中編4
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故障

久しぶりの帰郷。

友達のとの待ち合わせ場所に行く途中だった。

突然、車の調子が悪くなり高速の下に沿って走る田んぼ道で停車…

参ったなぁ…

などと思っているうちにエンジンは完全に停止した。

修理を呼ぼうと携帯を手にした時、ふと不思議な感覚に気付いた。

…?、誰かの気配がする?

辺りを見回すが、誰もいない。

とりあえず、早く修理を呼ぼうと思い携帯で業者に電話した。

修理が来るまでに2時間掛かると言われ、仕方なく友達との待ち合わせ場所の駅まで歩くことにした。

だが、車をこのままにするのはマズイと思ったので、一応警察に連絡して事情を伝えようとした時だった…

一台のパトカーがタイミングよく通りかかった。

そして、パトカーに乗っていた警官達もハザードを灯け、ボンネットを開けた状態のこちらの存在に気付く。

どうしました?

車、故障しちゃって…

あらら…大丈夫?

はぁ、一応修理を呼んだんで…

ならいいけど…

お兄さん、この辺の人?

!?、いえ、違いますけど…

あ、それより、ちょっとお願いが…

実は、友達とこの先の駅ビル(車で10分位の場所)で待ち合わせしてて、車、修理が来るまでの間ここに置いときたいんですけど、いいですか?

ああ、いいよ。その代わり、故障中とかなんとか書いた紙とか貼っておいてね。じゃないとレッカーされちゃうよ。

はい、わかりました。

ども…

などと話していると、もう一人の警官が慌てた様子で、

おい、見つかったみたいだぞ!

わかった、すぐ戻る!

………??

それじゃ、お兄さん、気を付けてね。

慌ただしくそう言うと、警官達の乗ったパトカーは去っていった…

辺りがまた不思議な感覚に包まれた。

何か気味悪ぃな…

車を残し、友達との待ち合わせ場所を目指した。

駅に着いた。友達に事情を話し、再び置き去りにしてきた車の元へと向かおうとしていた。

お前、ホントに車の所に戻るのか?

はぁ?当たり前だろ!?

あと30分もしないうちに修理業者が来るんだから。

面倒臭いからってんな事言うなよ。

たまには歩くのもいいぞ。

いや、そう言うことじゃなくて…

じゃ、何?

お前…

う、うわぁぁああっ!!

お、おい!何だよ!?

意味のわからない叫び声を残して、友達はどこかへ走って行った。

一体、何がどうなっているのかも分からずだったので、仕方なくまた一人で車の元へ…

あれ?何だ、これ?

田んぼ道の狭い道には、沢山のパトカーが停まっていて、辺りには警官がウロウロしていた。

とりあえず車へ戻り、近くを通りかかった警官に話を聞いてみた。

あの、何かあったんですか?

え!?あ、ああ。

実は少し前にこの上の高速で故障した車から路肩に降りようとした人が後続のトラックに跳ねられてね。

身体がバラバラになってこの辺に落ちたらしいんだ。で、予想通りにこの田んぼの中で手首から先が見つかって、残りの身体の一部もこの辺だろうって事で辺りを封鎖して捜索してるんだ。

見つかってない身体の一部って、どこなんですか?

頭部だよ。正確には顔の上から半分、ちょうど鼻から上の部分なんだ。

それを聞いた瞬間、血の気が引いた。

返す言葉がなかった。

だって、誰かのバラバラ死体が降ってきたであろう場所に居るのだから。

修理業者がやって来た。 業者も辺りの光景に驚いているようだった…

あの、これ、入っていいんですかね?

修理業者が封鎖に使われていたカラーコーンの向こう側から警官に問いかけた。

…仕方ない。ここにこの車が置きっぱなしになっててもあれだし…

誘導しますからレッカーしてカラーコーンの外へ出してもらえます?

はい。わかりました。

修理業者がそう言うと、警官がカラーコーンのバリケードを開け、レッカー車がやってきた。

そして車の前輪部分にレッカー用のフックを掛けようと車の横にしゃがみこんだ業者が突然叫んだ。

わぁぁっ!?な、何だよこれ!?

え?そんなにひどい壊れかた……っ!!!!?

業者と同じ目線で自分の車の横を覗き込んで気付いた。

車の前部タイヤとボディの15センチ程の隙間…

そこには、今警官達が探している交通事故の被害者の頭部上半分が挟まっていた。

何でこんな現象が起こったのか、全く見当もつかなかった。

集まってきた警官達は、脳みそだか何だかが飛び出して赤紫に変色した被害者の頭部を薄っぺらいゴム手袋をしただけの手で、簡単に引きずり出した。

その光景自体が怖い。

そして、カラーコーンの外へ運び出された車…

とりあえず修理業者がエンジンが掛かるかどうかを確認すると、エンジンは簡単に掛かった。

さらに、車自体にアナライザーと言う診断器を繋いでさらに詳細をチェックするもやはり異常無し。

え?何で!?

とりあえず車は自走可能(と言うかどこも壊れてない)ということが分かったので修理業者は帰って行った。

車は事故状況の証拠になるとか何とかで、警官に押さえられ、暇でいて、何か嫌な時が過ぎていく。

落ち着かないので、さっき走って逃げていった友達に電話してみる。

もしもし?

俺だけど?お前、さっきはどうしたんだよ?大丈夫か?

お前が大丈夫かよ?

は?ああ、いや、多分状況的には大丈夫じゃないな。ヤなモン見ちったから…

そう言って事情を友達に話すと、友達が電話の向こうから静かに言った…

………だって、その顔、お前の頭の上にずっと浮いてて、凄い形相でお前や俺を睨んでたんだ…

携帯が地面に落ちた…

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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