指切りの続きです
俺達はBの親父が入院する病院の前まで来た
この辺でも一番立派な大学病院だった…さすが金持ちといった所だろうか
Bは浮かない顔をして乗り気ではなかった…あんな物をくれた父親と顔を合わせるのは、そりゃ嫌だろう……
B「明兄さん……ここだよ…」
明兄さんは小声で「大丈夫だ」と笑顔で言い俺達の頭をポンっと叩いた。そして、病室のドアをノックした
「………どうぞ」
病室の中から低い声が聞こえた
中に入ったBを見るなり、
B父「なんだ、お前か……何しに来たんだ?俺の前にもう顔を見せるなと言っただろう!」
とても父親が息子に言うセリフとは思えなかった
B「………」
Bは何も言わず、俺達を気にしていた……こんな父親を俺達に見られたのが嫌だったのだろう
明「今日はお話を伺いたくて来ました」
B父「俺は何も話す事はないな」
Bの親父は窓の外を見ながらあっさりと答えた
明「あなたがBに渡した箱の事についてです」
『箱』という言葉を聞いた瞬間、Bの親父はピクっとし、こちらに体を向き直した
そんな様子を見ながら、明兄さんは話を続けた…
明「この子達はあの箱を壊してしまいました…」
その明兄さんの話を聞いた後、Bの親父は声を荒らげて狂った様に笑いだした
B父「ハーッハッハッハ、そうか壊したか!!まあ、お前が俺からの贈り物を大切に保管する訳がない事はわかっていたがな!まさかこんなに早くやってくれるとは思わなかったよ!……そうか…あれを壊したか!フフフッ、そうかそうか……」
俺達は凍り付いた……
こいつは…何を言ってるんだ…
明「やっぱり……、あなたはアノ箱がどんな物か知っているんですね?そして、それを知りながらBに渡した……そうですね?」
B父「ああ、指切り箱とか言うやつだろ?買った骨董商から全部話を聞いてたからな……、最初はあんな箱を150万で買えなんて言うから叩き出したんだがな、日を増すごとに欲しくなっていってな結局、骨董商に電話をして買ったんだ!……不思議な箱だよ、持ってても意味はないのに、どうしても欲しくなるんだよ…」
Bの親父は箱の話を始めた途端、終始笑顔だった…
明「でも、手に負えなくなってBに渡した……そうですね?」
B父の笑顔が消えた…
B父「あの箱を手に入れた時からだよ、身の回りの事が急に上手くいかなくなった……、会社の経営は傾くわ、俺の体調までおかしくなりやがった…俺はすぐに箱のせいだと分かったが、どうする事もできなかった。捨てたり、壊したりすれば俺に災いが起こるからなだから俺は思いついたんだよ…、『他人』に渡してしまおうとな
ハーッハッハッハ、まさか、こんなに上手く行くとは思わなかったけどな!」
B父はまた狂った様に笑い出した
明「他人って…、Bはあなたの息子でしょう!?あなたは自分の息子を殺そうとしてるんですよ!!それをわかっているんですか?」
B父「息子?ああ、そこの出来損ないか…ふん、俺の言う事も聞かないでフラフラしやがって……、たかがが知れてる人生を生きるより一家の為に呪いを持って死んでくれよ!!」
B父は平然と言い放った……
明「あなたには何の罪もない自分の愛娘の指を切り落とす父親の気持ちが分からないのですかっ!?あなたに父親の資格はない!!」
明兄さんが遂にキレた……
Bはもう耳を塞いで震えていた
B父「20代そこらの小僧が偉そうに言うな!!俺の言う事を聞かない奴は皆クズだ!!」
B父はベッドから身を乗り出し、明兄さんを睨みつけて言った…
明「あなたせいで関係のない子達も巻き込まれているんですよ!」
明兄さんも負けずに言い返した
こんなに感情的になった明兄さんを見たのは初めてだった
B父「俺が知るか!出来損ないと一緒になって箱を壊したそいつらがいけないんだろうが!!出来損ないのクズは皆まとめて死ねばいいんだ!!」
目茶苦茶だ……こんなに悪意に満ちた人間が居るのだろうか……
明兄さんは遂にB父の胸倉を掴み叫んだ
明「どんな事があっても摘み取って良い命なんかない!!あなたとこの子達のどっちがクズだ!」
明兄さんはB父を睨みつけ乱暴に胸倉を放した
これにはさすがにB父も唖然として何も言えない様だった
明「この子達は私が必ず助けてみせますよ……」
明兄さんはそう言い残し俺達の方に向き直った……
明「帰ろう…」
そう言った、明兄さんはいつもの優しい顔だった
病室に入る時と同じ様に俺達の頭をポンっと叩いた……その瞬間、今までの緊張が一気に解れ俺達は泣きながら明兄さんに抱き着いた
帰りの道中も明兄さんは俺達を気遣い、励ましてくれた
寺に帰ると、大爺と俺達の親が待っていた……Bの母親も来ていて俺達の親に泣きながら謝っていた
大爺「明……どうだった?」
明「やはり全てを知りながら、こんな事をやった様です…」
大爺「そうか……」
俺達が席に着くと、Bの母親はまた謝りだした
B母「うちの人が本当に申し訳ありませんでした……」
B母は畳に頭をつけ土下座をした
大爺「あなたが悪い訳ではありませんよ……、それよりも今後の事です。この子達は大変危険な状況です…そこで、保護者の皆さんにも、これからのお祓いについて聞いて頂きたい…
まず、B達にはこの寺にあるお祓い専用の部屋に寝泊まりして貰います…あそこにはトイレも洗面台もありますので……、そして、私達の様に心得がある者以外の接触を禁止とします。他の者に呪いが移らない様にする為です。
お祓いにどれだけの期間が掛かるかは私達にも分かりません……
これはすごく昔の物で、私達も直接関わった事がなく、これを破壊した事がある者は殆ど生きておりません…
学校の方には大事にならない様、病欠という風にしてもらえる様にお願いしました……
以上ですが、皆さん宜しいでしょうか?」
俺達の親は「お願いします」と頭を下げた…
その後、親達は「頑張れ」とか、「無事に帰ってこい」など俺達を励まして家に帰って行った…
大爺「さて、覚悟はいいか?では部屋に行くか…」
普段、鍵が掛けられていて、絶対に入るなと言われていた扉の向こうにその部屋はあった
A「すげー、こんな部屋あったんだ!」
明「ここは呪いとか本当に危険な物を相手する時に使うんだ。部屋の周りには結界の様な物が施されていて、邪悪なものを近付けない様になっている」
大爺「いいか、お前達がここでする事は一つ……絶対にこの部屋から出るな!食事なんかも私達が運んで来る。用がある時はこちらから襖を開ける、どれだけ呼ばれても絶対にお前達の方から襖を開けてはならんぞ!分かったか?」
俺達は頷いた
大爺「テレビもあるし、冷蔵庫にはジュースなんかも入っておる、退屈だろうが、なんとか我慢してくれ……いいか?とにかく襖を開けなければ他は何をしてもかまわん……絶対に襖を開ける事だけはしてはならんぞ…」
再度、忠告された
俺達はもう一度強く頷いた
大爺と明兄さんはニッコリと笑い部屋を出て襖を閉めた…
襖を閉める際、何か呪文の様な事を唱えているのが印象的だった…
俺達の闘いが始まった…
続きます
次で終わります
怖い話投稿:ホラーテラー 猛壮さん
作者怖話