な化け物の影があった。
あの監禁室エリアに居た他の被験者達は…Mの餌食になってしまっているのだろうか?
7/20
最悪だ…
施設の電力が朝からダウンしたまま、復旧しない。
研究が出来ない事や、冷凍保存している実験体のことも気にはかかるが、何よりも私を不安に駆り立てるのは被験者Mがいつあの防火シャッターを突き破り外に出てくるのか…という事だ。
7/22
恐れていた事態が現実になってしまった。
被験者Mの足音が研究エリア内に響いている。
きっと次は私の番だ…
私も、他の連中と同じように被験者Mの犠牲になるのだろう…
くそ、ただ黙って殺られる位なら…
8/12
被験者M?
知らないな、あんな出来損ないの事は…。私?
私はV-evilを自己に投与し、それを自分のものにする事が出来た。
そう、私は、私こそが新しい世界の第一人者に相応しいのだ!
怖い話投稿:ホラーテラー よしはるさん
作者怖話