私は長距離のトラックの運転をしている。度々心霊現象が起こるのだが、その中で忘れられない話を1つ。
その日は朝から豪雨で、何故か仕事にも気が乗らなかった。
しかし生活が懸かっているため、渋々職場へと車を走らせた。
時間は夜中の2時過ぎ、ようやく会社に着いた。
約1時間程で荷物をトラックに積み、2日間かけて東北地方へとトラックを走らせた。
会社の経費カットの為、高速道路は使わず下道で現地まで向かう事に。
トラックを走らす事約2時間、福井県のある大きい交差点に差し掛かった。
信号待ちをしていた私は、向かいの道路の車道に人が左手を挙げて立っているのが見えた。
こんな時間にこんな場所でタクシーなんか来ないぞ。ましてや車も居てないし。どしゃ降りやし。
私は内心迷った。
乗せたった方がいいんかなぁーでも行き先違うかったら面倒やしなー。
私の中の天使と悪魔が喧嘩をしている。
結局天使が勝ち、乗せてやろうと決心。
信号が変わると直ぐに人の横に付けた。
私「おーい、こんな時間にタクシーなんか来ないぞー乗りや!」
その人は無言で乗ってきた。
礼ぐらい言えよ。内心イラッとしたが、どうでもよくなった。
人は男だった。顔が真っ青で下を向いているので表情までは分からなかった。
私「何処までいくの?」
男「…」
何も喋らない。
少し怖くなった私は、そのままトラックを走らせた。
無言の状態が続く。
その時ふと違和感を感じた。
あれ?外どしゃ降りやのに濡れてない。何で?傘さしてなかったのに。
その時要約人間ではないと気付いた。
男は首が痛いのか、首をゆっくり横に曲げて反対にカクッと首を戻している。
首を戻すたびに、ゴキッ…と音がなる。
気持ち悪かったのを記憶している。
車内に寒い風が吹く。
その時急に男が顔を上げてこちらを見る。
私は男の顔をみて気を失いそうになった。
歯が骸骨みたいに剥き出しになっていて、鼻の天辺がデコにくっついていた。
急ブレーキを踏む私。
キキキー!!
トラックが停止すると男が静かなこえで呟いた。
「今日136号線をバイクで走っていたら、トラックに引かれたんだよ……おまえか?」
私「違います違います」
私は泣きながら何度も必死に繰り返した。
その瞬間男は消えていった。
私は腰を抜かして10分程動けずにいた。道の真ん中で止まっていたので、後ろからクラクションを鳴らされ我に帰った。
その日ふらふらになりながらも、目的地に着き荷物を降ろした。
帰り道、昼間に昨日の道を通らなくてはならない。
私は嫌々ながらも通る事にした。
信号待ちの時ふと昨日の男が立っていた所をみた。
男は居なかった…が、男が立っていた位置にでかい看板が立っている。
【先日この場所でひき逃げがありました。心当たりある方はご連絡下さい】
私は幽霊を乗せてしまったのか…。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話