この話は、友人(Aとします)が中学3年生の時、体験した話です。つまらなかったらごめんなさい。
それは、夏真っ盛りの8月の土曜日の夜の事でした。
Aの部屋には、扇風機しかなく、夏は網戸にして寝ていたそうです。
そして、深夜に突然金縛りに遭い、目が覚めたそうです。
ふと、物音に気付き、耳を済ますと物音は、外から聞こえてきたそうです。
金縛り中に首だけは動いたそうで、音のする方を向くと、外から髪を振り乱し、肩や腕に矢の刺さった侍が、走ってきたそうです。
そして、おもむろに網戸を開け、草鞋を脱ぎ捨て、Aの前に座り、腰に差した太刀と脇差しを目の前に置いて、敵意が無いことを示し、Aに何かを話し掛けてきたそうです。
Aは恐怖の余り、目を瞑り、心の中で「帰ってくれー!頼むから帰ってくれー!」と叫んでいたそうです。
暫くして、侍は刀を手に取り、立ち去ったそうで、それと同時に、Aは気を失ったそうです。
翌朝、目が覚めて「果たして、深夜に起きた事は、夢なのか…」と思い、ふと窓を見ると、網戸が開いていたそうです。
落ち武者が来て、一週間がたった深夜、
またもやAは、金縛りにあったそうです。
金縛りで目が覚めたAは、「うわっ!またかよ…」と思ったらしいですが、それと同時に「もしかして、また来るのか?」と思ったそうです。
すると、案の定「落ち武者」はやって来ました。そして、敵意の無いことを示し、Aの耳元で何かを言い始めたそうです。
Aは、「一体、何を言ってるんだ?」と興味が湧き、落ち武者の話に耳を傾けてみました。
その落ち武者の言ってた内容です。
侍「突然の訪問、すまぬ。拙者〇〇と言う主に仕える△△と申す。
実は、先の戦で我が主が、敵に捕らえられてしまいました。
味方の兵は、ほぼ壊滅状態で…
しかし、拙者はどうしても主を助けたいでござる。
されども、味方も居ない今、拙者1人ではどうにもならぬ…
そこで、お主の力を貸しては下さらんか?」
と言っていたそうです。
Aは、「いや、俺にはどうしようもない!だから、帰ってくれ!」と言うと、落ち武者は、暫く黙り込みそして「承知いたした」と言い、また帰って行ったそうです。
翌朝、やはり網戸は開いていたそうです。
二度目の「落ち武者」の訪問を受け、更に一週間後…
三度目の金縛りになりました。Aは、「またか…」と目を覚ましたそうです。
予想を裏切る事なく、「落ち武者」はやって来ました。そして、今度は刀を置かず、話し掛けてきたそうです。
その内容は…
侍「あれから後、どうにかならぬかと思い、拙者単独で救出に向かったものの、如何せん敵の数が多すぎて、命からがら逃げて参った…
我ながら、情けない…
しかし、捕らえられ拷問を受けてるだろう主を思うと、居ても立ってもいられぬ…
今日は何が何でも、お主を連れて行く所存!」
と言うと、落ち武者はAを抱え上げた。
Aは、自分の体が宙に浮くのをしっかり感じたそうです。
咄嗟に、「このまま連れて行かれたら、俺は生きて帰れない」と思い…
A「ちょっと待ってくれ」
侍「如何した?」
A「良く聞いて下さい…
あなたの主を思う気持ちは、よく分かります。けど、あなたの生きた時代と、今は違います。俺を連れて行っても、俺には何も出来ません。
ですから、降ろして下さい!お願いします。」
と会話したそうです。すると…
侍「……承知いたした。今まで迷惑掛けてすまなかった…」
と言い残すと、Aを降ろして立ち去ったそうです。
Aは、走り去る落ち武者を、なんとも言えない気持ちで見送ったそうです。
翌朝、やはり網戸は開いていたそうです。
Aは、最後にこう言いました…
「網戸閉めていけよ…お陰で、蚊に刺されまくったわ」
落ち武者の後日談です。
Aから話を聞いた私は、Aと共に地元の歴史を調べました。
その結果は以下の通りです。
時を遡ること、戦国時代…
豊臣秀吉による、北条攻めがあり、地元の城主は、北条側の味方をした為、豊臣勢に攻められました。
城主は豊臣勢に捕らえられたそうです。
△△と言う家臣は、最後まで抵抗し討ち死にしたそうです。
その無念が現代にまで残り、現れたのでは…と思いました。
しかし、Aは「何故、自分なんだろう?」と疑問に思ったそうです。
実を言うと、Aは中学2年の時、他県から転校して来ました。
なので、この地には何の縁も無いのです。
Aは考えました…
「そう言えば、うちの裏に墓地がある!」と言うので、私達は墓地に行ってみました。
墓地に入ると、一際古いお墓がありました。
そこには「△△家之墓」と掘ってありました。
落ち武者の走ってきた方角とお墓の場所は、Aの寝ていた部屋の直線上でした。
それが、Aの所に現れた理由とは思えなかったけど、他に理由が見当たらなかった為、そう思うようにしました。
それ以来、落ち武者は現れなかったそうです。
以上で完結です。
長い話にお付き合い頂き、有り難うございます。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話