これはAが体験した話です。
Aはアパートで一人暮らしをしている男性で、何不自由の無い暮らしをしていました。
しかしある日Aの部屋に封筒が送られて来ました。差出人は不明で、Aは「非常識な人だなあ」と思いながら、封筒の中身を確認しました。
すると封筒の中には一枚の写真が入っていました。気になり写真を見てみると、写真全体に霧のようなモヤが写っていて、モヤの中にうっすらと木の枝のような物が写っていました。
何だこれ?Aは誰かの悪戯だろうと思い、写真を机の上に投げ捨てました。
それから一週間後、Aが写真の件を忘れかけていた頃、また同じ封筒が送られて来ました。Aが中身を確認したところ、前回と同じく写真が一枚入っていました。
写真を見ると、また霧のようなモヤの中に木の枝のような物が写っている写真でした。
またかよ、とAは思いましたが流石に気持ち悪くなったAは、友達Bに写真を見せました。するとBはこう言いました。
B「この木の枝みたいな物さぁ、人間の腕に見えない?人体の一部みたい。」
A「気持ち悪い事言うなよ。」
B「だって見えるだろ?」
不安と気持ち悪さを抱えてはいましたが、Bが帰ると言ったのでAはBを帰しました。
もし本当に腕だったら…
いやそんな気持ちの悪い事は考えないでおこう。Aはそう思い、その日は寝床につきました。
それから三日後、また封筒が来た。同じように写真が入っていた。またしてもモヤの中に木の枝のような物が写っていました。
三枚目の写真が送られて来た日の夜中の事です。
寝ていたAでしたが、部屋に漂うあまりの悪臭に目を覚ましました。
何か生ものが腐ったような酷い腐臭。腐臭はキッチンの方から漂って来ているみたいでした。キッチンに向かうA。
キッチンには生ゴミや可燃ゴミを入れたゴミ袋が置いてありました。ゴミ袋が腐臭の原因のようでした。しまった〜もっと早くゴミ捨てて来たらよかった、と思うAでしたが、臭いを確かめてみると、ゴミ袋からは臭いがしません。何が原因なのか?不思議に思うAでしたが、その日は寝ました。
それから5日後、封筒が来た。いつものごとくモヤと木の枝らしき物体が写っている写真でした。
一体誰だよこんな写真送って来るのは。怒りを覚えましたが、どうする事も出来ませんでした。その日の夜、Aがテレビを見ていると突然左腕に物凄い激痛が走りました。
左腕を押さえて激痛にもがくA。痛みは腕を何かで切断されるような痛みでした。そんな激痛が二時間続きました。痛みは治まった。「なんだよ今の感覚…腕が切断されるかと思った。」Aは身体中に物凄い汗をかいていました。Aは思った。もしかするとあの写真が関係しているのかも知れないと…
それから暫くは写真が送られて来る事はありませんでしだが、激痛が襲って来た日からから一ヶ月が経ったある日。封筒が来た。写真が入っていた。
中身を見るとモヤが写っていました。しかしいつもと違う点が一つありました。いつもは木の枝のような物が写っていたのですが、木の枝のような物ではなく、代わりに木の板のような物が写っているのです。彼は背筋が凍りついた…まさか…AはBの言葉を思いだした。「この木の枝みたいな物さぁ、人間の腕に見えない?人体の一部みたい。」……Bの言葉がAの頭の中で脳内再生された。
Aはすぐに今まで届いた写真を集めた。そして、今日届いた写真を含めた五枚の写真を全て繋げたところ、なんと人間の身体の形になったのです!
今まで木の枝のように見えていた物は両腕両足に、今日送られて来た写真の木の板のような物は胴体になった。全て人体の一部だった。Aは凍りついた。何故このような物が送られて来るのか…Aは心当たりがないかと必死で思い出そうとした。暫く考えていたところ、Aはある気になる事を思い出した。
昔AがM県N市に住んでいた時の話です。M県N市のAの実家の近くの公園で女性のバラバラ死体が発見されたのです。朝早くに公園を散歩していた人に発見されたそうです。
死体の各部分は公園のいたる所に設置されていたゴミ箱からそれぞれ発見されました。あるゴミ箱からは右腕、あるゴミ箱からは左足、といった感じに。しかし両腕両足は発見されたものの、今も頭部だけが発見されていないそうです。
Aはこの事件が関係しているのではないかと疑い始めた。しかしAには関係の無い話でした。自分が殺した訳でも無いのに何故私がこんな思いをするのか。しかし「バラバラ」に送られて来る写真。あの事件と関係があるかも知れない。しかし何故私が?
考えてもしかたなかった。だが疑いは残ったままで、恐怖も残ったまま。どうしたらいいんだ。
結局Aは解決できなかった。
そして頭部の写真だけは現在も送られて来ていないという…
読んで頂きありがとうございました。
怖い話投稿:ホラーテラー 黒猫さん
作者怖話